出雲大社相模分祠(秦野市平沢1221)の鳥居の下に大きな石の彫刻がお目見えした。
この彫刻は石を素材とする彫刻の制作を続ける西巻一彦さん(62)が手がけたもの。今年の干支である「寅」を手作業で彫ったものだ。虎の表情は柔和で前かがみになっているのが特徴だ。
作者の西巻さんは2011年に悪性リンパ腫を発症。同神社の草山清和宮司が知り、「生きる糧として欲しい」と1年に一体ずつ、干支の彫刻の作品づくりを依頼した。午年から始め、今年の作品「寅」は、9つ目の作品にあたる。
昨年病気が再発した西巻さん。抗がん剤の治療を続けたものの副作用が強く、痛みのため作品の制作に取り掛かれない日々が続いたという。治療を終えた後も時折襲ってくる痛みに耐えながら「彫刻家の魂です」と話すよう掘り続け完成にこぎつけた。「虎のフォルムが前かがみになっているのは、このコロナ禍の中で負けない気持ちを表現した。病に向かう自分の気持ちも重ね合わせているかも」と笑顔を見せて話した。
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