生ごみよ、消えーろ!非電動型処理器「キエーロ」を使ってみた

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ここ数年、夏の楽しみは、(猫のひたいほどの庭での)家庭菜園。「ぬか漬けにしよう」「焼肉の時に一緒に食べよう」「刻んで薬味に」と、あれこれ食べごろを想像しながら、苗を買ってきたり、種を撒いたり。堆肥が必要かな…と土を器いじりながら、ふと頭に浮かんだのが「キエーロ」の存在でした。

  • キエーロってなに…?

葉山町在住の松本信夫さんが開発した、土の中にいる微生物の力で生ごみを分解する非電動型の生ごみ処理器。構造はとてもシンプルで、大きめの木枠などの容器に土を入れ、風が通るように、蓋となる透明な板を斜めに取り付けたもの。

  • 松本さんのキエーロ開発秘話

https://www.townnews.co.jp/0503/2013/01/01/171371.html

早速、キエーロを作ってみた

気になっていたものの、私が目にした市販のものはとても大きいサイズ。我が家にはちょっと無理かな…と思っていましたが、横須賀市のホームページで「ミニ・キエーロの作り方」を発見!庭にあるプランターと同サイズなので、場所も取らないかも…。これを参考に、日曜大工に挑戦してみました。

市販のプランター(幅51cm×奥行34cm×高さ26cm)に合わせて作ります。このほか、必要なのは、透明な波板・角材・連結傘釘・ビス・丁番・黒土(腐葉土・培養土は不向きだそうです)。

どれも横須賀市内のホームセンターで購入可能。「連結傘釘」なんて、初めて聞いた名前でしたが、なるほど、見たことあります。角材は購入時に寸法に合わせて切ってもらいました。波板も切断をお願いすればよかった…とちょっと後悔。費用は3,000円くらいでした。

  • 材料や作り方は横須賀市ホームページを参照

https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4105/minikiero.html

釘打ちなんて学校の技術家庭科以来…というほどの超初心者。まずは、角材2本を丁番でつなげて、これに波板を「連結傘釘」で固定させます。打ちすぎたり曲がって引っこ抜いたりしながらでしたが、やっていくうちに上手になっていくもの。取り付けが終わり、プランターに黒土を入れて完成。正味1時間弱、終わってみれば意外と簡単でした。

庭の日当たりと風通しの良い場所に設置

丁番で角材をプランターに固定させたのは、透明な「蓋」を開け閉めするため。密閉させるコンポストもありますが、キエーロの仕組みで必要なのは採光と風通しの良さ。角度を付けたこの蓋は雨を避ける目的だけではないのです。

土に分解できるのか…実験!

生ごみが分解されるまで、夏場は4~5日、冬になると気温が下がるため2週間程度かかるそう。土の部分、全てに生ごみを埋めてしまうと、その期間使えなくなってしまうので、この場合、3カ所くらいに場所を分けるのがコツ。埋める場所をローテーションさせて使います。

まずは少し深めに穴を掘って、生ごみを投入。掘り起こした土とごみを切るようによく混ぜながら埋めます。あとは、乾いた土をかぶせるだけ。生ごみが土の上に出ないようにすることで、虫が寄ってくるのを防ぐことができます。

3つのポイント

  • 生ごみは水を切らなくても大丈夫

土と水が混ざることで、より分解が進むそう(やわらかい泥団子くらいの水分量)。生ごみの80%は水分と言われていて「水をよく切ってから捨てよう」と自治体などで啓発していますが、家庭で実践するのは手間がかかるもの。水分が多いと土と混ざりやすいし、水切りなしで捨てられるのは助かる!

