川崎中原区の木月一丁目町会(内田治彦会長)は、環境保全の観点から主原料の100%がサトウキビの廃糖蜜でできたビニール袋の全戸配布を始める。今年度内をめどに、全2300世帯に20枚ずつ配布予定。環境部長の荻原稔さんは、「まだまだ環境保全のことを考えている人はごく一部。今回の配布が考えるきっかけになれば」と話す。
ビニール袋の多くは石油燃料を原料とするため、自然界への分解に莫大な時間がかかる上、焼却時の二酸化炭素(CO2)の排出量が深刻とされる。一方、原料が植物由来であればCO2排出量の抑制につながるとされ、植物由来の配合率が25%以上のものはレジ袋有料化の対象外でもある。同町会も当初は、配合率25%のビニール袋を配布する予定だった。だが、荻原環境部長が「せっかく配るなら石油燃料が使われていないものを」と独自に調べ、100%のビニール袋を見つけた。予算内に収めるため各世帯20枚と決して多くはないが、100%にこだわることで、環境保全への意識向上のきっかけになることに期待を寄せる。配布は、緊急事態宣言の解除後を予定している。
配布のきっかけは、昨年7月に内田会長が出席した川崎市の廃棄物減量指導員連絡協議会の会合。プラスチックごみが海洋汚染や地球温暖化の一因になっている現実を知り、町会で共有。会員らでプラごみが浮遊し、温暖化のために海面が上昇した海の映像を視聴した。内田会長らは、こうした現状を町会全体に伝える方法はないかと思案。新型コロナの影響で中止した廃棄物リサイクル施設の見学会の代替事業として、ビニール袋の配布を決めた。
荻原部長は「ゴミ置き場を見ていると、まだまだ分別もできていない。まずは分別の徹底から始めてみては」と話す。内田会長は「ごみ『捨て場』ではなく『置き場』。自分が出したごみの行く末まで考える機会にしてほしい」と話す。