茅ヶ崎ナンプラー「えぼしの雫」を開発した欣ずしの小又学さん(60)が、このほど魚の塩漬けをパウダー化した「アンチョビソルト」を開発しました。
ナンプラーを作る過程で出てしまう「魚かす」を有効活用したもので、これにより「廃棄ゼロ」を実現。小又さんは「当初から、大量に出る廃棄を減らしたいと考えていたので、ようやく達成できてうれしい。SDGsの観点からも有意義な商品だと思う」と笑います。
フードロスが課題
魚醤であるえぼしの雫は「茅ヶ崎の特産品を作りたい」と、地元で水揚げされた魚のうち、サイズや漁獲量などの理由で廃棄されるものを漁師から買い取って商品化。板前の経験をもとに、通常1〜3年かかる熟成期間を約30日に短縮する特殊製法や、澄んだ琥珀色の液にこす手法を確立し、約3年をかけて完成にこぎつけました。19年の「湘南ビジネスコンテスト」では大賞を受賞しています。
一方で小又さんは「塩漬けの魚かすを有効活用してフードロスを解消できないか」と新商品を考案。第2弾「アンチョビペースト」を生み出すも、さらなる挑戦を続けてきました。
うまみを閉じ込めるため、低温でじっくり乾燥
今回、ヒントになったのは「しらすは骨も無いから、乾燥させてふりかけにでもしてみたら?」という常連からの一言。試してみると「たたみイワシ」のような味わいになり、手応えを感じたそうです。
「魚の風味を逃がさないよう、低温のオーブンで乾燥させるのがコツ」と小又さん。試行錯誤の末、ミネラルやマグネシウムが豊富で、臭みもなく、魚の旨みが凝縮された逸品に仕上げました。「ソルトをせんべいや麺、アイスに入れるなどして、ぜひ地域の皆さんで新メニューを考案してほしい」
ソルト(50g・750円税込)は、欣ずし(南湖2の3の12)で販売中。原材料はシラスやアジ、サバなど、季節の魚に合わせて変更となります。