1年ぶりの更新となるリレーコラム『茅ヶ崎とわたしと』
今回は茅ヶ崎市観光協会が作成している“観光誘客ポスター”に注目してみました。茅ヶ崎市観光協会が毎年、観光誘客を目的にポスターを製作しているのはご存じですか。
茅ヶ崎らしさが詰まったポスターの魅力や、今では貴重な過去のポスターもご紹介します。
心を掴まれた茅ヶ崎の観光誘客ポスター
『#ちがすき』記者として仕事をするようになってから、私には毎年楽しみにしているものがあります。それは、茅ケ崎駅の構内や商店街の店先に掲示されている観光誘客ポスター(以下、ポスター)です。
SNSで大きく話題になるような奇抜さや目新しさがあるポスターではないのかもしれません。それでも、「今年はこうきたか!」と思わせるキャッチコピーやイラスト・写真で彩られたポスターは、記者として働く私の心を掴んで離さない魅力を持っているのです。
2025年ポスターのテーマは「海」と「音楽」
皆さんも一度はポスターを目にしたことがあるかと思いますが、まずは、2025年版を紹介します。

2025年のポスター
2025年のコンセプトは茅ヶ崎の「海」と「音楽」。
ポスターの中央に茅ヶ崎の海とえぼし岩が、その周りには茅ヶ崎を象徴するサザンCやアロハシャツなどが描かれています。散りばめられた音符や五線譜からは、今にも優しい音色のハワイアンミュージックが聞こえてくるようです。
日本有数のビーチタウンとしてだけでなく、加山雄三さんやサザンオールスターズの桑田佳祐さんらを輩出した音楽のまち・茅ヶ崎らしい雰囲気に溢れていると思いませんか。
その年の茅ヶ崎の様子が分かるポスターデザイン
ポスターは毎年新しいデザインに更新されていて、製作した年を象徴するような出来事などがテーマになっています。
たとえば、2024年のポスターがこちら。

2024年のポスター
2024年と聞いてすぐに“ピン”と来た方は“茅ヶ崎通”ですね。
2024年といえば、茅ヶ崎市とホノルル市・郡が姉妹都市友好協定を締結して10周年を迎えた記念イヤーでした。
大きく描かれたアロハポーズと、ハワイを連想させるモチーフの数々、“アロハでつながる”のキャッチコピーなど、茅ヶ崎市とホノルル市・郡の関係が強く打ち出されたデザインとなっていました。
これは2021年と2022年のポスター。
- 2021年のポスター
- 2022年のポスター
“ココロおどる”、“心に描く”や“Emotional”といった内面を捉えたキャッチコピーが目立ちます。この時はまだコロナ禍であり、旅行を控える方が多かったことがポスターにも影響していたものと思われます。
なかなか旅行にも行くことができなかった厳しい社会情勢の中でも、前述のキャッチコピーや“また この海を見に やってくる”といった前向きなメッセージが、茅ヶ崎らしい明るい雰囲気を伝えています。
歴代のポスターを一挙紹介
データを手に入れることができた歴代のポスターを一挙ご紹介します。
- 2023年のポスター
- 2020年のポスター
- 2019年のポスター
- 2018年のポスター
- 2017年のポスター
- 2016年のポスター
- 2015年のポスター
- 2014年のポスター
- 2013年のポスター
- 2012年のポスター
- 2011年のポスター
- 2010年のポスター
- 2009年のポスター
皆さんの記憶に残っているポスターはありましたか。
ちなみに、過去のポスターを調べていて、私が1番グッときたポスターが、これです。

記者一押しのポスター
歌に愛された岩がある。
“茅ヶ崎”と11文字キャッチコピー、えぼし岩だけのシンプルなデザインですが、抜群のインパクトがあると思いませんか。
ポスターの題材は定番のえぼし岩ですが、“歌に愛された岩”というキャッチコピーが、茅ヶ崎と音楽の関係性をとてもうまく表現していると思います。
さらに、えぼし岩が単なる風景的なシンボルではなく、多くの人の心に根付いているストーリーがあることさえ感じさせます。
ちなみに、このポスターはサザンオールスターズが結成30年を迎えた年の2008年に作成されたとのこと。それを知ると一層、奥行きがあるポスターに思えます。
さらに、茅ヶ崎市観光協会では、こんなポスターも保管されていました。
- 1991のポスター
- 1980年代のポスター
ポスターに使われているテーマは音楽や、海、えぼし岩は今とさほど変わりませんが、当時の雰囲気を反映してか、イメージがやはり今とは全然異なります。
よく見ると、浜降祭が7月15日であったり、花火大会が平日に開催していたりする点も歴史を感じさせますね。
ポスターは“まちの顔”のような存在
ポスターはたくさんの人に見てもらうため、一瞬で人の視線を惹きつける工夫や、記憶に残る工夫が求められます。どんな写真・イラストを使うのか、どんなキャッチコピーを使うのか。
もちろん、これらはとても大切なことですが、ポスターとは、まちの“顔”のような存在ではないでしょうか。
茅ヶ崎市観光協会が製作しているポスターは、茅ヶ崎というまちの輪郭を緩やかに伝えてくれる存在だと私は思います。このポスターには、茅ヶ崎らしい“のんびり”とした空気感が大切にされていて、“押しつけがましい”雰囲気がなく、茅ヶ崎の個性を無理なく伝えているように感じます。
目新しい派手さはないのかもしれません。それでも、きっとこのポスターを見れば「茅ヶ崎っていいな」と思う人が増えていくことでしょう。
「観光」や「誘客」という言葉だけに囚われず、写真や言葉だけでは伝えきれない茅ヶ崎の「空気感」を届けてくれるポスターにぜひ注目してみてください。