山々を乗り越えてゆけばゆくほど、感動の絶景が迫りくるー。朝5時に起床、7年ぶりとなる本格登山「表丹沢表尾根縦走」に挑戦した横浜在住の一児の母“山大好きママ”です。
神奈川・東京多摩全域のレアなエリアご近所情報サイト「RareA(レアリア)」で現在公開中の『秦野 山旅』ライティング担当でもあります!今回、山の日を迎えるにあたり『表丹沢尾根縦走せずして秦野の山は語れない』と決意。育児に仕事と追われ運動不足の毎日ですが一念発起し、いざ出発地点となるヤビツ峠へ向かいました。丹沢ガイドブックには「下山時には膝がガクガクになっていることでしょう」との文字が…。行く末やいかに!
<目次>
1.まずは二ノ塔へ!
2.三ノ塔〜烏尾山
3.烏尾山〜新大日
4.木ノ又小屋〜塔ノ岳到着
5.大倉バス停へ向かって下山開始
6.そして下山終了
表丹沢最高峰の塔ノ岳登頂&山小屋カフェも発見できた日帰り縦走コース体験記
まずは二ノ塔へ!
寺山富士見橋公衆トイレでウォーミングアップ 【時刻:8時20分】
ヤビツ峠バス停から県道70号線を北へしばらく歩いていくと、左手にコンクリートの山小屋風の建物がかわいらしい「寺山富士見橋公衆トイレ」が現れます。
ここから表丹沢尾根縦走コースの最初の山「二ノ塔(にのとう)」を目指す本格登山が始まる出発地点となるので、トイレ休憩とウォーミングアップの時間をとりました。
- さらに!特に雨上がりなど湿気の多い登山道に潜む吸血ヒル「ヤマビル」対策もお忘れなく。ちなみに私は、塩水と酢をペットボトルに入れてヤマビル対策。登山靴と靴下にナプキンでふき取るように対策してここを出発しました。
秦野湧水ポイント!護摩屋敷の水場(ごまやしきのみずば)
この寺山富士見橋公衆トイレを左手にまっすぐ県道70号線をさらに道行くと湧水スポット「護摩屋敷の水場」があります。日本一の名水に輝いた秦野ならではのスポットです。
- 塔ノ岳山頂でいただくホットコーヒー用に水を汲んで…あらステキ! ※秦野市は一度煮沸してから飲むことを推奨しています。
菩提峠の緑豊かな林道を歩いて塔ノ岳入口へいざ出発! 【時刻:午前8時30分】
▼クリックで拡大閲覧(以降同様)
寺山富士見橋公衆トイレを出発。公衆トイレを左手に見て、きれいに舗装された林道「菩提峠」(ぼだいとうげ)をしばらく登っていくと、広場に到着。
- その向かって右側に表尾根経由で行く「塔ノ岳」への入口があります。ひっそりとした入口なのでお見逃しなく。標識の「塔ノ岳」という文字を見て、いよいよ始まる表尾根縦走コースに胸が高まります!
予想外の急登に早くも心折れる!?ツツジの花に癒されつつひたすら林道を登る…
ひたすら林道の中を登る、登る。新緑美しい林道。林の間から見える秦野市街地の景色とともに深呼吸しながらゆったり登ろう…なんて思っていましたが、傾斜のある登りが待ち受けています。
平坦な道もありますが、小粒な岩や階段を登る時間の方が長いので、予想外に脚への負担がかかってしまいました。
小さな岩場も乗り越えて…小さいながらもロープ付の岩場も待ち受けます。丹沢表尾根縦走コース…まだ始まったばかりなのに息切れ寸前!?
