川崎駅周辺で毎年10月に行われてきた「カワサキ ハロウィン」の終了を同プロジェクト事務局のチッタ エンタテイメントが8月27日に発表した。1997年に始まり、日本最大級のイベントに成長した「カワハロ」は惜しまれながら24年の歴史に幕を下ろす。
当初は参加者集めに苦労も
同社によると2020年2月に止め時と判断。「カワハロ」の盛り上がりがピークを過ぎたことや、ハロウィンが日本中どこでも楽しめるようになったこと、他都市での迷惑行為によるイメージダウンなどが理由だという。同社取締役で「カワハロ」プロデューサーの土岐一利さんは、「カワハロに代わる新たな刺激を生む方が建設的で、そうあるべきだと判断した」と語った。
「カワハロ」はJR川崎駅近くの複合映画館「チネチッタ」10周年記念として、東京や横浜から若者を呼べる刺激的なイベントを作ることをテーマにスタートした。当初は参加者集めに苦労したが、大音量を轟かせながらの仮装パレードが若者に支持され規模が拡大。2010年代には主催25団体、パレード参加者約3000人、観覧者12万人にまで成長した。
理解を求める「他の場で楽しんでほしい」
20年以上続いたのは、世相を反映し、想像を超える刺激的な仮装の参加者がいたことで、多くの観客が沿道に詰めかけ、メディアの注目もあったからだという。土岐さんは「祭りを楽しくしてくれたのは参加者の人たちでした。皆さん最高です」と感謝の気持ちを隠さない。仮装は今では日本全国、ネットを使えば世界で楽しめるようになった。参加を楽しみにしていた人たちには、「他の場で楽しんでほしい」と理解を求める。
土岐さんは「カワハロの一番の財産は地域が一体となって取り組んだこと」とも話す。駅周辺の全商店街、大型商業施設、市をも巻き込んだプロジェクトは他にそうないだろうという。「新たなコンテンツがあれば、このチームはすぐにでも動き出すと思う。20年以上かけて築いてきた関係は盤石。色んな可能性が残っている」と次なる展開に期待を寄せる。
終了に惜しむ声
「カワサキ ハロウィン」終了の発表をうけ、市の担当者は「川崎駅周辺の賑わいを作ったのに加え、車いすパレードといったインクルーシブな取り組み、オンラインで世界に発信するなど、賑わい以上のものを創出してくれた」と感謝の意を表した。川崎市観光協会の斎藤文夫会長は「今や年中行事として定着している。観光協会にも相談いただければ、継続できる方法を考える余地があったかもしれない」と残念がった。
川崎銀柳街商業協同組合の小島照彦理事長は「大人も子どもも、そして家族も参加型のイベントでした。近隣商店街も盛り上がり、パレードの秩序、環境など最大限を配慮して後味も良かった。大変残念です」とコメント。川崎平和通商店街振興組合の戸村正房理事長は「川崎の代表的なイベントがなくなるのはさみしい。この資産を今後、どうつなげていくのかが大事なことだと思う」と話した。