日常生活を送る中で、自身や家族の健康、子育て、地域活動への参加など、ちょっとした悩みや不安を相談できる場所が身近にあると安心するもの。どうやら市内各地にある「地域ケアプラザ」では、そんな悩みをさまざまな職種のスタッフが連携して解消に導いてくれるとか――。
- 「どんなことが相談できるの?」「私も利用できる?」「そもそもどこにあるの!?」と疑問は湧くばかり。そこで、実際に施設を訪ねてみることにしました!
【目次】(クリックすると各項目にジャンプします)
◎神奈川区内に7カ所!誰でも使える「福祉のよろず相談所」
◎地域ケアプラザってこんなところ
◎施設と地域を結ぶキーマン「コーディネーター」とは?
◎コーディネーターの活動に同行してみた!
◎買い物支援バスが「買い物難民」解消に一役
◎取材を終えて
神奈川区内に7カ所!誰でも使える「福祉のよろず相談所」
まずは神奈川区の地域ケアプラザをホームーページでチェック!(クリックで開きます)
地域ケアプラザの説明はコチラ!(クリックで開きます)
ふむふむ、区内には7カ所の地域ケアプラザがあるみたいです。それぞれの施設は社会福祉法人によって運営されていて、高齢者や子ども、障害のある人など誰もが安心して暮らせるように身近な福祉・保健の拠点としての機能が備わっているそう。まさに「福祉のよろず相談所」!
例えば…
- 介護保険のことって誰に相談すればいいの?
- お隣さん、最近元気がないみたい
- 認知症かもしれない。でもいきなり病院には行きたくない…
- 小さい子供が遊べる場所や、親子で参加できる催しはないかな?
- 引っ越してきたばかりだから、知り合いを作りたいなぁ
地域ケアプラザってこんなところ
今回訪れたのは、JR新子安駅近接の複合施設「オルトヨコハマ」内にある「新子安地域ケアプラザ」(クリックで開きます)。出迎えてくれたのは、所長の山尾みどりさん、職員の池田勇人さんと松本茂さんです。さっそく、施設の役割について山尾所長に聞きました!
Q.地域ケアプラザではどんな取り組みを行っているんですか?
地域の方にいつまでも健康的な生活を送っていただくために、地域ケアプラザの施設を貸し出して住民自らが企画した健康体操やリズムダンス、歌を歌う会など、活発な活動が広がっています。職員自らが子育て講座や介護予防講座などを開催することもありますよ。
Q.どんな相談ができるのでしょう。
高齢の方ですと「今までは元気だったけれど家事ができなくなった」「病院から退院するけれど家での生活に不安がある」など、身近な不安について相談される方が多いですね。その他にも、行政が用意する支援制度の紹介やケアプラン作成、申請の代行、成年後見制度など、総合的な相談に無料で応じています。来所が難しい方は訪問相談もご利用いただけます。
Q.高齢者向けのサービスも充実していると聞きました。
デイサービスや介護保険の申請窓口など、施設内でさまざまな福祉・保健サービスを提供しています。サービス向上のために、定期的に研修や勉強会に参加することで質の高いサービス提供にも努めています。
- 記者のナルホド
相談内容は主任ケアマネジャーや社会福祉士、保健師・看護師などが共有し、それぞれの立場で支援に向けたアプローチを行っているとか。施設内ではデイサービスの利用者が歩行訓練をする姿も見られました。きめ細やかなサービスは、多職種連携が可能な地域ケアプラザならではの特色といえるかもしれません。
施設と地域を結ぶキーマン「コーディネーター」とは?
