重度の知的障害と自閉症のある妹を撮ったドキュメンタリー映画「ちづる」(赤崎正和監督/2011年/79分)の無料上映会などを通じて、障害について理解を深める催し「bookmark#1」が11月17日(日)、藤野の「カフェてくてく」(日連618の3)で開かれる。福祉事業に関わりを持つ有志が企画した。当日は赤崎監督を招き、最終上映終了後にトークセッションも行われる予定。
「障害がある人と出会った時に、その瞬間だけを見てその人を判断するのではなく、相手の人生の前後関係を想像してもらえたら」。イベントは、市内の社会福祉法人に勤務する井上真吾さん(36)が、そんな思いで発起。中央区在住で、難病ALSと戦いながらNPO法人「チーム浅沼屋」for children and ALS」の理事長として子どもの支援に取り組む浅沼一也さん(52)、井上さんの地元・日連の先輩で、自主性を尊重した子どもの居場所づくりに取り組むNPO法人「ジョガボーラ」の代表・森久保憲秀さん(37)の3人が中心となり企画を進めてきました。
2歳下に自閉症の弟がおり、幼い頃から親と一緒に病院へ行くことが常であった井上さん。ところが、弟が小学校に入学すると、大声を出したり落ち着きがなかったといった、井上さんにとっては「普通のこと」だった弟の行動が、周囲には理解されにくいとうことに気づきました。そのことが福祉に携わる自身の「原風景」になっているという井上さん。8年前、都内で「ちづる」の上映を観て、自分自身の経験と映画の内容を重ねました。そして、「いつか赤崎監督と会って話がしたい。監督が映像で発信したもを自分のできることで人に伝えたい」と思いを募らせてきました。
今年5月、浅沼さんが法人の事業で赴いた大学の講義に立ち会った井上さんは、学生が障害者に対し思いを巡らせる様子に感動しました。「やはり発信は大事。場をつくりたい」。抱いていた思いを打ち明けると、浅沼さんは「したいことがあれば協力する」と背中を押してくれ、森久保さんも「絶対に楽しい。子どもが心を解放できる場になれば」と快く賛同してくれました。
同時にフードブエスも
イベントは10時から17時頃まで。当日はカフェてくてくの敷地内で、浅沼さんがラーメンや軽食を、協力者の「出張ミヤタ珈排」がコーヒーを提供するフードフェスティバルを同時開催し、市内の福祉施設を利用する子どもや台風19号で被災した藤野地域の親子らを招いて食事を振る舞います。
「子どもたちにお腹いっぱい食べてほしい」と浅沼さん。こちらは一般は有料となります。映画上映は10時30分・12時30分・14時30分の3回。最終上映終了後に赤崎監督とのトークセッションが開かれます。一般観覧可。観覧無料で完全予約制。各回定員30人。映画グッズの販売もあります。