「慣れなければ、最長2カ月は買えません」
川崎市高津区にある補聴器専門店の「堺堂」は多数のメディアに取り上げられ、予約は2カ月待ちの人気店。2カ月待ってでも人が集まる理由は、補聴器の販売方法にあります。
同店では、すぐに補聴器は買えません!なぜなら、2カ月のリハビリ期間を経て、使いこなせるようになってから初めて購入できるからです。代表の大貫悦信さんは「補聴器は買ってすぐに使えるようになると思っている方が多くいらっしゃいますが、実際にはそうではありません。運転ができるようになってから車を買うのと同じです」と説明します。
音は「耳」ではなく、「脳」で聞いている!
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正解は右側の必死に頑張っている状態。興奮状態になり音に過敏になっている脳をクールダウンさせる必要があります。
大貫代表は、補聴器を買ってもすぐに諦めてしまう人は驚くほど多いと言います。装着してすぐに使いこなせない理由には、「脳」が大きく関わってきます。音は耳から信号として脳に伝えられます。一生懸命音を聞こうと頑張りすぎて興奮状態の中、補聴器からの信号が急に届き始めると、脳はびっくりしてしまいますよね。これが違和感を感じる理由です。食器を洗う水の音や新聞をめくる音ですら、苦痛を感じてしまいます。
これを改善するために、必要なのが2カ月のリハビリ期間です。「脳は4日で変化すると言われています。調整とクールダウンの期間を合わせることで、補聴器が体の一部となっていきます」と大貫代表。同店では調整は週に1回行うスケジュールになります。
リモートで全国どこでも調整可能
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リモート調整なら1度の来店でOK!出張も行っているので遠方でも安心です。
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アプリのホーム画面と補聴器。微調整でも対応可能です。
堺堂では「最新リモート調整」のサービスも行っています。iPhoneやiPadの専用アプリから、ビデオ通話を使って「聞こえ」の様子を確認しながら遠隔操作で補聴器を調整できるとのこと!設定済のタブレットのレンタルも行っているので、対応機種を持っていない人にもおすすめ。
- 自宅にいながら細かな調整をしてもらえるので、遠方のお客さんからも好評だそうです。
実父の苦い経験から、補聴器の世界へ
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写真中央が堺堂創業者で大貫代表の父・岩蔵さん。後列右は大貫代表です。
大貫代表が補聴器の販売を始めたのは、亡くなったお父さま・岩蔵さんの難聴がきっかけです。
岩蔵さんは補聴器を何度も買い替えていて、使わないことがほとんど。そんな様子に家族みんながストレスを感じていました。しかし、原因を突き止めようと研究すると、補聴器の理解が不足していることがわかったそうです。
- 「補聴器には正しい売り方・買い方があります。補聴器は幸せを補う『補幸器』。聞こえで不自由な思いをしている方の力に少しでもなれれば」と思いを語ってくれました。