南大沢八幡神社の本殿で来年1月8日(土)、浄瑠璃人形遣いの勘緑(かんろく)さんによる三番叟(さんばそう)の奉納が行われる。同神社での人形浄瑠璃の奉納は初。東京都立大学の野元弘幸教授が企画したもので「コロナで地域活動が停滞していく中、少しでも励みになれば」と話す。
「人形に魂を」
企画は、野元さんが担当する「芸術文化体験学習」の一環で行われる。15年以上続く授業で、勘緑さんを非常勤講師として招いている。
勘緑さんは大阪、文楽座に33年間在籍した浄瑠璃人形遣い。野元さんは勘緑さんの舞について「神の手によって魂を吹き込まれた人形が、見ている人を異世界に引き込み、人間世界や社会を見つめ直し、考える機会を与えてくれる」と評す。
コロナ禍、希望を
今回の奉納に対し、野元さんは「賑わいのある、希望を感じられる地域にしていこうというメッセージが伝われば」と話す。
きっかけはコロナ禍。バイトができないなど、困窮する学生や行きつけの居酒屋が次々と閉店する様子を目の当たりにした。野元さんは「心理的、経済的困難を抱えているのは学生だけではなく、地域でも同じ状況なのではと思った」と話す。
今秋に修繕完了
地域の講座で知り合った南大沢八幡神社の総代、田中正美さんに相談した。田中さんはこれを快諾。「コロナ禍で祭ができなかった。神社が祭る天照大神様は賑やかなことを喜ぶ」と話す。また、同神社は昨年から行っていた本殿などの修繕が秋に完了し、「このタイミングで奉納はありがたいこと」と話す。
奉納は1月8日、午前9時30分から。神社本殿で行われる。申込不要。「三番叟」は、五穀豊穣や平穏無事を祈願するための舞と言われている。