しっとり柔らかで、お肉の旨みを存分に引き出していねいに作りあげられた極上のハム。口のなかにジューシーな味わいが広がるウインナー…。湘南茅ヶ崎に本社・工場を構え、1925年の創業以来一貫して保存料・増量剤・化学調味料を使わない“ドイツ製法手づくりハム”の伝統味をつくり続けている「ハム工房ジロー」。一度食べたら病みつきになる美味しさの秘密に迫りました。
<目次>
1.もっと美味しく!ハムジローの簡単アレンジ術2選
2.工場潜入!おいしさの秘密は、こだわりの製法にあった
3.ハムに捧げた人生
4.キッチンカーでどこまでも
1.もっと美味しく!ハムジローの簡単アレンジ術2選
まずは「ハム工房ジロー」の紹介…といきたいところですが、食欲には勝てません。そのまま食べても唸るほどおいしいのに、ひと手間加えるだけで更においしく食べられるジローの商品を使った簡単アレンジ術を先に教えちゃおうと思います。
(1)ベーコンで冷やし温玉ぶっかけうどん
材料
- ベーコン…お好みの量
- キュウリ…適量
- うどん…1人前※冷凍うどんでもOK
- 卵…1個
- 麺つゆ…適量
作り方
- (1)ベーコンを軽く炒める
- (2)ベーコンをキュウリの千切りと一緒に茹でたうどんの上にのせる
- (3)卵の黄身(温泉卵)をのせ麺つゆをかけたら出来上がり
早い、簡単、うまいの3拍子揃ったアレンジレシピです。記者も作ってみましたが、凝縮されたベーコンの旨味と塩気がとにかく最高。うどんの代わりにソーメンでもOKですよ
(2)ハムチーズパテ
材料(4人分)
○ハム… 100g+★微塵切り…50g
○クリームチーズ… 4個(18g✕4)○はんぺん… 1/2枚
☆玉ねぎ微塵切り…20g
☆レモン汁…大さじ1
胡椒…適量
黒ごま食パンバケット、糸唐辛子、クルミ
作り方
- (1)ミキサーに○を入れて滑らかになるまで回す
- (2)☆を入れて軽くミキサーをかける(馴染ませる感じでOK)
- (3)ボールに(2)を入れ、★を混ぜ合わせる
- (4)焼いたパンの上に(3)を塗り、黒胡椒をかけて出来上がり
イタリアンパセリ、糸唐辛子を添えるとクリスマスカラーになってとってもおしゃれ。ナッツ類を乗せるのもオススメです。
- 【ポイント】食感を楽しむために、後から混ぜるハムは細かくし過ぎない
おすすめのアレンジ術を2つ紹介しましたが、他にも「ボンレスハムとひじきの根菜デリサラダ」や「ゴーヤチャンプルー」など知っていただきたいレシピがたくさん!
ジローのウェブサイトで詳しく紹介しているので、ぜひ「ハム工房ジローのしあわせレシピ集」をご覧ください。親子でも挑戦してみてくださいね。ちなみに、スタッフ人気№1は「コンビーフユッケ」だとか。
子どもと一緒に食べられて、お酒との相性も抜群なので、ホームパーティでも活躍しそうです。
2.工場潜入!おいしさの秘密は、こだわりの製法にあった
なぜ、こんなにもジローのハムは人気なのか。その秘密を探るべく、茅ヶ崎青果市場内にある工場兼店舗へおじゃましてきました。案内してくれたのは、社長の矢島二郎さんです。
本社・工場・店舗
〒253-0002 神奈川県茅ヶ崎市高田5-2-26(茅ヶ崎青果市場内)
TEL 0467-54-8604
店舗営業時間:月~土 10:00~19:00 日 11:00~14:00
不定休 駐車場あり(台数限定)
まずはこちら。店内のショーケースには鮮度抜群のジローの商品がたくさん並んでいます。
好きなものをピックアップして買うもよし、湘南セット(ベーコンスライス ・ボンレスハム ・あら挽きウィンナー ・ボロニアソーセージ※季節により変更あり)のような詰め合わせを買うもよし、実際の商品を見ながら選ぶことができます。
- 店内ではレシピ集も無料配布しているので、今晩のおかず作りに迷ったらぜひご利用くださいね。
それでは、いよいよ店舗奥の工場に潜入です。原料の豚肉は、ハムづくりに適した新鮮で厳選された国内産豚肉を使用。工場では、専門の職人が下処理から加工まで全て行っています。
ハムは鮮度が命。出来立てが店頭に並ぶので、納得の美味しさです。
素材のこだわり
素材の持つ良さを充分に引き出すために、ジローの商品には余計な添加物(保存料や増量剤等)や化学調味料は一切使われていないといいます。
加えるのは、塩と砂糖、そして、微量の発色剤。この発色剤は、ポツリヌス菌の繁殖を抑えるために昔から西洋で使用されていたようです。それが現在は、結果として発色剤となっています。
セロリパウダーとの運命的な出合い
発色剤といってもそれは添加物。もっとおいしく、そして体に害のない材料で製品を開発できないかと研究を重ねていたジローがドイツで出会ったのが、発色剤として利用できる自然由来のセロリパウダーでした。
セロリパウダーのいいところ
