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茅ヶ崎と西丹沢、人と人とをつなぐ「革ものづくり」。古民家アトリエ『Leather Room Bluno』は好奇心をくすぐる「大人の秘密基地」!

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茅ヶ崎と西丹沢、人と人とをつなぐ「革ものづくり」。古民家アトリエ『Leather Room Bluno』は好奇心をくすぐる「大人の秘密基地」!
Leather Room bluno代表でレザー職人の宇野裕貴さん

JR辻堂駅西口から海へと向かう「浜竹通り」には、モノ作りをする作家のアトリエや個性的な雑貨店、カフェが点在しています。中でも、ひときわ異彩を放つのが、実用性と素材の美しさを兼ね備えた革製品を取り扱う『Leather Room Bluno 』です。路地に入った住宅街に佇む築60年の古民家テラスハウスに、ショップ兼アトリエを構えています。1階のショップでの革製品販売のほか、2階のアトリエでは気軽にワークショップを楽しめる場として注目を集めています。

2021年8月には、西丹沢エリアに2号店をオープン。「茅ヶ崎にはほとんど知り合いがいなかったんですが、西丹沢で茅ヶ崎の人と出会うことが多くて」とオーナーの宇野裕貴さん(34)は笑います。茅ヶ崎と西丹沢、人と人の思いを結ぶストーリーをたどります。

茅ヶ崎の名産品、隠れた良品とのコラボも

そもそも、#ちがすき記者が『Bluno』の宇野さんを知ったのは、南湖の寿司店での雑談でした。店主が手掛ける魚醤を「アトリエで販売させて欲しい」と宇野さんが訪ねて来たという話を耳にしたのがきっかけです。

「革職人が魚醤?」。ミスマッチな組み合わせに、興味がむくむくと湧き上がりリサーチを開始。すると、西丹沢に2号店という情報に、ますます疑問が。「西丹沢と茅ヶ崎?宇野さんって何者なの?」から始まったインタビュー。結果は「茅ヶ崎が好きだから、茅ヶ崎の名産品や隠れた名店を紹介したくて」という「#ちがすき」にふさわしいものでした。

1階ではワイン箱や流木をリメイクしたインテリアで、茅ヶ崎の商品を取り扱っています。革製品の相性も抜群のリネンシャツも目を惹きます

店頭では革製品と一緒に、『茅ヶ崎ナンプラー えぼしの雫』や『オレの胡椒』『温故知新 開工房 ブルーベリークリーン&ジャム』が展示販売されています。

30歳を目前に、自然と「革ものづくり」の道へ

「イタリアンレザーの職人」なんて聞くと、こだわりが強くて気難しい方かも…と思いきや、出迎えてくれたのは、気さくで溌剌とした男性でした(しかもイケメン)。

「20歳ごろにワークショップでレザークラフトを体験したのですが『そんなに難しくないな。経験を積んだら自分でもできそう』と思ったのが、はじまりです。実際、うちに来る方の9割が初心者です」

こう微笑む宇野さんは、中高校生から藤沢市で過ごし、大学卒業後は金融マンという異色の経歴の持ち主。仕事の傍ら、独学でレザークラフトを習得したそうです。ITコンサルティングの営業も経験する中、30歳を目前に「このまま月日だけが過ぎていくのは、まずいなと感じた」と吐露します。

何かできないかと自分と向き合う中、自然と「革ものづくり」の道へ、歩が進みました。「結婚してから仕事を辞めたので。うちの奥さん、よく承諾してくれましたよね」と目を細めます。

「江の島や鎌倉エリアでもテナントを探しましたが、ピンとくる物件が見つからなくて。高校・大学時代の友人に相談したら、うちのアパートいいんじゃないって」

紹介されたのは、昭和ノスタルジーを感じさせる古民家テラスハウスでした

とはいえ、紹介された『藤浪荘』は築60年の古民家テラスハウス。「結構ボロボロで、今はもう無いんですが、窓際に大きな樹があって。それが鬱蒼としていて、部屋も薄暗くて」と苦笑い。壁から床板、天井までセルフリノベーションして、満を辞して『Leather Room Bluno』をオープンしました。

昭和ノスタルジーを感じさせるレトロな外観と、センスの良さを感じさせる看板デザイン。これだけでもワクワク感が込み上げてきますが、その期待は、店内に足を踏み入れてからも裏切られません。アンティーク柄のすりガラスの向こう側に、所狭しと並ぶ上質な革製品―。「知る人ぞ知る場所でひっそり」という〝秘密基地〟感が、大人の好奇心をくすぐります。

財布からキーケース、手帳、バッグなど上質な革製品が一面に並びます。革と金属の錫(すず)を組み合わせたオリジナル製品をはじめ、手縫いの技法を存分に生かしたシリーズまで豊富なラインナップ。宇野さんが丁寧に解説してくれます

狭くて急勾配の階段を上った2階には、ワークショップスペースが広がります。

思わず声が上がってしまうおしゃれな空間。リメイクしたミシン台のワークショップスペースや、照明、ドライフラワー、チョークデザインなど、どれを切り取っても「映える」空間が

