聴覚に障害がある人の地域や社会における問題を解決しようと活動する一般社団法人4Hearts(那須かおり代表)がこのほど、「スローコミュニケーション」に関する小冊子を作成し、配布を始めました。
生まれつき重度の聴覚障害のあるという代表の那須さん。例えば買い物などの際、筆談でお願い事をしようと思っても「後に並んでいる人は急いでいるのでは」と思うと負い目を感じて必要な依頼ができないなど「日常のコミュニケーションに様々な不自由を感じてきた」と言います。
そこでたどり着いたのがスローコミュニケーションというコンセプト。この場合の「スロー」は心のゆとりを意味するそうで、「もしかしたら体調が悪いのでは」「障害のある人かもしれない」など、相手の立場や事情を想像しそこに寄り添った関係性を広げることで「障害の有無に関わらず誰もが生きやすいまちになるはず」と考えたそうです。
今回作成した冊子では茅ヶ崎市で聞こえに不安を持っている人がどれぐらいいるのかをデータで提示したり、「きこえない世界って?」と題して、スーパーやコンビニのレジでのやりとりなど、何気ない場面で「もし音がなかったら」を読み手が想像できる特集を組んでいます。
神大との協働も
「今後はスローコミュニケーションをいろいろなものを掛け合わせて、まちのマインドを変えたい」と那須さん。
5月には子ども向けワークショップを開催したほか、現在は市内の商店街、さらには神奈川大学との協働プロジェクトも進んでいます。特に神大とは、スローコミュニケーションに対応している店舗や施設をマッピングしたアプリの開発などにも取り組む予定です。
冊子は1500部を作成。茅ヶ崎市民活動サポートセンターや公民館などで配布しています。