４人の子どもたちがのびのび過ごせる環境を。コロナ禍で港区から茅ヶ崎に移住＜箱崎さん一家の茅ヶ崎暮らし＞

茅ヶ崎市松が丘在住　Nobuさん　Riyoさん　４人の子どもたち

福岡出身のふたりは大学卒業後、都内へ。Nobuさんは金融業界で働く傍ら、空手の指導者として茅ヶ崎や辻堂で子どもたちに稽古をつけているほか、小中高校生・大学生、社会人向けに文武両道コーチングを展開。Riyoさんは日本語教師やアパレル業界を経て、私立高校の英語科教員として勤務。茅ヶ崎移住を機に（株）HAKOHARE を設立。整理収納アドバイザーとして「散らかりにくい・片づけやすい仕掛け」を提案している。

コロナ禍で「騒音問題」に直面し、海辺でおうち探し

コロナの影響でおうち時間が増えたことで、全国で相次いだ住宅の「騒音問題」。４人の子どもがいる箱崎さん一家も例外ではありませんでした。

東京港区内でマンションから戸建てに住み替えをしたものの、「子どもたちがのびのび過ごせるように、もっと広いおうちにしよう。どうせなら海の近くで」と物件探しが始まりました。

戸建てを中心に鎌倉などでも探す中、めぐり合ったのが、茅ヶ崎海側の物件だったといいます。閑静な住宅街に佇む、リノベーションされた一軒家が気に入り、茅ヶ崎に移住することに。2021年9月ごろ、ちょうど長女が小学校１年生になるタイミングでした。

広いリビングでは４人の子どもたちも、各々好きな空間でゆったり遊べます

縁もゆかりもない茅ヶ崎。もちろん知人もいません。

当初は不安を感じたと言いますが、「幼稚園や保育園の催しに参加したところ、気づいたらママ友もできていました。最初、泣いていた長女もすぐに打ち解けたようです」とRiyoさん。
幼稚園や保育園で出会ったママ友とは、一緒に食事をしたり、仕事として整理収納アドバイスをするなど、公私ともに良い関係を築いているそうです。

幼稚園や保育園で出会ったママ友とは、一緒に食事をしたり、仕事として整理収納アドバイスをするなど、公私ともに良い関係を築いているそうです。

自宅敷地で大きなプールで遊べるのも茅ヶ崎ならでは

「茅ヶ崎はスーパーが豊富で、しかも安い」

「茅ヶ崎は都心まで１時間位で通勤しやすく、スーパーも都内では安く感じていたイオンが高くが感じるほど、安い店が多いですね」とNobuさん。さすが、金融業界で働くだけあって鋭く観察しています。

「都内では、選択肢が少なくて利用するスーパーが限られてしましたが、茅ヶ崎では矢畑のエイビイや辻堂のＯＫストア、平塚のユニディにあるロピアなど、商業施設のバリエーションが豊富。価格も安いので、買い物の幅が広がるので助かります。しかも、茅ヶ崎市外にあっても、車ですぐに行けるので便利です」

「おおらかな茅ヶ崎」で４人の子どもたちものびのび

茅ヶ崎についての印象は「おおらか」。

「茅ヶ崎の魅力は海が近くて、自然も緑も豊かだし、交通の便も悪くない。都内は人間関係が希薄ですが、茅ヶ崎はアットホームで、バスで子どもがぐずっても『大丈夫だよ』とあやしてくれたり、『ベビーカー待ちますよ』と運んでくれる人もいます。子育て世代に優しいし、移住者に対しても『ようこそ、いらっしゃい』って感じが多いですよね」

車を運転していても、車線変更などでも譲ってくれる方が多いといいます。

「ご近所の方も、みんな家族みたいにあったかいですね。子どもたちが少し騒いでいても、何も言われません。逆に『子どもの声が響いていて良いよ』と言われるんです」

: 3姉妹はおそろいのワンピで

: お調子者でやさしい長男くん

さすがに4人の子どもたちを連れて自転車での移動は難しく、休日は車で移動。茅ヶ崎のビーチや浜見平のしろやま公園、辻堂海浜公園のほか、平塚総合公園などにも足を延ばします。

休日は家族で「空手」も

空手の指導者の顔を持つNobuさん。日曜日の午前中は、地域の子どもたちに稽古をつけています。普段は穏やかですが、稽古中は「もっと腰を入れて」「声を出して」と檄が飛びます。