二ノ塔(にのとう)到着
視界が開けてきた!いよいよ丹沢表尾根縦走コースのはじまり【時刻:9時20分/標高1,130m】
塔ノ岳入口からひたすら登り続けて約1時間。表尾根最初の山「ニノ塔」に到着です。
登りがきつかった林道でしたが、山頂付近から急に視界が開け、秦野の街を一望できるスポットもあり、登りの疲れも吹き飛び一気にテンションアップ!最終地点である大倉バス停のある秦野戸川公園「風の吊り橋」がまさにジオラマのように見えて感動。
- 二ノ塔山頂はさほど広くはありませんが、ピクニックテーブルで休憩。ちなみにトイレはありません。それにしても天気が良い!これから待ち受ける表尾根の絶景が楽しみでなりません。
三ノ塔〜烏尾山を目指します
三ノ塔(さんのとう)到着
表尾根の美しい絶景にどんどん気分も高まるばかり【時刻:9時40分/標高1,205m】
二ノ塔から約20分で三ノ塔に到着。天気にも恵まれ、山頂では丹沢表尾根の美しい稜線がはっきりとわかる絶景が待ち受けていました。思わず歓声をあげるほどです。
- 情報更新 2018年4月1日に三ノ塔の休憩所とトイレが全面リニューアルされました!トイレは休憩所手前にあります。
先にある山々の稜線を指でなぞっていくと「あれが塔ノ岳か!?」。ひときわ高い山を発見しました。お水とカロリーメイトを補給し、まだまだ遠い道のり、張り切って再び出発です。
抜群の眺望だけれど足がすくむような標高になってきたと実感します。美しい絶景が続くかと思いきや、ついにクサリ場ゾーンに突入です。一気にここから下っていきます。
三ノ塔‐烏尾山(からすおやま)
クサリ場の第一関門がやってくる!足元要注意
縦走の醍醐味を感じはじめてきたのもつかの間、三ノ塔山頂からほどなくしてクサリ場がやってきます。目の前には絶景が広がるも標高が高くなってきているので、ここは景色に気を取られぬよう慎重に足を運んでいきましょう。
- 横浜から数十年ぶりに表尾根登山にやってきたシニア男性に遭遇。「ものすごくいい眺めだ」としみじみ丹沢の絶景を楽しんでいました。第一関門のクサリ場を体験してほっと一息です。
青空と雲と山々の緑が美しいです。
烏尾山(からすおやま)到着
カラスに由来のある山!黒塗りの山小屋がかっこいい【時刻:10時40分/標高1,136m】
クサリ場を突破した先には烏尾山の絶景が待っています。黒壁の山小屋が目印。
- この山で修行をしていた修験者が、修行中に飛んできたカラスに修行成就へのご加護を祈念したことから「からすおやま」と名付けられたそうです。
振り向くと、二ノ塔、三ノ塔を確認でき、結構な距離を歩いてきたことを実感できます。烏尾山山頂はとても広く、休憩スポットも充実しています。小腹が空いたのでゼリーを10秒チャージ。
「塔ノ岳」も近づいてきたことを実感、いざ出発です。
鳥尾山~新大日へ
烏尾山‐行者岳(ぎょうじゃだけ)急傾斜の鎖場(クサリ場)ピーク到来!しっかり鎖を使って降りてゆこう
烏尾山から行者岳までは平たんな道もあり、比較的歩きやすい登山道です。ただ、行者岳山頂からほどなくすると、丹沢表尾根縦走のクサリ場のピークにさしかかります(3回やってきます)。
予想以上に長いクサリ場なので、鎖をしっかり掴んで一つ一つ慎重に足を着地させながら降りていきましょう。高所恐怖症のわたくし…ぶるぶる手足が震えてものすごく怖く、一気に冷や汗が出てきました!
でも、このクサリ場スポットを乗り越えてゆくのも、丹沢表尾根の面白さなのだと感じてきました。
写真では伝わりにくいと思うのですが、本当に高くて怖かったです。ぜひともお気をつけてください。
気を取り直していざ政次郎尾根(まさじろうおね)に向かいます。
さっきからあまり進んでいないのは気のせい!?
ここから新大日(しんだいにち)を目指します。クサリ場の名残、岩場が続きます。
新大日(しんだいにち)到着
塔ノ岳まであと1時間!広々とした休憩スポットで鋭気を養おう【時刻:12時/標高1,340m】
横浜ランドマークもうっすら見える絶景パノラマビューを左に整備の行き届いた階段を登ると新大日に到着。かつて大日如来像が安置されていたことがその名の由来と言われています。
- 山頂は広いので、大勢の登山者がほっと一息つきます。塔ノ岳まであと1.4㎞。1時間ほどで表丹沢最高峰無事登頂なるか!?
