大規模改修で4月1日から休館
多摩市の文化芸術の殿堂として親しまれている多摩市立複合文化施設「パルテノン多摩」が大規模改修のため、4月1日から全館休館となった。改修工事は2021年12月までを予定しており、22年3月にリニューアル後のプレオープン(一部施設)、同年7月にグランドオープンが予定されている。
パルテノン多摩とは
1987年10月31日に開館したパルテノン多摩は、市民の文化活動の拠点として、コンサートやオペラ、バレエ、演劇等を多目的に利用できる大ホール、市民や市民団体が気軽に演劇や音楽会、各種発表会などで利用できる小ホールの他、展示室など博物館機能も併せ持つ文化複合施設として親しまれてきた。
開館から30年が経ち、施設が老朽化。大規模改修にあたり、基本計画策定委員会や市民ワークショップ、市議会特別委員会など多くの人たちで検討が重ねられてきた。そうした中で改修計画を策定。2018年12月に先行して大ホールが使用中止となり、この4月から全館休館となった。
バリアフリー化、大ホールの改修など
今回の改修工事では、劣化した空調や電気、非常用設備等の多くが更新され、全面バリアフリー対応となる。大ホールは特定天井を張り替えるほか、客席を広く、残響の改善を図る計画。また大ホールと小ホールのホワイエの壁を取り外し、広いオープンスペースにするとともに、特別展示室はスタジオに変更。4階には子育て支援機能を備えた子ども広場が整備されるなど改修は多岐にわたる。
運営する(公財)多摩市文化振興財団では、3月にこれまでの感謝の気持ちを込めたイベント「パルTAMA感謝祭」を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で中止となった。間瀬勝一館長は「これまで支えてくださった市民の皆さんやアーティストの方々に感謝を伝えたかったので残念」と肩を落とす。
まちづくりの核に
一方で間瀬館長は、これから約2年の休館期間を「リニューアル後を見据えてしっかり準備していきたい」と意欲を見せる。
休館中に会館事業ができない代わりに、街中での表現・芸術事業を展開していく意向を示す。市民プロデューサー講座、学校や学童クラブ等で演劇のワークショップを行う「シアターエデュケーション」などを通じて、市民にアートや芸術などの魅力、楽しさに触れてもらえる機会を創出し、リニューアル後に館内で発表会などを行うことを計画。加えて、まち全体を博物館ととらえ、市民全員を学芸員とした「街中博物館構想」や、リニューアル後にはホールがどう変わったか、市民に体験してもらう記念事業なども検討しているという。
間瀬館長は「アートや表現芸術などで市民一人ひとりが元気になり、活力ある社会になっていけるような取り組みを進めていきたい。そうしたまちづくりの核が、パルテノン多摩であり、財団になっていけるように取り組んでいきたい」と話している。