三浦市は5月22日、老朽化した「うらりマルシェ」の改修を含めた三崎漁港の新たな海業振興を目指す用地利活用プロジェクトの優先交渉権者に、興和(本社・名古屋市)グループを選定したと発表した。今後は2025年3月の基本協定締結に向け、地元の関係者らと調整を図りながら協議を進めていく。
「新海業プロジェクト」と銘打った事業。県が2・6ha、国が0・3ha、市が0・1haを所有する三崎漁港の本港・新港地区の3区域が対象用地で、事業者への貸付期間は最長30年とした。
敷地内には、うらりマルシェのほか、市民ホール、交流広場、三崎まぐろ加工センターといった建物や施設が点在。うらりマルシェは2001年の開業から改修しておらず、また昨年3月には保養施設「サンポートみさき」の廃業に伴う更地化など、漁港を取り巻く環境は変わりつつある。
こうした状況の中、市は昨年1月に興和グループから事業者の自己負担を前提とした公民連携による提案を受けた。「課題解消への貢献度が高い」と判断した市は、正式な提案として取り扱うため、同年12月に制度実施要領を作成。国の実施要領の趣旨に鑑み、加点配分5〜10%の最低ラインを初めて導入した。募集要項に評価項目合計740点の5%にあたる37点をインセンティブとして、同グループに加点することを盛り込んだ。評価点は402点となり、結果的に応募したのも同グループだけだった。
興和は2020年に安田造船所(本社・大田区)と合併会社を設立。二町谷埋立地でリゾート開発を目指している。
市はプロジェクトの提案内容を公表していないが、5月下旬にうらりマルシェを運営する三浦海業公社の職員や三崎朝市協同組合の組合員などに対し、大まかな概要を説明したという。同組合の立川哲夫理事長は「まだ不透明な部分も多いけれど、三崎を盛り上げるための再開発として、良い方向に進むことを期待したい」とコメントした。