◇身寄りのない高齢者、どう支える
超高齢化社会を迎え、相続や遺言に代表される「終活」を考えなければならない人は増加の一途をたどっています。また、配偶者との死別や子・孫と離れて暮らすことにより、周りに頼れる身内がいない高齢者をどう支えていくのかも課題です。
平塚市紅谷町で2010年に創業した行政書士事務所「まちなかステーション」の加藤俊光さんは、そのような状況下に置かれた高齢者が取りこぼされることなく、安心して残りの人生を歩んでいけるようにと、行政書士としての枠を超えた活動に取り組んでいます。
「少子高齢化が進み、単身者や子どものいない夫婦が増えています。近所付き合いも疎遠になる中で、『最期をどのように迎えるか不安』といった声をいただくことが多くなりました」という加藤さん。中でも、遺言書に関する相談は「ここ10年で想像以上に増えてきたと感じます」と話します。
◇横の連携で終活を手厚くサポート
開業当初こそ、「相続」「遺言」に特化した活動をしてきた加藤さん。しかし、ここ数年は単身者や子どものいない夫婦などの不安に寄り添うため、「任意後見契約」や「死後事務委任契約」などを活用して終活のサポートに力を入れています。「金銭管理、医療同意、葬儀、埋葬、遺品整理まで依頼者と信頼関係を構築しながら進めています」(加藤さん)
◇豊富な人脈を生かして多職種連携
身寄りのない高齢者などへのサポートを行う中で、加藤さんは平塚市社会福祉協議会をはじめ在宅医やケアマネージャー、訪問看護師、ヘルパーなどとのつながりも生まれました。これら医療職や福祉職との連携により、身近な生活支援や入院、高齢者施設への入所に必要な保証人を担うなど、多彩な業務をこなしています。
- 加藤さんは「行政書士である私には対応が難しいことも、多職種が連携することで様々なお悩みに応えることができるようになります」と話します。相談者の中には、「こんなことまでお願いできるのか」と驚かれる方も多いそうです。
◇「家族のように」寄り添い、支える
加藤さんには、ある高齢女性との忘れられない出会いがあります。頼れる身寄りがない中で、「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」という希望を持った90代の女性。加藤さんは家族になり代わり、その女性を看取り見送ったといいます。このような姿勢も、医療・福祉の専門職と密接に連携しているからこそできる、加藤さんならではの寄り添い方です。
- 「全ての依頼者に共通することですが、私は仕事という考えを超えたお付き合いを大切にしたいと考えています。『息子代わり」というとおこがましいかもしれませんが、家族のように寄り添い、支えることで、その方らしい最期を迎えてほしいと願っています」
◇地元平塚で、より多くの出会いを
加藤さんは平塚出身ということもあり、仕事以外でも「地域密着」を掲げて様々な活動に関わっています。わが子の通う学校ではPTA会長を務めるほか、レギュラー出演するFM湘南ナパサの「消費生活相談コーナー」(毎月第3木曜日・午後2時~)では、専門分野を生かして相続などの情報を発信しています。
自らが地域に出向いて多くの方たちと触れ合う中で、見えてくる課題も多いといいます。
- 「世の中には、まだ私が知らない多くの悩み事があるはず。自分の知識や経験、横のつながりを生かしながら、それらのお悩みを解消するお手伝いができたら幸せですね」
加藤さんが展開する「まちなかステーション」では、「墓じまい」や「おひとりさま・子どもがいない夫婦の悩み解消」まで、幅広いニーズに対応しています。「生まれ育った平塚の地で、一人でも多くの方の不安に寄り添い、解決に導いていけたらと思っています」(加藤さん)
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