ここは、2024年7月にオープンした箱根町仙石原の古民家カフェ「a*maze CoffeeHouse(アメイズコーヒーハウス)箱根」。店内に入ると、若いカップルや外国人観光客、登山客たちがのんびりとくつろいでいます。
カウンターでコーヒーを注ぐ店主の山﨑陽平さんは、2018年に箱根に引っ越してきた移住者です。「いつか自分の店を持ちたい」という夢を箱根で叶えました。
箱根のどんなところに魅力を感じたのでしょうか。また、開業までに大変だったことは?そんな疑問に、率直に答えてもらいました。
- 箱根に移住したい人、箱根で自分のお店を持ちたい人は参考にしてみてください。
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自然体でいられる居心地の良さ
いつごろから箱根移住に興味を?
神奈川県内に住んでいたので、もともと箱根は身近な地域でした。でも、大人になるまで特に注目してはいなかったです。
魅力に気付いたのは30代になってからですね。通うほどに、箱根って良いなと感じるようになりました。
例えば、どんなところが魅力だと思いますか?
肩の力を抜いている感じがありますよね。服装とかも頑張らなくていいといいますか。
仙石原まで登ってくると、雄大な自然を感じることができます。そこに住んでいる人や、観光に来る人たちとも、なんとなく雰囲気が噛み合うなと感じていました。
最初は箱根町の宮城野という地域に移住しましたが、つい最近、住まいも仙石原に移したんです。
特に仙石原という地域が気に入ったのですね
そうですね。この居心地の良さが好きで、お店をやるなら仙石原でやろう思っていました。いろいろな縁があって物件が見つかり、念願のカフェをオープンすることができました。お店に来た方にもこの居心地の良さを感じてもらえればいいなと思っています。
地域に根付いて、細く長く
a*maze CoffeeHouse箱根はどんなお店ですか?
スペシャルティコーヒーを提供しています。ランクの高い豆を仕入れて、お店で焙煎をしています。オリジナルのドリップバックを作って箱根のお店や宿泊施設で取り扱ってもらったりもしていますよ。
地域には馴染みましたか?
そうですね。仙石原のコーヒー店で2年ほど働いていたこともあり、地域の方も暖かく迎えてくれている雰囲気ですね。「いつものあれで」と注文される方がいたり、近隣の方が待ち合わせの場所として使ってくれたりもします。
仙石原には移住者や二拠点生活の人が多くて、地元の方と混ざり合っている印象です。細く長く、地域に愛されるお店にしたいです。
箱根にお店を開くことのメリットは?
箱根はネームバリューがあるので始めやすさはあると思います。例えば観光客が多いですし、オープンしたときは取材もしていただけたりします。
ただ、条件に合う物件はなかなか見つからなくて。ぼくも苦戦して、5~6年は探していました。なので早めに情報収集を始めて、不動産屋だけでなく役場の人にも相談することをおすすめします。
不便を楽しむくらいの余裕
やっぱり、冬は寒いですか?
仙石原は特別な寒さですね。雪国感があります。なので壁や床に断熱材をしっかり入れて、室内で暖かく過ごす工夫をしています。
もちろん冬はスタッドレスタイヤに換えます。先日は、車のドアが凍って開かないこともありました。凍結や雪の対策は欠かせないですね。
生活で不便に感じることは?
例えば、買い物はスーパーが少ないので不便です。なので、隣り町の小田原や御殿場に出掛けることが多いです。どこに行くにも、一人一台、車は必須ですね。それに、観光地なので渋滞に巻き込まれることもあります。
いろいろありますが、これらの不便を楽しめるくらいの余裕があれば、箱根での生活にも向いていると思いますよ。
子どもにとっては良い環境ですか?
箱根は待機児童がゼロなんです。ぼくにも保育園に通う子どもがいますが、安心して預けられました。子どもの人数が少ないので、保育士や先生が一人一人を丁寧に見てくれますね。子ども同士もまるで兄弟のように育って行きますよ。その一方で、どうしても人間関係が狭くなってしまうということはあります。良くも悪くも、捉え方次第ですね。
もうひとつ懸念点としては、町内に高校がないので、将来的には引っ越すのか、通わせるのかを考えないといけないです。ぼくはここでお店を長く続けたいので、どうにか通ってもらう方法を考えたいです。
一歩踏み込んだところにある魅力
すっかり虜になっていますね
ええ。観光客でにぎわう湯本から、一歩踏み込まないと箱根の魅力は伝わらないと思っています。移住で失敗をしないためにも、早いうちから生活者のリアルな声を聞いて、そこで暮らすイメージをふくらませてみてください。ぼくでよければ、いつでもお店でお待ちしていますよ。
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◆ポーラ美術館に転職/稲見さん
◆ガイド業で独立/及川さん