細山4丁目、5丁目を区域とする三井細山自治会が、老朽化した自治会館を約50年ぶりに建て替え、1月から運用を開始する。リニューアルにあたり、若年層から高齢者までが使いやすいよう内装にもこだわった。従来の自治会活動だけでなく、現代の生活環境にあわせた使い方を想定する。
同自治会は1968年に活動を開始し、現在は約600世帯が加入する。以前の自治会館は1974年に完成し、会議やサークル活動の場として活用されてきた。
10年ほど前から自治会館の老朽が課題になっていたが、2020年度の総会で建て替えが決定。費用には、自治会費の積み立てに加え、川崎市の町内会・自治会会館整備補助金を活用した。
誰にも使いやすく
区域内の9割が加入するという同自治会。「比較的若い世代も多く、皆さんから集めている自治会費から建て替え費用を捻出するので、誰にとっても使いやすい場所にしたかった」と話すのは、前会長で顧問の西村潤也さん(44)。会館の利用者に聞き取りしながら考えたのが、「近くにあるサードプレイス」というコンセプトだ。旧会館は2階建てだったが、新会館は平屋にし、車いすでも入れるようフルフラット、トイレもバリアフリー対応にした。内装は「無印良品」を運営する(株)良品計画に依頼。明るく、木材で統一された空間に仕上がった。西村さんは「従来の使い方だけでなく、テレワークやホームパーティーなどプライベートでも気軽に活用できる場所を想定している」と展望を語る。
屋内の一壁には棚が設置され、500冊以上の本が並ぶ。旧会館から行われてきた「みどり文庫」を、新会館に引き継いだ。住民が持ち寄った本を貸出する仕組みは、多世代交流の一端として長年機能してきた。大山奈奈会長(42)は「自治会館が、年齢を超えて住民同士が触れ合える、新しい拠点になってほしい」と期待を寄せる。
先月25日には、会員向けの内覧会を開催した。高齢者から子ども連れまで、50人以上が参加。新しくなった会館に大きなに関心を寄せていた。大山会長は「自治会活動は参加しづらいイメージもあるかもしれないが、新しくなった会館をきっかけに、活動に参加する機会につながれば」と話している。