道場には、５歳の長男と小学生のふたりのお姉ちゃんの姿も。道着にそれぞれの帯を締めて、「えい」と大きな声を出しながら、真剣な表情で形や組手に励んでいました。

Nobuさんも自分の子どもだからと言って甘えはありません。指導者として、空手の技の修得と実践だけでなく、礼儀作法のほか、集中力や忍耐力、心身の鍛錬を指南します。

Nobuさんはさまざまな大会でタイトルを獲得してきた強者。次女のほなみさんも2023年5月の神奈川県春季少年少女空手道選手権大会「形・小学１年生女子の部」で準優勝を果たしました。

尚徳館の宮國淳師範の下、幼稚園年中から空手を始めると、めきめきと頭角をあらわしたほなみさん。Nobuさんとの練習を欠かさず行い、キレと気迫あふれる技に磨きをかけたそうです。８月に出場した東京武道館での全日本少年少女空手道選手権大会では、初戦で敗退してしまいましたが、初めての大舞台経験は大きな財産になったようです。

子どもたちと一緒にRiyoさんも空手に励んでいます。軽やかに動き、すばやいキレのある技を見せていました。

Nobuさんは中学３年生の夏まで全国大会に専念し、福岡県の公立トップ校に合格。さらに高校３年生までインターハイに注力していたのにも関わらず、早慶大と難関国立大学に合格した「文武両道」の達人です。その経験を生かし、子どもたちに学業も教えています。

「小学生の頃に空手をやっていても、学業と空手との両立ができなくて、中学校でやめてしまう子が多いんです。せっかく取り組んできた空手をやめてしまうのは、もったいないので、空手が終わった後に勉強を教えています。空手を言い訳にせず、そのために必要な具体的な方法やマインドを教えています」

お片付けでママを笑顔にしたい

Riyoさんといえば、日本語学校の教師やアパレル業界を経て、高校の英語教諭として働いていましたが、育休中に退職。整理収納アドバイザーとして『ママを笑顔にするお片づけ』をテーマにご訪問お片づけサービスを提供しています。

「ママは、家事・仕事・育児・介護に本当に忙しい毎日です。私自身もそうですが、時にはイライラすることももちろんあります。その多忙な日常の中で、あるとき、部屋が綺麗に片づいていると、気持ちに余裕がもてていることに気づきました。部屋が散らかっているとなんとなくイライラ。でも、朝起きてスッキリしたリビングに行くと、一日のスタートがとてもよくなる。この経験を他の人にも伝えていきたい、お片づけを通してママを笑顔にしたい、との思いから起業をしました」と語ります。

「今は、服でも雑貨でも、何でも安く手に入る時代。だからこそ、モノとの付き合い方はとても大切だと思います。とりあえず買うのではなく、『本当に今必要か』『収納スペースは確保できるか』を考えて購入するといいですよとご訪問先では伝えています」

Riyoさん宅では、子どもたちもおもちゃや洋服の整理収納を自分たちで行っているそう。

「まずは必要かどうか、自分で考えてもらっています。悩んでいるようなら一緒に見直して、モノの数を調整したり、収納方法も『こうしたら取りやすくなるんじゃない？』とアドバイスしたりしています」

また、捨てると決めてゴミ袋に入れる時には『今までありがとう』と声を掛けることも忘れません。「こうした積み重ねで、子どもたちの自立心が培われますし、心の成長につながっていると思います。また、子どもの洋服はあっという間にサイズがアウトになるので、おさがりはあまりもらわないようにして、数は大人がコントロールすることも大切です」

リビングも家具が少なくすっきり。子どもたちが自由に遊べるスペースがたっぷりあります

「今はまだ都内や企業でのお仕事が多く、茅ヶ崎でのご自宅訪問が少ないので、もっと茅ヶ崎で整理収納の活動を広げていけたらと思っています。不要になったモノも捨てるのではなく、フリーマーケットやワゴンセールのようにして必要な人に譲って、『子ども食堂』などに寄付できたら良いですね。子どもが大好きなので、そんな手助けもできたら」

４人の子育ては「総力戦で楽しく」

「４人の子育ては大変でしょう」と尋ねると、「総力戦で楽しく、賑やかにやっています」とふたりで目を合わせて笑います。

取材中もどちらかが子どもたちに関わっていれば、もうひとりは食器洗いをする、おやつを出すなどと、その時の状況に合わせて役割分担しながら家事をしている姿が見られました。「上のお姉ちゃん２人もすでに戦力になっています。いろいろ任せられるようになってきているし、下の子たちもお料理をしていると、『卵まぜまぜする～』と手伝ってくれて、みんなで楽しくやっています」