町内会・自治会の「防犯と交通安全」
昨年5月「登戸事件」があった多摩区では、多くの団体が防犯を強化。誰もが安心して暮らせるまちづくりのため、町内会・自治会の防犯活動も必要性が高まる。交通安全の取り組みも含め、各会が地域の実情に合った対策に尽力している。
菅町会
「日本最大の町会」といわれる菅町会では、地区内に4万3千人が暮らす。防犯部とPR委員会は多摩警察署と連携し、3台の広報車を活用して巡回パトロールを実施。日頃は小学校の登下校時、年末には夜間パトロールも行う。町内の防犯カメラは今年、薬師堂付近に1台追加。全9台が稼働し、犯罪抑止につながっている。濃沼健夫会長は「2年前、女の子が連れ去られそうになる事件もあった。危険な場所へのカメラ設置をさらに進めていく」と話す。
交通部は放置自転車の整理や注意看板の設置、カーブミラー増設など、関係機関と連携しながら安全な環境づくりに取り組む。昨年から強化しているのは歩道等の段差解消。障害者や車いすの人も通りやすい、バリアフリーなまちを目指す。
榎戸交柳会
多摩警察署の南東に位置する榎戸交柳会では1973年、付近で不審火が2件発生。犯罪を防ごうと、当時の若手が冬季の夜間パトロールを開始した。形を変えつつ、現在も年末年始の見回りを継続。5月から12月の毎週土曜日もパトロールする。「コロナで休止しているが、それまでずっと継続してきたこと。不審火以降、犯罪は起きていない」と手塚達雄会長。最近では五反田川沿いに防犯カメラも設置した。
同会の会員は約500世帯だが、未加入も含めると600世帯ほどあるという。戸建ては約50軒で、多くはマンションの住人だ。手塚会長は「新しく住む人たちに、どうやって町会を理解してもらうかが課題。きっかけづくりをして、少しでも関心を持ってもらえたら」と思いを話す。