JR川崎駅北口近くにある「川崎浮世絵ギャラリー〜斎藤文夫コレクション〜」で『世界に誇る大北斎展』が開かれている。北斎の代表作約260点を前後期を通じて公開する。
世界で最も知られる浮世絵師、北斎
葛飾北斎(1760-1849)は19世紀後半のヨーロッパの芸術家たちに多大な影響を与えた世界で最も知られる浮世絵師。1999年にはアメリカの『LIFE』誌が発表した「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に、日本人として唯一選ばれた。
前期展:初期の春朗期から晩年期まで「神奈川沖浪裏」など
前期展では、北斎の作品を初期の春朗期から、晩年期までの各年代別に紹介。その生涯と画業の変遷を振り返り「冨嶽三十六景」のうち三役と呼ばれる「凱風快晴」「山下白雨」、2024年度から使用される新しい千円札やパスポートのデザインに採用された「神奈川沖浪裏」を展示する。

「冨嶽三十六景 武州玉川」(前期)
後期展:「諸国瀧廻り」「諸国名橋奇覧」「琉球八景」など
後期展では、前期に引き続き冨嶽三十六景のほか、「諸国瀧廻り」「諸国名橋奇覧」「琉球八景」など同時期の北斎の風景画の名作を一挙公開。美人画、静物画、摺物など、「テーマ別に北斎の多彩な魅力が楽しめます」と同ギャラリー学芸員の蛭田裕紀子さんは語る。また、門人の作品も公開し、北斎が弟子たちに与えた影響を振り返ることができる。

「琉球八景 城嶽霊泉」(後期)
北斎の多彩な魅力を
北斎は幼い頃から絵を好み、18歳で勝川春章に入門し本格的に絵師として歩み始めた。70年にも及ぶ画業の中、画風を変化させながら常に挑戦を続け、錦絵、読本の挿絵や絵手本、肉筆画などで多彩に活躍し、「冨嶽三十六景」は70代の頃の作品だという。蛭田さんは「『これも北斎なんだ』と驚かれるかもしれません。森羅万象を自在に描いた北斎の多彩さをご覧いただけましたら幸い」と来館を呼び掛ける。
前期は8月9日(月・祝)まで、後期は8月14日(土)から9月12日(日)まで。