神奈川県央の西部に位置し、丹沢の山々に囲まれた秦野市。そんな自然豊かな秦野市で直面しているのが、高齢化などによる里地里山の荒廃です。そんな放棄地や休耕地の再生活動をしているのが「秦野市の里地里山を育む会」。代表の浅見一義さんに話を聞きました。
秦野市の里地里山を育む会は、1994年に設立。荒廃した里山を整備し、ごみ拾いや植樹など環境活動を行っています。浅見代表は神奈川県地球温暖化防止活動推進員や秦野市が進める「森林づくりマスタープラン」の市民代表などを務めてきました。
<目次>
◎目指すは里山公園
◎外国籍の市民も活躍
◎次世代への環境づくり
◎【トピックス】
◎【定期更新中】四季折々の里地・里山通信
目指すは里山公園
- 西田原のゴルフ場「秦野カントリークラブ」入口ゲートそばにある里山に、2000年頃からおかめ桜や河津桜などを植樹。春には約5000㎡の畑一面に菜の花が咲き、里山風景を楽しめます。「誰もが楽しく過ごせる里山公園にしたい」と浅見代表。
外国籍の市民も活躍
活動を続ける中で、市内に住むラオス人夫婦から相談があったといいます。「野菜を作りたいが、土地がない―」。そのとき、高齢化や後継者不足で管理できなくなった休耕地を利用することを思いついたといいます。
- 自身が持つ約300坪の土地を9家族に無償で貸与。すると農作業だけでなく、交流の場にもなったそうです。その評判を聞き、カンボジアなど多くの外国籍の人が参加するようになり、2016年にはラオスの駐日大使が視察に訪れました!さらに「休耕地を管理して欲しい」と土地所有者からの要望も増え、現在は西田原や下大槻などの7カ所を管理しているそうです。
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土地所有者と管理の様子を視察する浅見会長(右)
次世代への環境づくり
水や空気など環境を守ることが大切だと浅見代表は言います。「森林整備に自給自足…自然のすばらしさを次世代に伝えていかねばなりません」。そんな想いから畑周辺にヒマワリやコスモスなど四季折々の花も植えています。浅見代表は「地域の人から『ごみのポイ捨てが減り治安も良くなった』という話も聞きます。魅力あふれる街づくりに繋がれば嬉しい」と話しました。
地域情報紙「タウンニュース」秦野版掲載記事
- 2011年2月5日号
https://www.townnews.co.jp/0610/2011/02/05/92083.html - 2016年6月25日号
https://www.townnews.co.jp/0610/2016/06/25/337744.html - 2020年7月31日号
https://www.townnews.co.jp/0610/2020/07/31/536769.html - 2022年3月14日号 里山彩る一面の菜の花
https://www.townnews.co.jp/0610/2022/03/25/618207.html - 2022年7月22日号
https://www.townnews.co.jp/0610/2022/07/22/634813.html - 2023年2月24日号
https://www.townnews.co.jp/0610/2023/02/24/666379.html - 2023年5月19日号
https://www.townnews.co.jp/0610/2023/05/19/678912.html
【トピックス】
浅見一義代表がラオス親善大使に
2021年10月7日、都内の在本邦ラオス人民民主共和国 大使館に招かれた浅見一義代表がラオス親善大使に任命されました。
ラオスの子どもたちに心からの支援を届けました
里地里山のメンバーは、日本からラオスに文房具や学用品を寄付。子供達にサッカーボール30個、鉛筆500本、ノート500冊、サッカーの服上下中学生用30人分、小学生用30人分を贈りました。さらに布団のない子供達にベッド30人分を寄贈しました。今までは1枚の布団に6人が寝ていたそうです。2022年3月12日、浅見代表は在本邦ラオス人民民主共和国 大使館を訪れ、メンバーらの想いを伝えました。
ラオスの駐日大使が西田原へ視察に
2022年9月3日、ラオスの駐日大使らが西田原の里地へ視察に訪れました。視察の目的は、市内在住のラオス人が育てたイネや野菜の様子を見ること。駐日大使らは浅見代表の自宅で談笑し、交流を深めます。その後、西田原の里地へ。
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浅見代表(右手前)と駐日大使ら。浅見代表の自宅で交流を深めています
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秦野市在住のラオス人と浅見代表、駐日大使らで記念撮影が行われました
里地の田んぼには、秦野市在住のラオス人男性が育てたキヌヒカリが。駐日大使であるフォンサムット アンラワンさんは、田畑の作物の生育具合や市内在住者らの様子を見て「浅見さんや日本の政府、国民に感謝したい」と話していました。
