鉄道開通150周年を記念し、JR川崎駅北口近くにある「川崎浮世絵ギャラリー〜斎藤文夫コレクション〜」で『鉄道絵』展が3月13日(日)まで開かれている。1872年(明治5年)に新橋・横浜間約29キロメートルを黒煙を吐きながら走り抜けた「陸蒸気(おかじょうき)」(蒸気機関車)。ジャーナリズムの役割を担っていた浮世絵でも盛んに取り上げられたという。同展では選りすぐりの約50点を公開。
三代歌川広重『六郷川蒸気車往返之全図』
このうち、三代歌川広重『六郷川蒸気車往返之全図』は、明治初期頃、六郷川の下流から眺めた風景が描かれた作品。乗客らを乗せた渡し舟や小舟が往来し、真新しい鉄道木橋の上を蒸気機関車が走り抜ける。新田屋・萬年屋・会津屋などが軒を連ねる川崎宿が見える一方、川岸には1869年(明治2年)に開業した京浜間の乗合馬車や、普及し始めた人力車が通行する。「川沿いの新旧の移動手段を対照的に描き、明治期の変わりゆく川崎の風景が垣間見える作品」と同ギャラリーの学芸員・蛭田裕紀子さんは解説する。
小林清親『新橋ステンション』なども見どころ
雨の降る夜の新橋停車場の様子を描いた小林清親の『新橋ステンション』や月岡芳年『東京名勝高輪蒸気車鉄道之全図』、三代歌川広重『横浜野毛伊勢山従海岸鉄道蒸気車ノ図』、文明開化期の横浜の様子を忍ばせる三代歌川広重の『横浜海岸鉄道蒸気車図』も見どころ。
詳細は同ギャラリー【電話】044・280・9511。