広々としているので木陰を見つけて休憩している人も多かったです。
コーヒーのぼり旗に吸い込まれるように立ち寄った「木ノ又小屋」。
木ノ又小屋‐塔ノ岳へ
木ノ又小屋(きのまたごや)“ランプの山小屋カフェ”発見!常連さん手作りの陶器でいただく絶品ドリップ珈琲【時刻:12時20分】
コーヒーの文字につれられて―。新大日からわずかの場所に山小屋「木ノ又小屋」が現れます。自炊小屋です。
- コーヒーののぼり旗にそそられ、山小屋に潜入したところ、美味しいドリップコーヒーがいただける山小屋カフェスポットでした。
「ちょっとお時間くださいね」。アンティークの世界に迷い込んだかのような空間広がる木ノ又小屋。スタッフの牛垣さんが、お湯を沸かし、丁寧にドリップコーヒーを淹れてくれました。
- 「お待たせしました」と差し出されたプレートには、ランプの挿絵が入ったカップ&ソーサ―が。山小屋に足しげく通う、陶芸が趣味の常連さんが作ってくれたという素敵なエピソードを教えてくれました。
この山小屋のトレードマークとも言える長年愛され続けている陶器でいただく珈琲。疲れたカラダに染みる苦味が格別においしかったです!
青空の下、山の緑とピンク色のツツジが絵になりますね。
静かな山の中。素晴らしい景色に心落ち着きます。
塔ノ岳(とうのたけ)到着
丹沢随一の眺望!北アルプスまで見える表丹沢最高峰の絶景パノラマビュー【時刻:13時10分/標高1,491m】
表丹沢で一番人気の山というだけあり、大勢の登山客で山頂は賑わっています。中には4歳の男の子とお父さんの登頂に遭遇。すかさず記念すべき親子写真の撮影に協力させていただきました。
- 山頂は非常に広く、段々畑のようなベンチでランチタイムです。山頂は寒い!そそくさとレインウェアで寒さをしのぎ、無性に食べたくなったカップラーメンを山小屋で購入。これまでで一番おいしかったかもしれません…感動。
尊仏山荘では色々なお土産を販売中。ピンバッジを2種類購入しました。記念スタンプも捺印。
晴れていれば富士山も!塔ノ岳からの表尾根絶景を満喫
- さすが表丹沢最高峰の塔ノ岳。晴れていれば富士山も見られるのですが、残念ながら今回は雲に隠れていました。あれは北アルプスでは!?という雪山も確認できて感動。
若干腰が引けています…心穏やかに?眺望を楽しめました。
尊仏山荘に泊まって次回は夜景を楽しみにやってきたいです。ユーシン塔ノ岳や蛭ヶ岳(ひるがたけ)、丹沢山方面など標識も賑やかです。塔ノ岳はたくさんの山々につながる分岐点であることがわかります。
大倉バス停へ向かって下山開始!
「バカ尾根」の呼び名を裏切らない過酷な大倉尾根下山コース!まさに膝がガクガク!?【時刻:14時20分】
通称“バカ尾根”。大倉まで7㎞の下山開始です!名残惜しいですが、塔ノ岳からいざ大倉バス停に向かって「大倉尾根」下山開始です。ただひたすら下りが続きます(下山苦手で不安)。
よく整備された道が続くのですが、油断禁物。数段下って早速、膝が…痛い!緑まぶしい大倉尾根。重力に身を任せて下山がんばります。
- 大倉尾根では、ナンバーが書かれた緊急時の通報用ナンバー看板が設置されています。この写真は「No.45」。大倉地点は「No.0」。まだまだ先は長い。大倉尾根の過酷さがわかります。
「このくらい緩やかな下山が続けば助かるのに…」と何度思ったことか。
花立山荘(はなだてさんそう)到着
かき氷が名物の山小屋発見
かき氷を食べて休憩する人の姿が見られました。山小屋のスタッフと少し会話を楽しみつつも、今回は先を急いで再び大倉尾根を下ります。
「本当にバカ尾根だ…」と心の中で何度もつぶやいております。
コーヒーを飲んで休憩しよう、と思っていた「堀山の家」はお休みでした。
結構下ってきたと思う割には、大倉まではまだ4㎞もあります。