  • 「不得意」なごみもあります

生ごみと言っても、いろいろな種類がありますが、「分解のしやすさ」でみると、野菜くずや残飯のほか、残り汁、廃食用油、茶殻、カレー、シチュー、マヨネーズ、コーヒー豆などが‟得意”。

反対に、分解に時間がかかるのは、生野菜の葉や硬い皮。そもそも入れないほうがいいものは動物の骨や貝殻、玉ねぎの皮、トウモロコシの毛や芯、アボカド等の大きな種など。

確かに、混ざってしまったブロッコリーの茎の部分やニンニクの皮は数日経ってもそのままでした。油分が入ってもいい(むしろバクテリアの分解を助ける)というのは意外でした!「これは分解してくれるかな…?」と考えながら、まさに実験の様相です。

  • 細かく刻むと土に混ざりやすい

土の微生物(バクテリアなど)によって分解するので、土によく混ざっていることが大事。硬いものでも、火を通したり細かく刻んでいれば分解しやすいそうです。

さて…土になっているのか!?

数日経って、掘り起こしてみましたが、分解されていない野菜の茎や皮が少しあるのみ。もともとの土と少し違う灰色の塊がいくつかありました。どうやら、これが土になったもの。確かに生ごみが「消えた」!

現状では、においもなく、虫が寄ったりはしていません。分解を進める条件は適度な温度・水分・酸素。設置場所の日当たりや土との混ぜ方などでその速度も変わるようです。気温の低い冬場は、油分や水分を多めに入れる・米ぬかなどを混ぜ込む・生ごみの状態で少し置いておく(発酵させる)…などの工夫が必要だとか。これも日々実験です。

排水口のネットに溜まった生ごみを容器に取り置きして、まとめて捨てています。(この日はきのこの根元の菌床部やブロッコリーの茎の皮など)

  • 生ごみは水や二酸化炭素などに分解されてしまうので、土の増減はほとんどありません。そのため、キエーロは「消滅型生ごみ処理器」とも呼ばれているそう。
  • 堆肥として使う場合は1カ月ほど熟成が必要とのことなので、取り置いてもう少し経ったら、この自前の”有機肥料”を野菜のプランターに足してみようと思います。*減った分は、同量の黒土をキエーロに足します。

使ってみた感想…

始めて約3週間、生ごみの量は少し減ったかな…という程度ではあるのですが、改めて「ごみ」への意識が変わりました。それぞれの家庭の食事情もあるかと思いますが、我が家は野菜の消費が多くて、比較的多く出るごみは外葉や皮など。

今まで捨てていた大根やニンジンの皮、カブの葉も「分解のために細かくするのは面倒だし、(食べられないものではないから)もう1品作っちゃおう」と、なるべくごみを出さない料理の工夫もあれこれ考えるようになりました。もともと残飯は少ないのですが、揚げ油の処理にストレスを感じていたので、これらも一緒に混ぜて捨てられるのはいいな、と思っています。

自治体の補助制度も

横須賀市では生ごみ処理機器の購入補助金制度を設けていて、キエーロやコンポストなど「非電動型」に対する補助率は購入金額の3/4(上限3万円)。近隣では「キエーロ葉山(http://kiero.jp/index.html)」などが取り扱っています。

横須賀市民であれば、市外やネットで購入したものも補助金の対象になります(自作のものに補助は付きません)。キエーロの実物は、浦郷町にある市のリサイクル施設「アイクル」に展示。市役所庁舎の環境政策課にもミニ・キエーロのサンプルを置いているそう。

アイクルにあるキエーロのサンプル。コンポストなども展示しています。

実は、町内会のごみ捨て場掃除が定期的に回ってくるのですが、ごみ出しマナーが悪い人もいたり、カラスに荒らされてしまうこともあって、ごみをもっとスマートに出せないか…と思っていました。

今の生活では、なかなか「ごみゼロ」は難しいと思うのですが、こうやって再資源化することで「減量」に取り組むことはできるんです。そうなると、生ごみ以外の「燃やせるごみ」「プラごみ」も家庭の工夫次第で減らせるかも―。

  • キエーロの利用は、意識改革につながる良い経験になりました。「何が土に分解しやすいか」をテーマに子どもの夏休みの自由研究にいいかも…と思ったり。今では、野菜の成長をチェックしつつ、キエーロをかき混ぜて状態を確認するのが日課に。これからも「土」を楽しく育てていこうと思います。

住所

神奈川県横須賀市

公開日:2022-06-16

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