1956年から、秦野のガスを支える
水道・電気・ガス・通信・交通など、毎日の生活を支える基本的な土台となるのが生活インフラ。その中で、料理や入浴時に欠かせないガスの供給を中心に事業を行っているのが秦野ガス株式会社です。
創立したのは1956年。本社のある秦野駅周辺から都市ガスの供給を開始し、ニーズが高まる中、鶴巻・渋沢方面にも順次拡大。80年代後半には伊勢原市や平塚市の一部へも供給が広がり、ほぼ現在の供給エリアになりました。
安心、安全が第一の使命
都市ガスの供給のほか、LPガス、発電・売電、リフォームなど幅広く事業を展開している秦野ガス㈱。市民の生活インフラを支える上で友添修吾代表取締役社長は「私どもは安心・安全に、ガスをお客様にお届けするのが第一の使命と考えております。これからも都市ガスをメインに、電気やプロパンガスなどいろいろなエネルギーの供給を行い、市民の皆さまにエネルギーを安定的にお届けしていきます」と思いを話してくれました。

市民生活を支える、インフラ企業としての思いを語る友添社長
秦野ガス㈱の事業内容
(1)都市ガスの販売及び供給の事業 |
(2)液化石油ガス販売及び供給の事業 |
(3)管工事に関する一切の事業 |
(4)発電および売電に関する事業 |
(5)電気の販売等に関する事業 |
(6)電気工事に関する一切の事業 |
(7)リフォーム等に関する事業 |
(8)上記に付帯する事業 |
あの球体は何!?
そして、気になるのが水無川沿いで目を引く大きな球体。これはガスを貯めている〝ガスホルダー〟と呼ばれる設備。ガスの使用量は一日の中で波があり、まず朝のピーク、次に昼、そして夜に大きく増えます。

カーボンニュートラル推進室の室長補佐として脱炭素に取り組む栗原さん
- 「ガスをたくさん使う時に、ホルダーに貯まっているガスを合わせて出し、使用量の少ない夜中などに貯めて、需要に合わせて供給を安定させているんです。そのために必要なのがガスホルダーです」と友添社長。
2021年、秦野市とカーボンニュートラルに関する連携協定を締結
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質ゼロにすることを意味するカーボンニュートラル。
秦野市は2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」への挑戦を表明しています。その一環として秦野ガス㈱、東京ガス㈱、秦野市が2021年11月、「カーボンニュートラルのまちづくりに向けた包括連携協定」を締結しました。
連携項目
(1)カーボンニュートラルな街づくりに関すること |
(2)安全で安心な暮らしの実現に関すること |
(3)市民との共創によるまちづくりに関すること |
(4)秦野市の魅力等の情報発信に関すること |
(5)その他市民サービスの向上に関すること |

カーボンニュートラル推進室の佐野室長
ガスの「卸元」と「卸先」という関係で、以前から密接なつながりがあった東京ガス㈱と秦野ガス㈱。東京ガス㈱の「地方自治体と連携してカーボンニュートラルを進めていきたい」という思いに秦野ガス㈱、秦野市が賛同したことにより、3者で協定が結ばれることになりました。
- この協定は、約80ある東京ガス㈱が結んでいる同様の協定の第1号でもあります。
カーボンニュートラル推進室が取り組みをけん引
秦野ガス㈱では、この取り組みを進めるため社内にカーボンニュートラル推進室が発足しました。現在のメンバーは佐野均室長、栗原誠宜室長補佐、曽我信啓さん、須山薫さんの4人。
緑地保全活動の一環として2022年から、秦野市「くずはの広場」のネーミングライツを取得し「秦野ガス・ネイチャーパークくずは」と命名。「くずはの家」の自然を楽しむイベントにも定期的に出展しています。

カーボンニュートラル推進室 地域共創担当の須山さん
また、天然ガスの採掘から燃焼に至る工程で発生する温室効果ガスの排出量を森林保全や植樹などによる吸収量で相殺したと認められた「カーボンオフセット都市ガス」、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーが持つ環境価値を付与した「さすてな電気」の取り扱いも始め、カーボンニュートラルなまちづくりを目指すほか、さまざまな地域の課題解決に取り組んでいます。
「秦野市さんと包括連携協定を結ばせていただいたことで、カーボンニュートラルを中心に、より幅広い分野での地域課題の解決に向けたお話ができるようになったと思います」と佐野室長。
太陽光発電設備を秦野市浄水管理センターに設置
秦野市浄水管理センター(秦野市上大槻190)の屋上に設置された太陽光発電設備。PPA事業者は秦野ガス㈱です。2025年4月から稼働されるこの太陽光発電設備は、秦野市内の公共施設に設置されている中で最大規模の約500kWの発電能力があります。

秦野市浄水管理センターの水処理棟屋上に設置された太陽光発電設備
これは事業者が自治体や企業の屋上などを借り受けて太陽光発電設備を設置し、発電した電気をその施設で使用するために売るPPA方式による事業。室長補佐として事業に関わった栗原さんは「市内の公共施設で適所を探し、一番電力消費が大きい浄水管理センターに決まりました。発電された電力を活用することで、浄水管理センターの約10%の電力を賄うことができるようになる想定です」と設備について話してくれました。