続いてお話を聞いたのは池田さんと松本さんです。
池田さん
池田さんの職種は「地域活動交流コーディネーター」。健康づくりや子育て支援、障がいへの理解など、住民同士の交流促進に向けた取り組みが主な役割です。
「地域に暮らすあらゆる人たちが支え合いながら暮らせる環境づくりを支援するのが私の役割。地域に出向いていろんな方の相談に乗ったり一緒に活動したりすることが好きなので、訪問先ではたくさんの方に可愛がってもらっています」。
松本さん
松本さんは「生活支援コーディネーター」といって、その名の通り介護予防や住民の社会参加など、地域における生活全般の支援が主な仕事です。松本さんは「昔と違って近所付き合いが希薄になる中で、高齢者の独居や若い世代の未就労・引きこもりなど、これまでになかった新たな問題も出てきています。地域の皆さんが健やかな高齢期を過ごすためのお手伝いに取り組んでいます」と説明します。
長引くコロナ禍で地域活動などが停滞する中でも、池田さんと松本さんは積極的に地域に赴いて「顔の見えるお付き合い」を大切にしているといいます。
池田さんは「地域ケアプラザの対象エリアは広いので、じっとしていたら情報が入りずらい地域もあるんです。コロナ禍でさらに地域の方々と疎遠になってしまわないよう、こちらから出向いていかないと」といい、松本さんも「私たちは道端で会ったときに地域住民の悩み相談を受ける営業マンのようなものですね」と話します。
コーディネーターの活動に同行してみた!
池田さん、松本さんは、日頃どのようにして地域住民とかかわっているのでしょう。お2人の活動に同行させてもらいました!
公園に響く「ナイスショット!」
池田さんと訪れたのは、新子安にある打越公園。約束の時間になると、ゴルフクラブのようなものを背負ったお年寄りたちが続々と集まってきました。
この方たちは、園内の広場でグラウンドゴルフを楽しんでいる「打越クラブ」の皆さん。池田さんも時折プレーを楽しむことがあるんだとか。クラブの皆さんに誘われて、記者もラウンドを体験しました!
ラウンドが始まると、皆さん下の名前で呼び合いながら和気あいあいとプレーします。池田さんも「勇人さん、今日は調子いいね!」と言葉を掛けられながらプレーを楽しんでいました。
池田さんは、プレーの合間の会話も大切な時間といいます。
「皆さんの近況を伺ったり、最近姿を見せない人がいると聞いた場合は体調などを心配したり。直接話をすることで、地域の困りごとを把握できる貴重な機会ですね」(池田さん)。クラブの皆さんも「地域ケアプラザからわざわざ足を運んでくれるので、自然と親しくなります。困ったことがあればすぐに相談できるので助かりますよ」と話していました。
買い物支援バスが「買い物難民」解消に一役
松本さんは、子安台自治会と新子安地域ケアプラザなどで取り組んでいる「買い物支援プロジェクト」の様子を紹介してくれました。
このプロジェクトは、坂道の多い子安台に暮らす高齢者などを周辺の食品スーパーに車で送迎する取り組みです。「高齢化が進み買い物難民が増えている地域課題の解決に向け、子安台自治会から相談を受けたことがきっかけでした」と松本さんは話します。
新子安地域ケアプラザが橋渡しとなって介護タクシー事業者を紹介し、2020年に始まった買い物支援プロジェクト。利用者は集合場所に到着した送迎車に乗り込み、1時間ほど買い物をして自宅そばで降車します。料金は1回100円。この日申し込んだ女性は「重い荷物を持って歩かなくていいので毎回助かります」と、これまでに何度も利用しているそうです。
子安台自治会では地域の子どもたちが描いた絵を送迎車に貼ってPRするなど、新たなアイデアを取り入れながら買い物支援プロジェクトの認知向上を目指しています。
高野孝行会長は「地域ケアプラザの手助けがなければ、このような取り組みは実現できなかったと思う。困ったときの頼れるパートナーとして、これからも自治会との関係を築いていけたら」と話していました。
取材を終えて
地域ケアプラザというと、名前を聞いたことがあっても具体的な事業内容を知らない、足を運んだことがないという人も多いのではないでしょうか。新子安地域ケアプラザの皆さんに話を聞くことで、地域や住民が抱える悩みに寄り添い、さまざまな専門職員が連携しながら解決に導く身近な相談窓口だということが良く分かりました。
福祉や保健などの分野で、さまざまな機関が協働しながら課題解決に取り組む指針として神奈川区が策定した「かながわ支え愛プラン(地域福祉保健計画)」の中でも、地域ケアプラザは重要な役割を担っています。自分たちが暮らすまちの地域ケアプラザについて理解を深めることは、より良い暮らしや地域のつながりを実現するための第一歩となるかもしれません。