【一円融合 vol.2】古川達高さん「掴んだ運や縁を還元する」/㈱エスアールシー代表取締役社長

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【一円融合 vol.2】古川達高さん「掴んだ運や縁を還元する」/㈱エスアールシー代表取締役社長

小田原市に本社を構える物流会社の経営者であり、県西地域の観光振興に取り組む団体トップ、そして飲食店やライブハウスも運営し、硬軟問わないまちづくりのシーンで活躍する古川達高さん。目じりを下げた笑顔で語られるのは、巡りあった縁を地域に還元しようという「恩送り」への思いだ。

<目次>※気になる項目をクリックしてください

■「縁」からはじまるキャリア
■独立し、次の道へ
■自分にあるのは「運」
■夢をつなぐ新たな挑戦

「縁」からはじまるキャリア

県立西湘高校を卒業し、短大で建築を学んだ古川さんのキャリアは地元工務店の現場監督から始まる。働き出したのもつかの間、「施主が人生をかけて建てるものに対して、こうした方が良いんだけどっていう、作り手側の視点が当時の立場からは挟めないって気づいたんです…」。日々の疑問は大きくなり、1年も経たないうちに退職を決断した古川さんに「縁」が訪れる。新築住宅の見積を担当していた地元スーパー「ヤオマサ」の経営者から声が掛かり、22歳で再就職。新設されたばかりだった「販売促進」の役割を任された。

「合理的かどうか」

出向先で販売促進を学んでいた頃の古川さん

ノウハウを学ぶため、最初の半年は商品卸の企業へ出向。「チラシの作り方や店舗での販売戦略など、得たい知識は教えてもらえなかったので、実際の現場や専門誌から独学で吸収していくしかなかったですね」。ヤオマサに戻ってからは、生鮮や魚などのスタッフに「販売促進」の考えを浸透させていった。2年半ほど経って久野店の店長に就いたが「まだ若かったから、上司が店のスタッフに『古川君』て呼ぶよう伝えていたんです(笑)。だからまずは店長って呼ばれることを目標にがんばりました」。

参考にしたい都内のスーパーがあれば若手と足を運ぶなど、店づくりへの思いを共有するうちに古川さんの存在感が自然と伝わっていった。店独自で夏服を導入し、店の鍵を店長以外とも共有する、長期休暇の積極活用など、合理的なことはすぐに採用した。「会社から怒られてばかりでしたが(笑)、続けていくうちに『店長』って呼ばれだして。会社からも新しい企画には『古川をプロジェクトに入れろ』って風潮になっていきました」。

右下でペンを加えながら研修に参加する古川さん(笑)

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独立し、次の道へ

39歳で専務に昇進するなど、順風満帆に見えた一方で40代半ばのある日、「定年まであと15年か…」と将来のことが頭をよぎった。そんな折、社長交代のタイミングに「自分がいたら新社長が進めたいことの妨げになる」と退職を決意した。これまでの実績もあり「取引先などから声でも掛かるかなと思っていましたが、甘くはなかったです(笑)」。

そんな時、ヤオマサが売却を進めていた物流部門の受け入れ先から「辞めるんだったらこれをやってみない?」と声が掛かる。ヤオマサとわずかな委託先に市場から商品を配送していた赤字事業…。周囲の心配を尻目に退職金をはたき、新たな「縁」に導かれ46歳で独立を果たした。

推し進めた「効率化」

『勝算がない』、というのはこれまでのやり方なら、という前提の話。「運送のことは分からない。だったら自分にある『経営管理のノウハウ』で儲かる理屈を生み出そうって考えたんです」。

軸に据えたのは『欲しい人に、欲しいものを』というシンプルな考え。ほぼヤオマサだけだった取引先を増やし、荷受け拠点を県内各地に構えることで小規模な地場商品も流通網に乗せた。更に従業員の稼働オペレーションも再構築し、効率化。古川さん流の「人と物流のネットワーク化」を拡げ、関東一円の配送ネットワークを構築。加えて小田原ならではともいえる東海方面の窓口役も担うことで事業は拡大。十数台のトラックで年商2億弱だった会社が10年後には所有トラックが60台以上、年商12億円を超えるまでに成長させた。

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自分にあるのは「運」

「『一生懸命』とか『努力』ではなく、自分にあったのは『運』」と笑う古川さん。探していた県央エリアの拠点がふとしたタイミングで見つかるなど、巡り合わせのエピソードには事欠かない。古川さんにあるのは、巡ってきた物事を見極める判断力だ。「それが困りごとや課題を解決できるのかを考える。頼まれたことを愚直にやってお客さんを得させられたか、そこなんですよ」。運や縁を呼び込むのは、明確な考えがあるからこその結果と言えそうだ。

 

縁を紡ぎ、恩を返す

FMおだわらでは毎週放送の音楽番組ではDJも担当

事業を軌道に乗せ、趣味の音楽活動を充実させるためにライブハウスや飲食店の経営にも乗り出した古川さん。店舗を構える小田原ダイヤ街商店会ではアイデアマンとしてさまざまな企画を立ち上げたほか、駅地下街再生の話し合いの場にも参加するなど、まちづくりにも積極的だ。

小田原三の丸ホール・大ホールの緞帳(どんちょう)は古川さん個人が寄贈したものだ

ビジネスとまちづくり、そんな多角的な人脈による新たな縁として、2016年には東京五輪やラグビーW杯を契機とした盛り上がりを県西地域に呼び込もうと設立された「かながわ西観光コンベンション・ビューロー」(DMO)の代表に就任。「公職は初めてでしたが、おもしろそうだなって思ったんです。みんなで観光地としての魅力を広めようと知恵を絞っています」。ビジネスを超え、地域やまちのために、と奔走する姿から見えてくるのは、さまざまな縁を恩として返そうという思いだ。

2023年冬にはまちづくりに関するイベントで黒岩県知事とも対談した古川さん

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夢をつなぐ新たな挑戦

2023年には飲食店「LEGALO」をオープン。店舗を構えたのは24年に開業する「小田原シネマ館」2階。これはかつて「小田原映画祭」を主催していたNPOおだわらシネマトピア理事長の故・蓑宮武夫さんと進めてきたプロジェクトだ。文化発信を軸に人が集まる、そんな拠点をつくろうと長年進めてきたものだ。

映画館立ち上げ直前の会議の様子

10年ほど前に地域団体設立が縁で知り合った2人が中心となり取り組んできたが、23年冬に蓑宮さんが急逝。盟友の思いも込めながらLEGALO、小田原シネマ館を前に進めていく。「自分の人生を考えたら、縁と運に感謝しかない。それに対するペイフォワード、恩送りが今自分がやるべきこと。二宮尊徳が伝えた『一円融合』と『分度推譲』の教えそのものなんです」。

無謀と思えることに立ち向かう勇気、携えるのは自らが築いた経験と人間関係。その行動力によってもたらされる運と縁を見逃さず、味方につける。「商売のコツ、成功の秘訣なんて分かりません」と謙遜するが、古川さんのビジネススタイルには明確なものがある。

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住所

神奈川県小田原市前川183-13

問い合わせ

株式会社 SRC

電話

0465-49-7071

0465-49-7071

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公開日:2024-01-31

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