大木の根っこにもすがりつくような思いで…大倉尾根の下山は容赦なくまだまだ続きます。この写真スポットは、結構大きな石がごろごろ転がっていて、膝への負担も大きかったです。
過酷な大倉尾根の下りを救ってくれたのは、見晴茶屋。土足厳禁の開放的なデッキに腰掛け休憩です。そして下山…。
観音茶屋到着
牛乳プリンがおいしい大倉尾根の最終コーナーに佇む癒しの茶屋
見晴茶屋を過ぎてしばらくすると急に視界が開け、「観音茶屋」が現れます。
ヘトヘトになっていたので迷わず休憩。「牛乳プリン」の文字につられ、コーヒーと一緒に注文、外のテーブル席でいただきます。まろやかで甘さ控えめな牛乳プリンで疲れたカラダを癒してくれます。
フルーツも入っていてより美味しさが増します。この牛乳プリンは、観音茶屋の奥さま手作り。山のふもとにあるという酪農家さんのおいしい牛乳で作ったプリンとのこと。
大倉尾根もいよいよ最終コーナーにさしかかるところにあるので、「あともうひと踏ん張り」とひと休憩するのにおすすめの観音茶屋です。
観音茶屋を後にし、大倉バス停に向かってラストスパートです。落差のある道は少なくなり、歩きやすい林道ポイントが多くなってきました。だんだん下山してきた感覚がわいてくるので、最後の力を振り絞って元気に歩き出します。
ついに大倉尾根No.1地点に到着。これでひとまず大倉尾根は終わりだと思っていたのですが、実はこの後「No.0」ポイントがあります。戸川公園のある大倉バス停まではコンクリート舗装された道が続きます。
大倉尾根バス停まで「0.6㎞」の文字にテンションも上がります。まだ少し距離がありますが、ゴールはもう目の前。大倉バス停から丹沢表尾根縦走コースを目指す方は、この案内板が「大倉尾根」への入口となります。
表丹沢の玄関口を実感させる「丹沢大山国定公園」案内板です。
ついに下山!大倉バス停到着
戸川公園「風の吊り橋」の景色に感無量
【時刻:18時】
感無量!最後の力を振り絞って「やったぞー!」。
丹沢表尾根縦走コース全14.3㎞を無事制覇-。戸川公園ロータリー大倉バス停に到着しました。大倉尾根に苦戦し、予定到着時刻をオーバーしてしまいましたが、日が落ちる前に無事下山です。
丹沢ガイドブックにあった通り、膝がガクガクでしたが大倉バス停にたどり着いた時には感無量。膝の痛みも一瞬、吹き飛びました。
戸川公園のシンボル「風の吊り橋」が登山客たちを出迎えます。表尾根縦走中の眼下にジオラマのように見えた「風の吊り橋」が目の前に。やはり、威風堂々たる存在感がありますね。
ご褒美?にソフトクリームも食べられる戸川公園バスロータリーにある「どんぐりハウス」。
「どんぐりハウス」横には、たわし付きという大変親切な洗い場があります。登山靴が泥だらけになった方などには有難い洗い場。今回の丹沢表尾根縦走コースは天気も良く、ぬかるみスポットもなかったので、登山靴の状態も良く下山できましたが、記念に洗い場でゴシゴシ洗ってみました。
おわりに
というわけで、山ガールが行って来た、表尾根縦走コースでした。神奈川県秦野市は登山の他にも川遊びやバーベキュースポット、子どもと遊べる大きい公園など家族向きな様々なアクティビティが楽しめる神奈川県有数の夏休み穴場スポットです。今年の夏、どこにお出かけしようと悩んだら是非一度お越し下さい!以上、山大好きママでした♪
行ってきた人
山大好きママ
山大好きママ(1982年生) 祖父の影響で大学生の頃から登山の楽しさを覚え、大山や金峰山(きんぷさん)などを登山。2010年には燕岳(つばくろだけ)-常念岳(じょうねんだけ)北アルプス縦走。生活スタイルも変わり、家事にやんちゃ盛りの息子の育児に大忙しで長らく山登りをしていなかったため、登山スキルは初心者レベルに戻ってしまった。体力も割とすぐバテる。登りは比較的得意だが、下山が苦手。