小田原市久野に本社を構える「瀬戸建設(株)」は、創業から110年以上にわたり、建築を通じ地域への貢献を続けています。同社によると2022年5月現在、小田原市内にある建物のうち「売れない、貸せない、利用予定がない」などの背景から空き家となっている物件は、全体のおよそ14%にあたる1万3350軒に上るのだとか。
老朽化が進んだアパートや古民家などを、賢く利活用するにはどうすれば良いのでしょうか? 同社の企画開発部部長で、二級建築士、宅地建物取引士、二級FP技能士など数々の資格を持つ稲川博道さんに話を聞きました。
リノベーションで資産価値を高めよう
空き家は、ただ所有しているだけでも固定資産税などがかかります。「こうした『負の財産』は、相続される家族にとっても嬉しくありません」と稲川さん。空き店舗のほか、古民家を活用する「ニーズに沿ったリノベーションを進め、資産価値を高めることが大切」だそうです。
古民家を再生、人気のパン屋に!
起業家のニーズに沿って瀬戸建設がリノベーションに携わり、人気店となったベーカリーショップが小田原市江之浦にあります。その名も「麦焼処 麦踏」。
古民家の再生に向け、設計士や東京大学の学生たちがアイデアを出し合い、建築学生らによるDIYや瀬戸建設のサポートを経て、2018年にオープン。古き良き日本家屋の趣をいまに伝える素敵な同店は、いまでは県内外から観光者が訪れるほど人気を博しています。
キーワードは「コンセプトアパート」
空きアパートの資産価値を高めるオススメの方法についても伺いました。
「部屋数を減らし、空いた空間に入居者が集える快適なフリースペースをつくるのもオススメです」と稲川さん。例えば、ひとり親家庭を対象とした物件とするのも良いそうで「自分の勤務時間中は、ほかのママたちがフリースペースで互いの子どもたちを見守ってくれる、というようなコンセプトアパートとして改装することで入居者の安心感につながりますし、付加価値を上げれば、家賃も高く設定できます」。
- 建築のノウハウから不動産、税務のアドバイスまでワンストップで対応してくれる稲川さん。「空き家の利活用について、お気軽にご相談ください」と話しています。