若手経営者らで組織する(公社)茅ヶ崎青年会議所は4月24日、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業を手掛ける経営者を招き、オンライン講演会「〜DXで変わる!『ビジネスタウン茅ヶ崎へ』〜」を開催しました。
#ちがすきでは、第1部の講師を務めたシェアエックス(株)代表の中川 亮さんの講演【前編】と、東京から茅ヶ崎へ移住・拠点を移した会社経営者による座談会【後編】でレポートします。前・後編ともに、新時代のビジネスヒントになることばかり!ぜひ、一読ください。
講演会は、54代理事長・北川哲也さんの挨拶からスタート。「茅ヶ崎には『ビジネスタウン』というイメージは無いかと思います。しかし、コロナ禍で東京で生活も仕事もしてきた方々が茅ヶ崎に移住してきた時に、私たちは『働く』という環境をどのように整えていくべきなのか、これから街づくりとしてどう向き合っていくべきかについて考える場にしたい」と開催意図を説明しました。また、「地元の人だけで語られがちな街づくりですが、地元じゃないからこそ見える価値観や可能性を見出したい」と語ります。
20年前にサーフィンをきっかけに茅ヶ崎へ
続いて、今回メイン講師を務めるシェアエックス(株)中川亮さんと、同じく茅ヶ崎市内に拠点を構え、企業のブランディングやマーケティング、企画立案まで幅広く手掛ける(株)ダースーの須田大輔さんが登場しました。
中川さんは茅ヶ崎に移住して20年目、茅ヶ崎市内でなんと7拠点目(引っ越し6回)だそうです。渋谷や茅ヶ崎、沖縄で起業し、ITを活用した幅広い事業を行っています。滋賀県出身で大学卒業までを過ごした後、石川県で商社に入社するも退社し、京都や大阪で働きました。大阪ではベンチャー企業に入社し、東京転勤になったことがきっかけに「サーフィンが大好きで、サーフィンするのいいな」と茅ヶ崎へ。現在は家族5人とペットと暮らしています。
仕事は東京メイン、客観的な目線で茅ヶ崎を見る
中川さんはこれまで、IT会社のマッチング事業やコワーキングスペースの運営を経験。今はアライアンス支援(企業同士が協力し合う体制)と、インサイドセールスの人材にフォーカスしてリモートセールスの人材を育成する代行をゼロから立ち上げ、奮闘しているとか。
「茅ヶ崎に特段思い入れがあったわけではなく、サーフィンがきっかけで来ました。サザンオールスターズはもちろん好きですが、むしろ長渕の方が好き。仕事は東京メインですが、リモートワークができるといえども東京へ1時間かかるのはしんどい。そういう意味で客観的だと思っています」と地元とは違う目線で茅ヶ崎を見ていました。
ビジネスタウンとしての可能性は「人」にあり
「結論、特に茅ヶ崎だからスペシャルとは感じてないです。『ない』からこその良さが、鎌倉や藤沢に比べて逆に魅力じゃないかなと思っています。ビジネスはよく人・もの・金と言いますが、順番は人それぞれ。僕は、人・もの・金の順番で重要だと思っていて、人がものを作って、お金を生み出すと考えています」と持論を展開。
さらにこう続けます。「特に人が重要で、地元にたくさんの人がいて、たくさんの人の流入がある。ビジネスタウンとしては「人」という部分にフォーカスするのが良いのでは」と考えを述べました。
コロナ × DX = 働き方の変革
「ある経営者が言っていたのは、DXとは、顧客体験の向上や収益につながる取り組み。ただデジタル化するだけではなくて、企業のお客様も体験向上になるなど、きちんと利益になるのがDX」と説明。コロナの状況とDXの掛け算で働き方が変わり、人材が初めて「一極集中」から動いているといいます。
安い賃金で雇える人材や、優秀な人材を茅ヶ崎に集めるのは難しいものの、「多様性のある人材や、変化できる・変革を楽しめる人材。つまり、精神的にタフで、フレキシブルな人材を集めることが良いんじゃないかなと思っています」と茅ヶ崎の人材への期待を込めました。
「茅ヶ崎DX総人材化」とは
「DXの経験や知識、スキルを実装することで、人の魅力を強くできると思っている」と中川さん。本業が人材事業ということもあり、「茅ヶ崎DX総人材化」と名付けました。この茅ヶ崎DX総人材化とは、「『DXの推進』をキーワードに、茅ヶ崎の地元の人、移住者、ならびに地元・移転企業が関係を築き、一緒に加速度的にビジネス機会を増大させ、その結果、ビジネスタウンができる」という仮説です。
茅ヶ崎は「総DX人材化」でBig Wave(ビジネス機会)を作る。
中川さんは、「人材、地元企業、移転してくる企業が三位一体となってウェーブを作る」必要性を掲げます。
人材育成に関しては、手作業の自動化やオンライン接客、顧客対応、デジタルマーケティングでの集客などをどう推進するかがカギだと指摘。そこで、茅ヶ崎市など行政のバックアップがあれば、「DX人材」育成の後押しになると提案しました。
オンラインで「DX人材」を育成するサービスやツールが、行政と一緒にできないかと考えた際、「推進方法は茅ヶ崎人材総DX化、高速Wi-Fiなどインフラ整備、試住企画。できれば試住に限らず、企業さんで試働ができたら良いのでは」と話しました。
最後は「ニューウェーブが茅ヶ崎で起こすことができれば、ビジネスタウンとしての大きな可能性になるのでは」と期待を込めました。「都心のIT企業の皆さん、茅ヶ崎の地元企業の皆さん、地元の皆さんが地域を超えて共創しましょう。共創なくして成長なし」と呼びかけました。
続く【後編】では、東京から茅ヶ崎へ移住や・拠点を移した会社経営者による座談会を紹介します。
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