「革ものづくり」通じて、人と人が思い合う豊かな時を

「自分が20歳ごろにワークショップに参加した時、すごく楽しくて、夢中になって作った経験をみなさんにも体験してもらいたいですね」と宇野さん。

さらに、こう続けます。「手縫いの革製品は長持ちするし、特別な道具も必要ありません。もし壊れても、修理すればいくらでも長く使えます。何より、既製品と違って作った人の顔が見えるって良いですよね」

宇野さんが提供しているのは、革製品そのものではありません。革ものづくりを通じて重なり合う人と人との思いや、豊かな時間、使えば使うほど湧いてくる愛着といった不易なものです。

革や金具・糸など、使用する素材は、手触りや質感、色まで、宇野さんがすべて厳選し尽くしたものばかり

事実、全国から訪れる方には、唯一無二のストーリーがあります。

熟年の夫婦や結婚記念の新婚カップル、就職・進学で親元を離れる若者、気兼ねない仲間同士…。そういった人たちが、時間や場所を共有し、それぞれ大切なものを紡いでいます。それは、心がこもった贈り物だったり、日々頑張る自分へのご褒美だったり、日常遣い必需品だったり。

「僕もお客さんから聞いて初めて知ったんですが、結婚3年目を『革婚式』って言うらしくて。もっと広めていって、3年目の記念にご夫婦でワークショップに参加してもらえれば良いなと考えています」

経年変化を楽しめるのも革製品の醍醐味。サンプルが展示されています

西丹沢・天然記念物「箒杉」のたもとに2号店

この夏、宇野さんは清らかに澄んだ渓流と、深い山に囲まれたのどかな西丹沢エリアへ。「実はあまりこだわりが無くて、行き当たりばったり」と言いますが、西丹沢には何やら見えない糸で、たぐり寄せられた感があります。

「ものづくりに集中できる理想の環境」を追い求めて、千葉や長野の自然豊かな場所で新拠点を探していたという宇野さん。釣りで、友人と初めて西丹沢に訪れたことが転機となりました。「神奈川にこんな良い場所があったのか」と感激し、物件探しを始めたそうです。

ご縁があった民宿喫茶『箒沢荘』の名物女将の紹介で、樹齢2000年の国の天然記念物『箒杉』を臨む、唯一無二の古民家とめぐり合います。元は、茶室だったという平屋造りで、開放感がある窓から望む山々はまさに絶景そのもの。「商売をするには難しい場所かもしれませんが、ものづくりをする環境としてはこれ以上ない最高な立地」と微笑みます。

茅ヶ崎ではなく、西丹沢で出会う茅ヶ崎人

交流のあった地域コミュニティ『茅ヶ崎0467』とコラボし「山奥エシカルマーケット」も開催。出店者は、ヴィーガンスイーツやエシカル雑貨、ユーズド子供服などの茅ヶ崎の個性的なショップが勢揃いしました。

奥深い山という立地にも関わらず、次から次へとお客さんが訪れるのは、ちょっとした見ものです。SNSを見たという親子連れやグループなどは、たまたまではなく、目的を持って訪れていました。その大半が茅ヶ崎の人たちです。

マーケットでもオリジナル商品の販売やワークショップを展開。ディスプレイされていた丹沢茶は、藤沢マイスター『茶来未』の茶師・佐々木健さんとのコラボ商品

マーケットの仕掛け人『茅ヶ崎0467』の高沢江里子さん

宇野さんは「出店者の方もお客さんも、茅ヶ崎では全く交流がなかったですが、なぜか西丹沢で出会うという…(笑)。不思議ですよね。この前も、古民家を借りて移住したという方も。出会う人が茅ヶ崎の人ばかりで驚きます」

また、丘の上のアトリエを降りた渓流横でも、茅ヶ崎のグループが何やら企みごとをしているとか…。

9月開催のマーケットには、親子連れやカップルなど、多くの人が訪れました

次世代に向け、学校での出前・オンライン授業も

「いずれは職人の育成も手掛けていけたら」と、次の夢について語ります。

その前身として「次世代を担う若者たちに、革製品の素晴らしさを伝えよう」と、中高校生に向けた授業も展開。県内の高校での出前授業をはじめ、11月には島根県の高校生に向けて、オンラインで手ほどきすることが決まっています。

「やりたいと思ったことは、自分を信じて突き進んだほうが良い。耐えらえれるぐらいのリスクなら、挑戦した方が絶対に良い結果が生まれると思っています。自分の経験を踏まえて、そんなことも伝えていけたら」

リスクを恐れず、突き進んできた宇野さん。茅ヶ崎との絆もさらに深くなり、10月には茅ヶ崎市観光協会とのコラボ商品コインケースと、リングノートも完成、販売が始まりました。

上質なイタリアンレザーを使ったコインケース

上品なリングノート。1文字1文字を大切に綴りたくなります

「革ものづくり」を通じて、茅ヶ崎と西丹沢、人と人とをつなぐ革職人。宇野さんの快進劇は止まりません。

あわせて読みたい

西丹沢のお店「Bluno Nishitanzawa(ブルーノ にしたんざわ)」店長の宇野純子さんにスポットをあてて取材しました。

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住所

神奈川県茅ヶ崎市松浪2−9−62

問い合わせ

Leather Room Bluno

電話

080-7011-6190

080-7011-6190

メールアドレス

info@bluno.net

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公開日:2022-07-02

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