茅ヶ崎市内14の祭囃子保存会が出演する「祝浜降祭 協賛祭囃子演奏会」が7月19日㈯と20日㈰、JR茅ケ崎駅北口のペデストリアンデッキで開催されます。主催する茅ヶ崎祭囃子連合会会長の須田實さん(75)は「お囃子の楽しさを多くの人に知ってほしい」と来場を呼びかけています。
伝統復活の立役者
「浜降祭というと神輿のイメージが強いけれど、太鼓やお囃子は担ぎ手の士気を上げる重要な役割を担っている」と須田さん。お囃子に触れることになったのは高校2年生の時。須田さんが住む菱沼地域では浜降祭に20年近く参加しておらず、祭囃子の伝統も途切れていたそうです。
「よそからにぎやかなお囃子が聞こえてくるのがうらやましかった」と、顔見知りを頼って他の地域の「長老」から習うことに。「昔からの伝統を受け継いできた方がお元気だったので、同級生や年齢の近い仲間にも声をかけて教わりに行っていた」と振り返ります。
楽譜や映像などはないため全て口伝。それでも徐々にレパートリーを増やしていきました。
こうした須田さんらの動きもきっかけの一つとなり、菱沼八王子神社では1979年に浜降祭への参加が再開。須田さん自身は菱沼祭囃子保存会を立ち上げ、後進の育成にも力を注いできました。「小学生の時に通っていた女の子が母親になり、子どもたちを連れて参加してくれることも。続けてきてよかった」と笑顔を見せます。現在保存会では、祭り以外にもコミュニティセンターや高齢者施設でも演奏会を行っているそうです。
茅ヶ崎市内の祭囃子保存会による「連合会」が発足し会長になったのは2002年。「ほかの地域のお囃子を聞く機会は案外少ない。保存会同士が切磋琢磨してスキルアップする機会になればと思って」とその狙いを話します。
駅前での演奏会には毎年、浜降祭を待ちかねる多くの人が訪れ耳を傾けます。「演奏する人、聞く人が楽しみながら、伝統をつないでいけたら」と須田さんは話しています。