「相州落花生」の名で古くから秦野で栽培されてきた落花生。秦野盆地の火山灰土壌が生み出す、独特の風味と豊かな旨みが、神奈川県シェアナンバー1の品質を支えています。
次世代を担う若手生産者の高橋勇太さんに、秦野が誇る落花生の魅力を語ってもらいました。
ゆで落花生の旨みに感動
秦野の落花生には何とも言えない風味と旨みが詰まっているんです。ゆで落花生などにすると、特にその美味しさが引き立ちますよ」。
2年前から落花生の種子農家として、市内で落花生栽培に取り組む高橋さん。代々続く農家で育ち、野菜などの裏作として栽培されていた落花生はとても身近な存在だったと言います。
しかし、実際に農家を継いで栽培に取り組んでみると、中々旨く育たない。その上、土づくりや草むしりなど、手間と根気がとても必要だと分かりました。「これからちゃんと落花生を栽培していけ るかな」と不安で一杯だった時、先輩農家で食べた「ゆで落花生」の美味しさに感動し、この美味しさ、魅力をもっと多くの人に広めたいという強い気持ちが沸き起こるのを感じました。
「収穫してすぐのものを茹でて食べると風味を一段と感じることができるんです。秦野の落花生の魅力を再発見した瞬間でした」。
美味しい落花生のため、検証・勉強、そしてPRも
以来、土づくりから見直し、種を植える間隔や、水やりの頻度、日照などの検証に取り組んでいる高橋さん。「より美味しい落花生を安定して作りたい」と、生産者同士の情報交換会に参加したり、時には他県の生産者を訪ねたりしながら、勉強を重ねています。
「皆さんそれぞれ工夫されていて。育て方はもちろん、加工品の展開やPRの仕方などとても参考になるんですよ」。秦野市でも休耕地を活用し、一般向けに落花生の収穫体験を行っていますが、とても好評だと言います。
「これからは生産者もPRに力を入れていかないとと考えています。地域みんなで盛り上げていければいいですね」。
〝秦野品質の落花生〟
明治から昭和にかけて、葉たばこ栽培の輪作として秦野市で盛んに栽培されていた相州落花生。時代の移り変わりとともに徐々に生産量が減り、落花生農家の数も減っていきました。「それでも秦野にはこれまで品質の良い落花生を作ってこられた農家があります。
そういう先輩から様々な技術を学び、秦野が県内外に誇る〝秦野品質の落花生〟を広めていければと思っています」と高橋さん。相州落花生の未来を担う若手の挑戦が始まっています。
昔から農家に伝わる 落花生の美味しい食べ方レシピ:「パラパラみそピー」
【材料】 落花生(干したものでさやをむいて実を出したもの)500g、砂糖200g、 みそ大さじ2、みりん大さじ2、サラダ油大さじ1と1/2
【作り方】 ①砂糖100gとみそ、みりんはよく混ぜておく ②鍋にサラダ油を熱し、落花生を入れて中火で煎る ③パチパチと音がしてきたら弱火にし、さらに20分ほどじっくり煎る ④煎った落花生によく混ぜた砂糖とみそ、みりんを加えてよく混ぜる ⑤粗熱が取れたら、残りの砂糖を加えてざっくり混ぜる