松田町では2023年10月17日、松田町生涯学習センターでAI(人口知能)を活用した乗り合いバス「のるーと足柄」運行開始を記念したオープニングセレモニーを開催した。
令和2年の国勢調査で松田町の人口は10,836人、65歳以上の高齢化率も34.1%。町内では少子高齢化の影響を受けて路線バスの便数も減っている。移動の利便性が低下すると、経済・観光・移住定住・子育てなど、あらゆる面でマイナス要素になるとして、町は既存の公共交通サービスが行き届かない地域や時間帯を補完する交通網の在り方について検討を進めていた。
「誰もが笑顔で行きたい所へ行ける町、松田」を目指して
松田町生涯学習センターで開かれた式典には関係者らが多数参加し、運行開始を祝った。運行が始まった「のるーと足柄」は 、ワンボックスカーを使った事前予約制の乗り合い交通サービス。定時定路線の路線バスと異なり、決まったダイヤやルートがなく、当日の予約状況からAIが最適なルートを計算し運行するもの。事業者は無駄のない運行ができ、利用者も自分の都合に合わせて乗車できる。
運賃は都度払いにも対応しているが、割安な定額乗り放題も用意されている。本山町長は「人が動くことは経済を動かす。移動手段が限定的だったエリアでは、移住定住の促進も見込める。マイカーからの転換により渋滞解消やCO2の削減につながる。身近な足があることで免許返納への抵抗が薄れ、増加の一途をたどる高齢者の交通事故防止にもつながるのではないでしょうか。ぜひ、この便利さを実感してほしい」と呼び掛けた。
バスとタクシーの中間のような乗り物
梶田理事長は「超高齢化社会では定時定路線の維持には運転手不足という課題もある。だからこそ、利用者がいる場所へ行くオンデマンドバスが進んでいる。乗り合いという点では路線バスに近く、利用者が車を呼ぶという点ではタクシーに近い。利用方法も簡単なので、慣れればよりその便利さを実感できるはず」と話す。
テープカットでいよいよ運行開始
バスの運行時間は午前6時半から午後10時。乗降場は町内で約150〜200mに1カ所の割合で設置されている。
乗車は、まず自分にあった「パスポート」を選び、利用者登録。あとは、行きたい場所を選び、スマホアプリや電話で予約するのみだ。登録は町民に限らず、誰でも可能。家族構成等に合わせて用意されたパスポートは4種類あり、ファミリーパス(同一世帯5人まで)なら、1カ月6千円、65歳以上のシルバーパスは同3千円でそれぞれ乗り放題に設定されている。3カ月・6カ月単位のパスポートなら、さらに割安で乗車できる。このほか、都度支払いにも対応している。
ステップ低く、乗り降りしやすい
「のるーと足柄」は今後、本格運行を前提に26年度までを実証運行期間と位置づけ、足柄地域にあったスタイルの確立をめざしていく。本山博幸町長は「。実証運行を経て、足柄地域に広がっていけば。ぜひ利用して、その便利さを感じてほしい」と呼び掛けた。サービス等に関する詳細は一般社団法人足柄オンデマンド