2024年、愛知県から家族とともに茅ヶ崎へ移住し、社会保険労務士として活動する青山敬次郎さん。メガバンク勤務、家業の経営、上場企業のマネージャーやスタートアップの人事責任者など、さまざまな立場から会社と働く人に向き合ってきました。
現在の仕事への思いや、移住後に生まれた地域とのつながり、茅ヶ崎で実現したい新たな構想について聞きました。

経営する側と、働く側。その両方を知る社労士
青山さんのキャリアのスタートはメガバンクでした。その後、愛知県で電設資材を扱う家業に入り、コーポレート部門のスタッフから取締役となり、経営に携わります。
税理士や弁護士、社会保険労務士などの専門家と接するうちに、「自分も専門性を持って企業を支えたい」と一念発起。2018年に社労士試験に合格し、翌年に愛知県で社労士事務所を開業しました。
ただ、資格を取ってすぐに「社労士一本!」と突っ走ったわけではありません。上場企業の経理部長やスタートアップ企業の人事責任者を務めながら、二足のわらじで社労士の仕事も継続。現在は「神奈川県社会保険労務士会藤沢支部」の役員も務めています。
経営者側、従業員側、そして外部の専門家側。「3つの視点」を身をもって経験してきたことが、青山さんの最大の武器です。
「専門家だからといって上から法律の正論を振りかざすのではなく、企業の一員のような泥臭い気持ちで、経営者さんに伴走したいと思っています」組織と人の可能性を解放し、挑戦する企業・人を『一番近くで伴走・応援』すること。
労働時間や賃金、就業規則など、人事労務の悩みは会社ごとに千差万別。青山さんは教科書通りの説明ではなく、「で、うちの会社はどうすればいいの?」を、一緒に頭で考えるパートナーでありたいと考えています。
事務所名の「プラス」には、祖父の名前からのインスパイアと関わる企業の成長にプラスの価値を届けたいという思いが込められています。

茅ヶ崎に来てからは、アロハシャツで仕事をすることも多いという青山さん。親しみやすく、相談しやすい雰囲気を大切にしているといいます。
ITとAIで、中小企業の働き方を変える
青山さんが特に力を入れているのが、クラウドサービスや最新AIを活用した人事労務の支援、効率化です。
例えば、未だに紙のタイムカードや電卓でがんばっている勤怠管理をクラウド化すれば、集計は一瞬。給与計算ソフトと連携させれば、手入力のミスや月末の“無駄の残業”もなくなります。
「新しいシステムを入れると『またお金がかかる…』と敬遠されがちですが、これまで手作業にかける時間や人件費を考えると、実は会社全体の負担がぐっと減ることも多いんです」
自身も企業で人事担当として実際にツールを使い倒してきたからこそ、導入後の「で、これどう使うの?」という運用のつまずきまでしっかりフォローできるのが強み。
さらに、法改正への対応はもちろん、労使トラブルの予防や「社員が活躍できる組織づくり」まで幅広くサポート。安全面に配慮された社労士向けの専用AIなども活用しながら、相談への即レス体制を整えています。
「それぞれの会社に合った『一番あった方法』を分かりやすく伝えていきたいですね」と青山さん。

キャリアの転機が導いた、茅ヶ崎への移住
実は、青山さんが茅ヶ崎への移住を決意した背景には、自身のキャリアにおける大きな転機がありました。
2022年に拠点を東京へ移し、上場企業の人事責任者として現場の最前線で挑戦を重ねていた青山さん。多忙を極める中で、30代後半という人生の節目を迎え、「この先の人生、本当に自分がやりたいことは何か?」「会社や人に真のプラスを届けるにはどうすべきか?」と深く自分自身と向き合うようになります。
その中で辿り着いたのが、「人間は、置かれた環境で大きく変わる」という強い確信でした。
経営コンサルタントの大前研一氏が語った言葉の中に、青山さんが強く共感する一節があります。
「人間が変わる方法は3つしかない。1番目は時間配分を変える。2番目は住む場所を変える。3番目は付き合う人を変える。この3つの要素でしか人間は変わらない」
「自分自身の可能性をさらに広げ、新たな一歩を踏み出すために、まずは住む場所と働く環境を変えよう」——そう決意し、運命に導かれるように出会ったのが茅ヶ崎の街でした。
決定打となったのが、2024年に家族で訪れた「湘南祭」です。活気あふれる会場と、目の前にどこまでも広がる青い海。「やっぱりこの街、最高すぎる…!」と一気にテンションが上がり、なんとその年のうちに家族を伴って茅ヶ崎へ移住してしまいました。
今では平日の朝、サザンビーチを散歩するのが日課に。波の音を聞いて頭をスッキリさせてからPCを開く。アロハシャツを着て仕事をする青山さんのスタイルは、一度思い悩み、自分で環境を選び取ったからこそ生まれた、しっくり馴染むライフスタイルです。

