等覚院(神木本町)で無料配布している周辺グルメマップが、人気を博している。2022年4月下旬に完成した初版500部はすぐになくなり、増刷を重ねる。コロナ禍に飲食店を元気づけようと信徒の藤崎稔人さん(62)が監修したもので、携わった中島光信副住職は「地域に少しでも協力できれば」と語った。
一言情報も
マップはA4片面に白黒印刷した『ご信徒F氏監修 等覚院周辺グルメマップ』。同寺から小田急線「登戸」駅(多摩区)にある、中華やカフェ、蕎麦、焼き芋など近隣9軒の飲食店を、「住職の同級生」「リーズナブル」といった一言情報などとともに簡単に紹介している。
無料配布を始めたタイミングがツツジの満開時季に重なったこともあり、「初版はあっという間になくなった」と副住職。増刷を繰り返して、今も同寺で配布中だ。
「共存、還元を」
マップ作成のきっかけとなったのは、「つつじ寺」として知られる同寺が、初めて閉門した2年前。コロナの影響で打撃を受ける飲食店に手を差し伸べようと、副住職と信徒の藤崎さんが企画した。「古来から寺は地域と共存してきた。少しでも協力できれば」と思いを話す。
マップを監修した藤崎さんは、20代で気管支喘息を患い「喘息平癒(ぜんそくへいゆ)の寺」としても知られる同寺で祈祷してもらった。これを機に、毎月8日の「薬師如来大護摩供修行」と28日の「不動明王大護摩供修行」の2日には、30年以上も東京都世田谷区から「登戸」駅で下車し、「健康のため」と徒歩で約30分かけて通っている。両日とも護摩祈祷が午後2時からのため、昼食をとってから寺へ向かうのが日課になっていた。
こうした交流の中で企画が立ち上がり、藤崎さんの情報を副住職がまとめ、各店舗に確認を取り、副住職の妻・沙都子さんが手書きし完成させた。藤崎さんは「喘息はいつの間にか良くなり、科学で解明できないこともあると不思議に思っている。一方、継続は力であり、全て『ご縁』だと感じている。良い所がたくさんあるので、散策してみてほしい」とマップの活用を呼びかけている。