横浜市中区にある桜の名所・根岸森林公園は、幕末の1867年(慶応3年)日本初の洋式競馬が行われた場所で、桜の季節にはいまも残る旧一等馬見所(昭和5年建設)を背景に、重厚感ある桜の風景を写真に収めることができるスポットです。
桜の本数はこの旧一等馬見所や遊具広場がある簑沢地区に100本、なだらかな芝生の丘に350本の桜山があります。グリーンの芝生の上に叢雲のように浮かぶ桜山は見事で、昨年4月には約9万5千人が訪れました。
駐車場は第一駐車場、第二駐車場それぞれ100台ずつありますが、桜の季節はすぐ満車になるため、昨年は近隣の本牧山頂公園から無料シャトルバスが運行されました。
春夏秋冬に魅力ある公園
根岸森林公園は1977年(昭和52年)に開園した横浜市の公園で、現在は老舗園芸会社の横浜植木株式会社が施設管理をしています。今回は公園管理事務所所長の沼田久代さんに見どころを聞きました。
話を伺ったのは2月の冬でしたが、色とりどりのチューリップが咲いていました。これはアイスチューリップという品種で、球根を一度凍らせてから植えると、外気にふれることで球根が春が来たと勘違いして花を咲かせます。このチューリップは11月頃植えて、お正月頃開花したとのこと。
根岸森林公園には春夏秋冬それぞれの魅力があると沼田さんは言います。冬の見どころは梅林。2月3日、4日には隣接する馬の博物館とともに梅まつりが行われました。
梅林には68種306本の梅の木があり、例年1月下旬から3月初旬まで花を咲かせます。2017年からは梅をより美しく見せるための剪定や、ネーム(品種が書かれた札)の付け替え作業を行っています。品種は芽が出始めないと違いが分からないものも多く、咲いてみたら実はネームが間違っていたということもあり、付け替えはこの時期ならではの作業だといいます。
桜の時期が一番賑わう公園ですが、沼田さんのおすすめは意外にも冬の時期。「冬の葉を落とした木々の間から3つの塔が見えるのが素敵だなと、いつも冬になると思います」。公園事務所の建物がある場所から旧一等馬見所が見えるのは冬だけの特別な風景だと教えてくれました。
休憩スポット・趣きある遊具広場
第一駐車場側には、インフォメーションを兼ねたカフェがあり、コーヒーやお菓子が販売されているほか、入口付近には自動販売機や無料の休憩スペースがあります。1周1,3kmあるランニングコースがあることから、ロッカーやシャワーがある更衣室があり、ランナーにも優しい施設です。
簑沢地区にある旧一等馬見所は、近代化産業遺産に認定された建物。中身は非公開ですが、大正から昭和にかけて横浜に名建築を残したJ・H・モーガンの設計で、建物のふもとは「モーガン広場」と名付けられ、当時の歴史を知ることができます。根岸競馬場は1942年(昭和17年)に幕を下ろすまでの76年間、競馬が行われていました。
現在は円形の芝生が広がるふれあい広場やバスケットコート、さまざまな遊具が置かれています。傾斜を利用して設置されたロング滑り台は子どもたちの一番人気。歴史ある建物と相まって他の公園にはない趣きある写真が撮影できます。