尾﨑聡医師(医療法人社団N A L U 理事長)は、神奈川県認知症疾患医療センターに指定された「えびな脳神経クリニック」のほか、海老名市内で居住介護支援事業所などを運営する脳神経外科医です。以下に先生のお話をまとめました。
世界中にいる個人や政府がもし、予防対策をしていれば、今よりも40%の患者を減らすことができるといわれてます。
認知症予防には、①脳のダメージを防ぐことと②認知予備能を高めることがポイントになります。
①脳のダメージを減らすには、糖尿病の改善、高血圧の治療、頭部の外傷を防ぐ、禁煙、肥満を防ぐことが重要です。「糖尿病」の改善には生活習慣がとても大事で、食事を意識して、よく運動をすることが重要になります。「高血圧」は、上を130以下に維持することが大事で、常時130超えると認知症のリスクが高まります。
血圧の薬は、今のところ唯一の認知症予防薬とも言われています。「喫煙」する方のリスクが高いことは大体わかっていることだと思いますが、副流煙も見過ごせません。ご家族が喫煙されている方はリスクが高いといえます。あとは「肥満」。BMI30以下を保ちたいところです。交通安全など、頭部を守ることも意識が必要です。
②「認知予備能を高める」には、難聴の解消と、社会との繋がりを保つことが重要です。難聴の人は認知症のリスクが高いと言われます。補聴器を使うことでリスクは軽減できると言われています。独身の方や、1人暮らしの方もリスクが高くなると言われています。ご近所さんや家族、友人、地域のコミュニティなどに積極的に参加することが非常に大事です。
仕事(有給労働)も効果的だと言われています。ほかにも定期的な運動やアルコールの適度な摂取もポイントです。週に1回以上、45~60分、汗をかくくらいの速足の散歩が目安になります。全くやらないよりは10分とか20分から始めても効果があります(有酸素運動はうつ病の予防にもなります)。
アルコールは、全く飲まないよりは少しは飲んだ方が良いとも言われていますが、過度な飲酒は避けた方が賢明です。
長く生きれば誰でも認知症になります。そのタイミングを少しでも遅らせたいものです。それでもやっぱり、認知症は止めることができないのです。認知症の受け止めには怖さもありますが、なったとしてもどういう風にその人らしい人生を生きていくかを、日ごろから考えておくことも大切なことかもしれません。