近年急速に広まりつつある「SDGs(エスディージーズ)」の理念と取り組み。個人に限らず、企業理念にこの理念を取り入れ、社員一丸となって取り組む企業も少なくない。
藤沢市に本社を置く「富士リアルティ株式会社」もその一つ。昨年神奈川県SDGsパートナー企業へ認定を受けた同社は、地元藤沢市で、全国でも珍しい「木造中高層ビル」事業を発表し、注目を集めた。
また、介護事業にも取り組むなど、その企業スタイルは広く話題となっている。
藤沢市を代表する企業の一つである同社、その代表の永松秀行さんに、これからの「持続可能な」藤沢市が目指すべきものについて話を聞いた。
人・建物・くらし―すべてはつながり
昨年当社は神奈川県SDGsパートナー企業に認定されました。業界では驚かれたのですが、本来不動産、住宅業界にとって「環境」は切っても切り離せぬ存在です。建築素材の確保はもとより、地域が魅力的でなければ、人はそこに住みたいと考えてくれませんから。だから、当社は以前から、この藤沢・湘南、神奈川の地域の魅力増進とPRに力を入れてきました。
私たちのモットーは「安心して暮らせる住まい」の提供です。高齢化の広がりを受け、高齢者の「住まい」のあり方も変わってきました。老後や相続など、将来のことを考えて住宅選びをすることは一般的です。これも『持続可能』とも言えますでしょうか。
お客様との距離感を大切にしてきた中で、「いくつになっても湘南で暮らし続けたい」という声が多く、そのサポートをしたいと考えるようになりました。利益だけでなく、地域企業としてのニーズという視点が、これからのSDGs時代の企業のあり方と考えています。何より、最後まで責任を持って、お客様の暮らしをサポートできることは、社員のモチベーションにもつながります。
人、建物、暮らし、全てが一体となり、自然な循環が持てていること、これが「持続可能なまちづくり」の在り方と考えています。
永松秀行(57)プロフィール
FJグループおよび株式会社富士リアルティ代表取締役。同社は業界でもいち早くカンボジアなど東南アジアに進出し、注目を集め続ける。自身は格闘技などにも造士深く、自身も昨年の全日本マスター柔術選手権で優勝を収めた経験も。マリンスポーツにも親しみ、愛する藤沢の環境への想いから、昨年神奈川県のSDGsパートナー企業登録に至った。
湘南初「海を救う」木造ビル完成間近
【富士リアルティが注目される理由①】
富士リアルティ(株)・湘南乃工務店が進める湘南初の木造中高層ビル「MIYU/海友」プロジェクトが1月にいよいよ完成する。
1月に完成見学会を開催
SDGsの観点から、県産木材の活用を強化し、環境保護と開発を両立する新たな都市づくりの形として同社が取り組む新事業。昨年頭に計画が発表され、兼ねてから注目を集めてきた。
木造資材の活用に注目集まる
木材建築は、CO2還元効果や解体後の循環性、災害対策にも繋がる適切な山林管理促進など、多くの側面から注目を集める。住宅、公共施設などに続き、持続可能なまちづくりの柱として、中高層ビルへの転用に期待が集まっている。
耐震性、耐火性◎日本気候に適する木材
同ビルは2×4工法の活用で耐震性・耐火性などに富む。同社は「本来、木は日本の気候に適した建材。寺社など1000年以上残る物件もあり、その価値や可能性は改めて見直されている」と話す。
大鋸に誕生 新たなSDGsスポット
ビルは藤沢市役所から徒歩15分ほどの大鋸一丁目。4階建てで1階に店舗、2階以上は事業所を含む居住スペース。内外装は地元デザイナーが手がけ、一部に丹沢産のスギ材を使用している。
なぜ当社が木造ビル?
業界でも驚かれた理由が「国産木材は高い」という点になります。利益のことを考えれば、従来の建材でしょう。
国産木材に拘った理由は、「湘南の海を守りたいから」です。これまでビーチクリーンなどの海洋保全活動に取り組んできましたが、ある時、海が汚れる理由の一つに、上流の山林の環境悪化があると知りました。国産木材は高品質なのですが、安価な海外木材に押され、国内林業は下火になり、山が荒れているのです。
流通、需要が高まることで、国内林業が活性化し、海洋環境も改善されるための一歩として、当社が手を上げたのが、この海友プロジェクトなんです。
業界分野を超えて地域のために新たな取り組み
【富士リアルティが注目される理由②】
同社の名前は不動産業界に限らず、広く知られているのをご存知だろうか。全国的に高齢化が進む中で拡大が進む介護業界でも、実は富士リアルティの名は広まりつつある。
地域介護を支える 高齢者のお悩み相談窓口「ウチシルベ湘南」ー老人ホーム探し、高齢者の困りごと、すべてサポートしますー
家族や自分自身のこれからの住まいを考える際に必ずと言ってもいいほど直面するのが「どこに相談すればいいのか」「今住んでいる家はどうすれば」といった根本の悩み。福祉関係として行政に相談に行っても、担当が複数部署にまたがってしまったり、すっきりとした解決はなかなか得られないことも多い。
そのような市民の声を受け、同社が開始した相談サービス「ウチシルベ湘南」が注目を集めている。
これからの将来のことを考えた時、「在宅がいいのか、施設に入ったほうがいいのか」「どこのサービスを利用するか」「どうやって選べばいいのか」「老後の住宅をどうするのか」、など、必要な要素全てを一つの窓口で解決できてしまうのが同サービス。
在宅向けの介護、医療保険事業所を運営し、「在宅」「施設」介護どちらにも精通しているノウハウを生かして対応。
「施設も地域の住まい。住まいのご相談ならお任せください」と担当者はニッコリ。一人ひとりの暮らし方の希望やエリアに合わせた高齢者施設を紹介してくれる。施設見学に同行して専門家目線でのアドバイスもしてくれる、痒いところに手が届くサービスも人気の秘訣だ。もちろん、施設のゴリ押しなどもないため、安心して相談できる。
同社にはヘルパー、看護師、機能訓練士、ケアマネージャーが多数在籍。1200件以上の相談対応実績から、老人ホームの入居時に発生する「高齢者のお困りごと」を各分野の専門家が一括でサポート可能。
なんと、後見人制度、家族信託、相続、不動産売却・管理、空家管理、不要品・遺品整理までワンストップで対応可能。「かゆいところにまで手が届く細やかなサポート体制」がうれしい。
相談無料。まずは気軽に電話で問い合わせを。
湘南の海に面し、地域全体でのSDGsの取り組みにも力が入る藤沢市。その中心の一つが同社であることに間違いはないだろう。これからの同社の取り組みにも注目だ。