【定期更新中】四季折々の里地・里山通信
メンバーが再生活動を行っている里地里山の“今”をお届けします。
西田原の里地は、2023年の夏を迎えました。今年の里地の見どころは、なんといっても「蓮」の池。一面の蓮が幻想的でうっとりする眺めです。お散歩ついでに見に行く人が多いのだとか。現在、池の中の歩道を整備中です。
もちろん、今年もひまわりやコスモスが元気いっぱいに咲いています。
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丁寧に手入れされています
同会のメンバーが手入れする里地は年々広がっていて、今の時期はゴーヤやヘチマ、トウモロコシやキュウリなど、夏野菜が育てられています。家に帰って家族で楽しむ人も多いそうです。
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太陽を浴びてまっすぐ育っています
◆2022年 8月・9月◆
夏・初秋を迎えた里地です。西田原の畑では、植物や作物が生命力をみなぎらせています。畑の池には見事な蓮が咲き誇り、名物のヒマワリとともに道行く人の目を楽しませていました。
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ひょうたんや食べられるへちまなど、他の畑ではあまり見ない作物も
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夏にはヒマワリ・ハス、9月にはコスモスが咲き誇り、道行く人の目を楽しませています
実りの秋・稲刈り
里地では9月に稲刈りが行われました。田植えから丹精込めて育てた稲が束になって干されています。食卓で味わうときが待ち遠しいですね。
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黄金色の稲がキラキラと輝いています
◆2022年 3月・4月◆
春爛漫の里地里山の景色です。3月下旬には一面に菜の花が広がりました。この菜の花は浅見会長らが約10年前に荒廃していた同地に種を蒔いたもの。会員らの手で手入れされたこの地がよみがえりました。地元タウン紙でも報じられ、多くの方が訪れ、里地里山の春を楽しみました。
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菜の花、芝桜、つつじ、芍薬…。鮮やかな春訪れです。
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メンバーらは、総出で蜜柑山の整備に精を出しています。実りの秋が待ち遠しいですね
◆里地・里山通信vol.3 2022年新年・2月◆
新たな年を迎えた里地です。凛とした空気が張り詰めています。盆地である秦野市の地下は、地下水を貯めておく「天然の水がめ」になっていて、その天然の水がめには、約3億トンの地下水が蓄えられているそうです。大自然の恩恵を受け、湧き出る清らかな水は、里地に大いなる恵みをもたらしてくれます。
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里地里山から眺めることができる富士山です
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ゆたかな湧き水が里地里山を育みます
春の訪れ
まだまだ冷え込みが厳しいときもありますが、日差しは春を予感させるあたたかさ。里地里山にも春を告げる花々が咲き始めています。
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福寿草、梅、桜、菜の花…。春の訪れに心が躍ります(2月撮影)
◆里地・里山通信vol.2 2021秋・冬◆
稲刈りを終えた里地です。黄金色に実った稲が輝いています。束ねた稲は自然乾燥させるため、稲架(はさ)掛けにします。このような昔ながらの風景も今はなかなか見ることが少なくなりました。自然を敬い、収穫に感謝する…。実りの季節は感謝の季節でもあります。
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皆で豊作を喜ぶ…。黄金色に輝く稲=10月撮影
◆里地・里山通信vol.1 2021夏・秋◆
西田原にある畑周辺の道路では、今年の夏も名物のヒマワリロードが来場者を迎えました。ヘチマ棚に加えて今年はヒョウタン棚も設置。新たな魅力が加わりました。
現在は5カ所・計350mに渡ってコスモスが花を咲かせています。10月15日ごろまでが見頃です。
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コスモスが満開です!=9月22日撮影
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7月中旬撮影。たわわに実りました