家庭やオフィスのおやつタイム、パーティーに大活躍のクッキー。子どもから大人に愛され続けている、国民的クッキーとも言うべき株式会社不二家(以下、不二家)の「カントリーマアム」ですが、ふと袋の裏面を見てみると…「製造所:神奈川県秦野市」の文字が。そう、カントリーマアムは神奈川・秦野生まれのクッキーなのです。
全国出荷量95%のカントリーマアムを秦野で製造
不二家商品の中で最も多い生産量・売上高トップを誇るカントリーマアム。全国出荷量のうち95%が秦野で製造されています。
そこで今回、あのカントリーマアムがどのように作られているのか、不二家秦野工場に潜入取材。普段は入れないけれど見てみたい…!そんなカントリーマアムの世界を動画付きで紹介します。※情報は2018年9月7日現在のもの
※工場見学の一般受付はしていません※
<目次一覧>
1.【工場内部へ】操業50周年 歴史刻む秦野工場
2.【生地】一日約400万枚焼き上がる
3.【オーブン】10分間でサックリしっとり
4.【包装】カントリーマアム完成 全国出荷へ
5.【動画36秒】カントリーマアムの焼きあがり~出荷
6.ペコちゃん公園はだの
7.【番外編】秦野工場探訪3ポイント
工場玄関では、秦野工場だけにしかない、巨大カントリーマアムがお出迎え。不二家の稼ぎ頭。圧倒的な存在感です。
今回、場内を案内していただいたのは、秦野工場総務・人事課課長の荒井宏平さん(入社18年目!)。従業員600人を抱える秦野工場の広報マンとして、わかりやすく丁寧に案内してくださいました。
頭からすっぽり、ユニフォームを着用。私も場内ではゴーグルもつけてまるで“海女さん”のような姿になっていざ場内へ。
【工場内部へ】操業50周年 歴史刻む秦野工場
いくつもの衛生チェックポイントを通過し、いよいよ工場内部へ。入った瞬間、ふわ~っと甘い香りに包まれ、感動。
秦野工場は2018年8月で操業50周年を迎えました。偶然とのことですが、工場の住所はなんと「秦野市曽屋228(←フジヤ)」なのです!工場内通路には、「ペコちゃん通り」と名付けられた通りもあり、まさに“ペコちゃんの町”が広がっています。
辺りはやさしい甘い香りに包まれており、いよいよカントリーマアムが製造されている「ビスケット通り」へ。
このオレンジ色の扉の先が、カントリーマアムの製造現場です。ドキドキわくわく。
【生地】一日約400万枚焼き上がる
生産ラインに一歩踏み入れた瞬間、目に飛び込んできたのは、クッキー生地。大きな機械でミックスされた生地には、贅沢なほどチョコチップがぎっしり入っているのがわかります。クッキーに入れて一番おいしくなるよう作られた特製チョコレートです。
機械により一つひとつに切り分けられた生地は、これからオーブンへと向かいます。全長約60mあるレールの上をゆっくり進んでいきます。
それにしても見事なまでに鉄板の上にずらりと並んだカントリーマアム。荒井さんによると、一日約400万枚焼き上げるそうです。
【オーブン】10分間でサックリしっとり
いよいよオーブンエリアに突入。3つのオーブンの扉をあけるたびに、徐々に表面が膨らんでいく姿が確認できました。最高温度は220度。約30種類あるカントリーマアムはそれぞれ配合も異なります。外はサックリ、中はしっとり。カントリーマアムのベストな食感と焼き色になるよう、商品ごとに水分や温度調節を行っています。
全身ユニフォームに包まれているので、より一層熱く感じるオーブンエリアでした。
ついに。お馴染みの形となって焼き上がってきたカントリーマアム。こんがり、いい香りが充満しています。包装できる温度まで冷ましながら、次なる選定作業へと進んでいきます。
形や焼き目など。従業員の目利きでクッキーの仕上がりを選別していきます。次々と流れてくるので、スピードが勝負。焼きたてのクッキーを特別に試食!ほんのりまだ温かく、しっとり。チョコチップとの相性も絶妙でした。
