本で繋がる過去と現在~横須賀・上町~

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横須賀、さらに言えば三浦半島の数ある町の中でも屈指の文教地区・上町。古書店があり、商店街を見下ろす高台には図書館や博物館も。コロナ禍以前は本にまつわるイベントで盛り上がりを見せるなど、「本」と深い繋がりのある街です。今回はそんな〝本の街・上町〟をレポートします。

個性豊かな本屋

9月初旬、急に秋めいた陽気になったものの衣替えが間に合わず、寒々しい半そで姿で街をぶらり。小雨で人出はまばら、取材をするにはかえって好都合?

「Books & Coffee AMIS」(エイミス)

密を避けながらまず足を延ばしたのが2017年に図書館近くの中里通りにオープンした「Books & Coffee AMIS」(エイミス)さん。気さくな店主からお話を伺えました。

図書館下に位置する「AMIS」

元々都内の大手書店に勤務していた店主。10年前に横須賀へ移り住んだことがきっかけで、独立してお店をオープンされたそうです。古本だけでなく、新品の洋書・写真集も目に入ってきます。中では喫茶スペースもあり、こじんまりとした店舗ながら本を楽しめる空間に仕上がっています。上町の中でもメインのバス通りから一歩中に入った中里通り沿いとあって閑静。図書館の〝ついで〟に足を延ばすお客さんもいるそうです。

読書に集中できる喫茶スペースも

「はるかぜ書店」

次に足を延ばしたのは「はるかぜ書店」さん。こちらは書店であると同時に、ひきこもりの方を支援する拠点の役割りもあるそうです。ひきこもりや不登校の方の相談窓口や、書店で働くことで社会参画の一歩めとしての機能も併せ持っています。運営するNPO法人アンガージュマン・よこすかの島田徳隆さんは「〝街の本屋さん〟であれば相談者が来店するハードルを下げることができると思います。商店街の中にあってもこういう場ならばうまく溶け込めるという、両方の意味で書店としての役割があるんです」と話して頂きました。

メイン通り沿いに立地する「はるかぜ書店」

最近では、本以外にも消毒液やトイレットペーパー、ハンドソープといった衛生商材も最近取り扱いを開始したそうです。というのも商店街にあった薬局が閉店してしまい、そこを利用していた近隣住人から「商品の取り扱ってほしい」と要望があったから。今や書籍だけでなく、様々な意味で必要とされる存在になっている、珍しい書店ですね。

雑誌や横須賀ゆかりの本も取り扱い

「沙羅書店」

最後に昔懐かしい古書店「沙羅書店」さん。緑色の日よけ幕と、店内にぎっちり詰め込まれ、通りにまで溢れかえるほどの古書は横須賀市民ならお馴染みの光景ではないでしょうか。この日はお休みのため写真は撮れませんでしたが、上町の書店の中で最も歴史を感じさせるお店です。

人と人を繋ぐ本

交流・情報拠点「上町休憩室」

「上町休憩室」では本をきっかけに新たな出会いも(2018年撮影)

商店街も本にあつく期待を寄せているようです。2018年3月、空き店舗を活用した交流・情報拠点「上町休憩室」が開所しました。7畳ほどのスペースに椅子と本が並べられ、自由に閲覧することができます。場所が「文化会館入り口」の信号近くと、商店街の中心にあることから商店街の賑わいにも一役買っていました。毎週土曜日の日中を中心に解放されていましたが、現在はコロナウイルスの影響で一時閉鎖。コロナ禍後の再開が待ち望まれます。

飲食店「とんちんかん」

ミニチュアツリーハウスのような手作り本棚(2017年撮影)

図書館裏手側にある飲食店「とんちんかん」敷地内には鳥の巣のような小さな本棚が私設図書館として設置されています。自分の庭先や空きスペースに郵便ポストや巣箱のような小箱を作り、本を置く「リトルフリーライブラリー」と呼ばれるアメリカ小さな町から始まった地域活動から着想を得たそうです。鍵は無く、自由に本を出し入れ可能。通りがかりの人が読み終わった本を入れていくため、日々冊数は変わっていくそうです。

上町一体で「本の街」へ

イベント主催者のモリナヲヤさん(2019年撮影)

図書館、博物館、商店街が一体となって取り組んできたイベントもあります。2018年に始まった「横須賀ブックミュージアム」は参加者が段ボール1箱分の本を持ち寄る古本市や博物館の展示紹介などが楽しめるイベントです。こうした古本市は都内などでも人気が高まっており、横須賀でも盛り上がりを見せていました。しかしコロナ禍で2020年から中止が続いています。こちらも再開が待ち遠しいですね。

住所

神奈川県横須賀市上町

公開日:2021-09-02

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