横浜駅東口にあるそごう美術館で、「東京藝術大学スーパークローン文化財展」が2020年8月1日(土)から31日(月)まで開催されてます。8月5日、早速見学に行ってきました。
入り口では感染予防策
そごう横浜店6階の会場入り口では感染予防策として、検温と消毒が行われ、また館内の混雑具合を画面の色で表示。グリーンは空いている、黄色はちょっと混み、赤は入場規制、となっています。
日本を代表する文化遺産・法隆寺の焼損した金堂壁画や間近で鑑賞することが出来ない釈迦三尊像、爆破されたバーミヤン東大仏天井壁画など、文化財の再現・復元作品、映像作品約50点が展示されます。
スーパークローン文化財とは?
東京藝術大学で開発された高精度な文化財複製です。伝統的な模写の技術と最先端のデジタル技術に、人の手技や感性を取り入れて、その本来の素材・質感・技法のほか、作品の文化的背景や精神性など、『芸術のDNA』までも再現したものです。
現在はオリジナルを超越する新たな価値を創造する「スーパークローン文化財」へと発展し、失われた文化財の再現など、世界中の文化を継承する手段として期待されています。
クローン文化財とスーパークローン文化財
クローン文化財は、文化財を同素材・同質感で再現したもの。スーパークローン文化財は、調査・研究して想定できる部分も含めて復元したもの、ということです。
右側にあるのはクローン文化財。アフガニスタンのアイ・ハヌム遺跡のゼウス神像の左足です。そして左にあるのは、部分的に発見され世界各地の博物館などに所蔵されているゼウス神像を研究参考にして再現されたスーパークローン文化財です。
法隆寺釈迦三尊像の再現
法隆寺のご本尊、国宝の釈迦三尊像を3D計測や3Dプリンターの技術を用いて金銅仏として再現しました。欠落した螺髪(らほつ)や白毫(びゃくごう)も復元されています。
そごう美術館での展示は、後ろの大きな光背はなく、3体が離れて展示されています。本物では絶対に見ることの出来ない後ろ姿や横の作りなどを見ることが出来ます。
初公開!法隆寺金堂壁画の再現
1949年の法隆寺金堂火災によって焼失した壁画を再現。今回の展示では、彩色を当初の姿にさらに甦らせたスーパークローン文化財を初公開展示します。サイズは縮小版での展示です。
世界の文化財も
このほか、世界的な遺産も各種展示されます。
バーミヤン東⼤仏天井壁画《天翔る太陽神》
2001年に破壊されたされたアフガニスタン・バーミヤン東⼤仏の天井に描かれていた壁画《天翔る太陽神》を、ラピズラズリをはじめとする絵具で彩色し復元したものです。会場では部分展示となります。
敦煌莫高窟第57窟の壁画再現、塑像復元
観光客の増加などで劣化が進み、拝観者の制限が行われている世界遺産・敦煌莫高窟(中国)の中で「美人窟」と称される第57窟の精緻で華麗な壁画を再現。制作当初の姿に復元した如来坐像と菩薩立像を展示しています。
文化遺跡、過去の人々の思いや祈り、願いなどの思い感じられ、見終わる頃には、なんとも言えない厳かな気分になります。また、クローンとはいえ、仏像や壁画にカメラを向けることの申し訳なさを感じる取材となりました。
しかし、直接見ることのできない、世界的な文化財を、科学技術の力で見ることが出来るのは素晴らしいことですね。是非、一度足を運んでみては。
なお会場は撮影OKですが、フラッシュ・機材の使用は不可。動画もNGです。*展示作品はすべてクローン文化財・スーパークローン文化財。(調査研究に基づく再現・復元。部分・縮小の作品を含む。)