包装しやすいよう整列。勢いよくカントリーマアムが目の前を流れていきます。
【包装】カントリーマアム完成 全国出荷へ
カントリーマアムを一つひとつ、マシンで包装していきます。ちょうど、期間限定商品としてハロウィンパッケージの包装が行われていました。可愛い魔女に仮装したペコちゃんのイラストが見えますね。
大量にやってくる包装されたカントリーマアム。ハロウィン包装の絵柄は全部で4種類。この先は、大袋に包装される作業へと続きます。
来ました、来ました!ハロウィン限定の大袋がどんどん流れてきます。枕のような包装であることから「ピロー包装」と言われています。この後は、大型ロボットによる箱詰め作業が行われ、全国へと出荷されていきます(※以下、動画参照)。
2018年10月以降は新たなオーブンが導入され、生産量がさらにアップする見込み。人事を本業とする荒井さんもスタッフ確保にフル回転の日々だそう。カントリーマアムでますます絶好調!な不二家秦野工場です。
【動画36秒】カントリーマアムの焼きあがり~出荷
写真では紹介されていないシーンも登場します。カントリーマアムの世界をご覧ください。
ペコちゃん公園はだの
操業50年を迎えた秦野工場ですが、地元にペコちゃんと会える全国唯一の公園が誕生しました。記事はコチラ。
【番外編】秦野工場探訪3ポイント
カントリーマアムだけじゃない!秦野工場の超レアな3つの世界を紹介します。
1.全国に一台だけ 笑顔届けるキャラバンカー
工場で受付を済ませた後、気になって仕方がなかった赤い車。とてもかわいいこのキャラバンカー、実は出張イベント用の車でした。
不二家では、未就学児童が集まる全国の幼稚園や保育所などに訪問してイベントを行う「キャラバン隊」を結成。ゲーム大会やダンス、記念撮影会などを行い、全国の子どもたちに笑顔を届けています。
ポコちゃんも描かれています。全国で一台のみ。街中で見かけたら、とてもラッキーです。
住所と同じく…「228」(←フジヤ)。不二家ならではの粋な演出ですね。
2.創業者・藤井林右衛門さんとペコちゃん
工場玄関フロアには、創業者・藤井林右衛門さんと不二家の歴史がわかるコーナーやペコちゃん人形が。「不二家の意味は?」を探ろうとパネルコーナーへ足を運んでみました。
1910年(明治43年)、横浜・元町に創業した「不二家」。社名は、創業者の「藤井姓」と日本のシンボルとなる「富士山」を意識。『2つとない存在に』という「不二」の意味を込め、名付けられました。とても日本人の心現れる社名。勉強になりました。
3.ファンは夢の世界“ペコちゃんの博物館”
工場2階には、ペコちゃん人形の変遷や不二家商品の歴史がわかる「Peko Museum(ペコミュージアム)」があります。ペコちゃんが所狭しと並ぶ、ファンにはたまらない夢のような特別な空間です。
こちらも一般公開は行っていないので、写真で一部紹介します。
電動ペコちゃんポコちゃん人形もあったとは…。アンティークのペコちゃん&ポコちゃんがずらりと展示されています。
思わず「懐かしいー!」と口にしてしまった、手のひらサイズの箱に入ったミルキーパッケージ。小さい頃、よく買ってもらっていました。ペコちゃんの表情も少しずつ変わってきているのがわかりますね。
記念スタンプ集めが趣味の私には最高の思い出となりました。
「入ってもいいですか?初めて開いているのを見ました」とやってきた女性。常に開放されているわけではないので、取引先など来場者も思いがけず入ることができ、感激していました。「どうぞどうぞ!スタンプも良かったら記念にどうぞ」と大歓迎の荒井さん。
ミュージアム手前には、レトロな商品ポスターが展示されていました。見ているだけで何だかホッとしますね。2010年に創業100周年を迎えた不二家。そのストーリーが秦野工場にはたくさん詰まっていました。
荒井さん、ご案内いただきありがとうございました!