- 自然由来の成分なので、安心して食べられる
- セロリ独特の青臭さもなし
- より一層旨味を引き出す成分がある
このセロリパウダーを用いる製法で、「ハムやソーセージ造りの完成形にようやくたどり着いた」と矢島社長は胸を張ります。体にやさしくて、美味しいハム。家族の笑顔が浮かびそうですね。
長期自然漬け込み
部位ごとにカッティングした肉を塩漬液に2週間程度漬け込み、熟成させます。この時、漬け込んでいる肉の状態を見ながら重さの違う2種類の重石を使い熟成させていくといいます。 じっくり熟成された原料の肉は製品にすると約80~90%のハムになります。「コスパが悪いと言われるけれど、これがこだわりだから」と矢島社長はどこかうれしそうに笑いました。
桜の原木で直火スモーク
長期自然漬け込み後、一つ一つていねいに手巻きした熟成肉を、桜の原木を使ってスモークします。
煙には肉の臭味を消す役割があり、木の香りが徐々に染み込むことによって独特の風味が加わり、味わい深くなります。こだわりの製法は動画でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
このようにこだわりを持って造られているジローの商品たち。次は、100年続くドイツの伝統製法とハムに対する熱い思いを少し紹介したいと思います。
3.ハムに捧げた人生
ハム工房ジロー100年の歴史
時は、1914年(大正3年)。第一次世界大戦まで話は遡ります。第一次世界大戦の最中、日本軍により中国青島は陥落し、その時、捕虜だったドイツ兵の多くは、習志野収容所に収容されました。
その中には、様々な職人や技師もおり、農商務省の要請を受けて、ドイツのソーセージ作りの秘伝も講習会を通じて、全国の食肉加工業者に伝わっていったようです。
他にも洋菓子やコンデンスミルクなど、収容所生活の中から、いろいろなドイツの文化が日本に広がるきっかけとなりました。 そして、解放された後も日本に残るドイツ兵もおり、ソーセージ職人のカール・ブッチングハウス氏もその一人で、東京・目黒にソーセージ工場を作りました。
- カール・ブッチングハウス氏
ドイツのソーセージ職人。習志野俘虜収容所を解放された後、東京・目黒にソーセージ工場を開業。千葉県小湊の日本女性と結婚ののち、神戸へ移り広く知られる。?~1944年没)
矢島社長の父にあたる矢島八郎氏は、1925年(大正14年)に、横浜の本牧で精肉業を始めました。 八郎氏の精肉店は、カール・ブッチングハウス氏が経営する目黒のソーセージ工場にも豚肉を納めていたのです。
- 当時は、まだ日本人には馴染みが薄く、どちらかというと敬遠されがちだったハム・ソーセージを見た瞬間に、自分でもドイツ製法のハムづくりを始めようと思い立ったようです。
カール・ブッチングハウス氏直伝のドイツ製法を習得!
八郎氏は“食に対する探究心”がとても強く、とりわけ『精肉をどのように加工して食べたらおいしいか?』と常日頃から考えていたようで、そこで見たハムやソーセージは八郎の心を激しく揺さぶったのでしょう。早速ハム造りを手がけようとしましたが、そこは“昔ながらの職人気質の世界”のこと。手取り足取り教えてもらうことは当然できませんでした。
ましてや、ソーセージ工場の職人でもない八郎にとっては、カール・ブッチングハウス氏の技術を習得するには、まさに“盗み見”するかのごとく、見よう見まねで試行錯誤を繰り返すしか方法がなかったようです。しかし、そのような努力が実って、カール・ブッチングハウス氏から直接アドバイスをもらうようになり、その技術を直伝されるまでになりました。
こうして、ハム工房ジローの歴史は始まりました。伝統を守りながら新しい製法を取り入れ挑戦を続けていくジロー。「一度お召し上がりいただければ、昔ながらの直火式スモークの香りと、じっくり漬け込まれた良質の国産豚肉の旨味が、本来のハム・ソーセージの味であるとおわかりいただけることでしょう。 受け継がれた極上の味を皆さまの食卓へとお届けできるよう、これからも精進して参りますので、ぜひ当社伝統の手造りの味をご賞味下さいますようご案内申し上げます」
4.キッチンカーでどこまでも
ハム工房ジローでは、「100年以上変わらぬ製法で造り続けているハムやウインナーたちを、もっともっとたくさんの人に届けたい」と、キッチンカーで移動販売を行っています。
自慢のウインナーが挟まったホットドックやハムが主役のサンドイッチなど、食欲をそそるものばかり。ドッグパンは、ハム工房ジローのウインナーと絶妙にマッチするように、茅ヶ崎市松浪にある人気パン店「シールズ・ベーカリー」が手掛けているんですよ。さすがの美味しさです。
- 記者も「肉」と「ハム」がデザインされたロゴマークを発見したら、お財布を握りしめて駆け寄ってしまいます。