青年部との出会いが、茅ヶ崎との距離を縮めた
移住後、「まずは地域に知り合いを作らねば!」と茅ヶ崎商工会議所の門をたたいた青山さん。そこで紹介された商工会議所青年部(YEG)にさっそく飛び込みました。現在は政策提言委員会の副委員長も務め、湘南祭や大岡越前祭など、地域のイベントでも汗を流しています。
「移住してきたばかりの自分を、青年部の当時の委員長や副会長をはじめとする先輩方が、本当に温かく迎え入れてくれました。あの時のウェルカム感には励まされましたし、今でも尊敬する地元の経営者や士業の先輩方に支えられながらYEGの中でも事業ができていると感じています」
活動を通じて、街で交流が出来る仲間が一気に増加。仕事の話はもちろん、一緒にお酒を飲んだり、街の未来について熱く語り合ったりできる、長く付き合える仲間ができました。たまたまですが、名古屋の母校の高校が一緒の先輩もYEGにはいます。
新参者であっても、情熱をもって飛び込めば役割を与えてもらえる。青山さんは茅ヶ崎のそんな「懐の深さ」を実感しています。
「茅ヶ崎の人は親切ですが、距離の詰め方が絶妙なんです。ガッツリ関わりたい人にはウェルカムだし、マイペースに行きたい人もそっと見守ってくれる。この『適度なほっとかれ感』がすごく心地いいんですよね」

大岡祭での一枚。地元のイベントにも積極的に参加しています。
企業と湘南をつなぐ「ウェルネスワーケーション」
青山さんが今後取り組んでいきたいと考えているのが、都内などの企業を湘南へ呼び込み、経営合宿やチームミーティングを行う「ウェルネスワーケーション」です。
画面越しのリモートワークが増えた今だからこそ、「たまには顔を合わせてじっくり話す」価値が見直されています。
「社内の会議室だとピリッとしちゃいますけど、湘南の海風を感じながら話すと、なぜか本音やアイデアがポロッと出てきたりするんです。普段あまり喋らない社員同士の距離が縮まる効果もあります」
青山さん自身、会社員時代に湘南での宿泊合宿に参加し、「チームの一体感が段違いに上がった」という成功体験があります。
とはいえ、企業がワーケーションをやるには「これって労働時間?」「経費はどうする?」といった現実的な労務の壁が立ちはだかります。
そこで社労士である青山さんが間に入り、働き方のルール設計や研修プログラムの企画をしっかりサポート。さらに地元のホテルや飲食店、体験事業者とタッグを組んで、湘南を満喫できるプログラムを作り上げる構想です。
「単に観光で来てもらうだけでなく、茅ヶ崎や湘南を好きになって通い詰めてくれる『湘南ファン』を増やしたいんです。私みたいに地域外から来て、この街、茅ヶ崎にドハマりする人を一人でも増やせたら最高ですね!」
商工会議所や行政、地元の事業者も巻き込みながら、湘南エリア全体を盛り上げる取り組みへと育てていこうとしています。

青山さんがワーケーションの際に撮った一枚。開放的な環境が印象的です。
企業にも、働く人にも、地域にもプラスを。
銀行員、経営者、人事責任者、そして社労士。
多様なキャリア経験と「茅ヶ崎愛」を掛け合わせながら、青山さんは今日もアロハシャツ姿で、新しい働き方と地域の未来を楽しそうに描いています。

青山プラス社労士事務所
ホームページ:https://nagoyaplus-sr.com/
















