鎌倉の歴史や文化などの新たな発信拠点「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」が6月8日に開館した。それを記念し、境内の出土品や鎌倉文士ゆかりの品などを展覧した企画展「季節展示・夏」が7月15日(月)まで開催されている。
企画展では、鶴岡八幡宮が所蔵する鎌倉時代の「源頼朝袖判書状」や県指定文化財の「堆黒箱(ついこくばこ)」、江戸時代の「大太刀」、歌人・与謝野晶子が高徳院の鎌倉大仏を歌った掛軸など29点を展示。武士の精神的よりどころだったという同宮の歴史から鎌倉文士に至るまで、展示パネルや映像資料を交えながら紹介している。
市民が保存後押し
同館は建築家ル・コルビュジエに師事した坂倉準三が設計し、1951年に開館した旧県立近代美術館の本館だった建物を活用したもの。同美術館は16年3月、県と同宮との借地契約の終了に伴い閉館し、建物は解体される予定だった。しかし、市民による署名運動を経て、保存が決定。16年11月には文化的価値が高い建物として、県指定重要文化財に指定され、同宮に建物と土地が返還された。その後、同宮は鎌倉の歴史・文化を伝える施設として活用することを決定し、安全性を向上させるための耐震工事やエレベーター新設によるバリアフリー化を図ってきた。
今夏オープン予定の「カフェ」もお楽しみに。
今年4月20日から5月6日まで、プレオープンとして坂倉氏の軌跡を辿る企画展が催され、今回が本格開館となる。また旧学芸員棟跡地にはカフェも新築され、今夏のオープンを目指している。
開会式でテープカット
開館2日前には、開会式が開かれ、同宮の吉田茂穂宮司は「鎌倉の歴史や伝統、文士などの足跡を公開する博物館と美術館を併せ持った施設。今後も市民と共に守っていきたい」とあいさつ。その後、来賓と一緒にテープカットを行った。
ブロンズ像「輝く未来」は吉田宮司が命名
また正面玄関の前庭には、彫刻家・富永直樹氏の遺族から寄贈されたブロンズ像を設置。作品名の「輝く未来」は吉田宮司が命名した。