新型コロナ禍の中、「近場で楽しむ」傾向の広まりは、地元の観光スポットを見直す機会にもなっているようだ。相模原市観光協会によると、コロナの感染拡大が見られるようになって以来、相模ナンバーの車が津久井湖周辺に訪れる機会が例年よりも増えているという。今夏には周辺道路が渋滞する混雑ぶりで、「GoToトラベルを活用する方も少なくないようです」と担当者。
遠足の定番
そんな相模っ子が訪れる地元スポットの一つが、津久井湖沿いの山の上にある緑区三井の「峯の薬師」(東慶寺)だ。
ひと昔前までは地元小学校などの遠足地の定番だったこの名所は約520年前に創設されたといわれ、明治初期の神仏分離によって一時は廃寺となったものの、昭和に入って地元住民らの願いもあり復興。標高約320メートルから眺める景色は都内まで見渡せ、空気の澄んだ冬晴れの時には、東京スカイツリーや横浜ランドマークタワーのほか、静岡方面の富士山なども見ることができるという。
「心身」にご利益?
寺の復興に尽力した父親の後を継ぎ、寺を見守ってきた大石創元住職は「心や体の病が良くなる山寺として、地元の皆さんから峯の薬師という名で呼ばれるようになったようです」と話し、「津久井湖の周辺道路からここまで登ってくる舗装されていない道はハイキングに最適。特にこれからの時期は紅葉も見頃です。多くの方に立ち寄ってもらいたいですね」と笑顔を見せる。
鐘をつきに
頂上にある寺の境内には、直木賞作家の富田常雄が柔道家の活躍を描いた小説「姿三四郎」で峯の薬師が取り上げられたことを記念した石碑のほか、10円で3回打つことができるという鐘もある。
「高尾山から歩いて1時間30分、城山湖からは20分程度で来ることができる地。毎年大晦日には鐘を打ちに多くの方がいらっしゃっています」と大石住職は笑顔を見せている。
橋本駅からバスで
峯の薬師までは橋本駅からバスで40分で「峯の薬師入口」の停留所。下車後、徒歩20分程度で参道入口。境内は見学自由という。