横浜市立大鳥中学校(中区)でこのほど、生徒6人と山中竹春市長による給食懇談会が行われました。毎月配布される献立表を通して子どもたちが毎日給食で何を食べているのかは知っているけれど、給食の時間をどんな風に過ごしているかまではなかなか見る機会がなく…。しかも記者の娘と同じ中学3年生ということで興味深々!
最初はやや緊張気味の生徒さんたちでしたが、給食を食べながら徐々に本音トークが飛び出し、最後はまさかのラップまで?!現役中学生たちのリアルな声を聞くことができました。
(取材日/2023年10月10日)
「黙食」から「楽食」に
今回給食懇談会に参加した生徒がいる大鳥中3年2組では、7月から「楽食(がくしょく)※」を行っています。長く続いたコロナの影響で、小・中学校の教室では全員前を向いて黙って食べる「黙食」が当たり前になっていました。それを小学校の時のように机を付け合わせて、友達と向き合いながらみんなで楽しく食べる「楽食」をやってみようと、クラスのみんなで話し合って決めたそうです。※大鳥中学校独自の取組
みんなで食べることのいいところって?
(仁田さん)「楽しいと、ごはんの味がもっと美味しくなる!それに食べる時に話してるのって結構〝素〟の状態だと思うから、友達との仲もさらに深まったり、交友関係が広がったり」
(今田さん)「小学校や1、2年の時クラスが同じではなかった人とも仲良くなれる機会になります」
(市長)「みんなで一緒に食べるとより美味しい、楽しいという様子が伝わってきました。大切な中学校の3年間なので、給食の時間も楽しく過ごしてもらいたい。(中学校給食のキャッチフレーズである)『いっしょのもの、食べた思い出、いっしょうもの』を目指して我々もメニューづくりなどに力を入れていきたいです」
汁物を食缶方式で提供
この日の大鳥中では、試験的に汁物が食缶方式で提供されました。
食缶提供はどうでしたか?
(向井さん)「いつもと器も違って、具だくさんで食べ応えあって美味しかったです」
(渡部さん)「もう全部食べきっちゃいました(笑)。小学校の給食を思い出しました」
と食缶提供は大好評でした。
具と汁を一緒に煮込むことで、汁物の中に野菜などの具の味がよりしみ出したり、食缶を開けた時に湯気や香りがふわっと漂ったり…。五感で味わうことって大事ですよね!市長は「2026(令和8)年度からの全員給食に向けて汁物の食缶提供を進めていけたら」と話していました。
2026(令和8)年度から全員給食へ
現在給食は家庭弁当等との選択制ですが、2026年度からは全員で食べる中学校給食がスタートするようです。全員給食が始まれば子どもの栄養も安心できるし、朝のゆとりもできるし、保護者も大助かりになりそうですね。
給食を利用する理由は?
(児玉さん)「中学生になったら荷物が多い!少しでもかばんを軽くしたかったし、なにより親の負担(軽減)があります。土日のサッカーでもお弁当を作ってもらっているから、平日まで朝早く起きて作るのは大変だと思って。給食は手軽に頼めて栄養バランスも良いので、学校生活もよりよく過ごすことにつながっています」
(向井さん)「私は1年生まで母が作ったお弁当を食べていたのですが、2年生になって親の負担を減らしたいという思いから給食にしました。実際食べてみたらすごく美味しかったので、今でも続けて頼んでいます」
この理由には市長も大きくうなずき、まさに2人が話していたことが、横浜市が全員給食を進める大きな理由の一つだと説明します。
(市長)「私自身も35年以上も前?結構前なんですが(笑)、中学生時代に毎日親にお弁当を作ってもらっていて、負担かけているなと思っていました。朝の時間ってものすごく忙しいですよね。お弁当を作っていた時間を別のことに使って欲しい。時間にゆとりができることで、心にもゆとりができる。各ご家庭が朝の時間をゆとりを持って過ごしてもらえたらと思っています」
給食をきっかけに
メニューの話題になると、様々な意見が飛び出しました。
好きなメニューは?
(児玉さん)「海外のメニューが好き。世界にはこんな料理があるんだ、こんな味なんだと気づきがあって楽しい。食を通して学びがある」
苦手なメニューは?給食で出たらどうしてる?
(仁田さん)「ブロッコリーが苦手。でも残すともったいないのでしっかりかんで食べていたら、最近は苦手じゃなくなってきた」
(今田さん)「自宅のお弁当は好きなものばかりが入っていたけれど、中学校給食にしてからは苦手なものも食べるようになって、好き嫌いが減りました」
給食が苦手なメニューを克服するきっかけになってるようです。確かにうちの娘もきのこや海藻類が苦手なので家庭弁当では一切入れませんが、「給食は残さない」と言っていたので案外食べられるようになっているのかも?!
ちなみに市長が大好きなメニューは「生徒の考案メニュー」。どんな思いで作ったのかを(献立表を通して)知ることで、より味わい深く食べられるのだとか。
給食を通して新たな発見も
(渡部さん)「特別な日に食べる行事食や季節の料理がでてきたりするから給食を通して知ることも多いし、『今日は〇〇の日なんだよ』と家族とのコミュニケーションのきっかけになっています」
(吉村さん)「私が知らない日本の行事食も結構あって、新しい知識が増えていくのが嬉しい。日本の行事食など昔の人の考え方に、なるほどな~と思うことも多い」
食べたことのない料理を食べる、好き嫌いがなくなる、メニューから興味、関心が広がっていく-。給食が様々な「きっかけ」になっているようです。
(市長)「中学生のみなさんに給食を食べてもらいたい理由の一つに、食を通して様々なことを学ぶ『食育』の大切さがあります。栄養バランスが良いものを食べてもらうことはもちろんですが、世界の料理や日本の昔ながらの行事、食材がどこで、どのようにつくられているかなど、皆さんの学びにつながればと、専任の栄養士さんたちが丁寧に献立を考えてくれています。食を通していろいろなことに関心をもってもらえているのは嬉しいですね」
給食の時間を楽しく!
「♪YO!もうすぐはじまる『楽食』、みんなは楽しむ権利を獲得、YO!楽しい給食をもう一度、皆が楽しむ時間だ用意しろ!!」
最後は仁田さんが、クラスで大好評だったという給食のラップを披露。終始笑顔が絶えない会になりました。
実は市長も毎日給食を食べているそうですが、一人で食べることも多いとか。
(市長)「みなさんと一緒に給食を食べられてよかったです。やっぱり、楽しいよね!みんなでわいわいしゃべりながら食べるのって。給食の時間が中学校生活の思い出になるように、様々な形で進化させていきたいと思っています」
まさに「いっしょのもの、食べた思い出、いっしょうもの」。この懇談会の思い出も一生ものになりそうですね。
「青春」たっぷりのプロモーション動画も必見
現在公開している中学校給食のプロモーション動画には、実際に横浜市立中学校に通う生徒たちが出演(懇談会に参加した生徒6人も登場しています)。みんな笑顔いっぱいで給食を食べていて楽しそうです!遠い昔の青春時代を思い出して、なんだかホロリ。イマドキの中学生のリアルな学校生活の様子も垣間見られるので、ぜひチェックして見てくださいね。
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