城下町、宿場町として栄えた小田原。その伝統を今に受け継ぐ「老舗」も小田原の魅力です。今回は、地元で愛され続ける店舗をご紹介。ここでは、漆器の老舗「石川漆器」をレポートします。※掲載情報は2023年3月現在のものです。最新の情報は各店舗にてご確認ください。
使い込むほど美しく 受け継がれる伝統工芸
光沢の下から木目の美しさが浮かび上がる盆や皿―。原木をロクロで成形(木地挽き)し、漆の塗りこみ、研ぎ、塗りを繰り返して仕上げます。
伝統的工芸品(経済産業大臣指定)の「小田原漆器」の歴史は、室町時代中期に始まり、小田原北条氏が塗師を城下に招き発展。江戸時代には町民の実用品として重宝されました。石川漆器では、4代目・石川満社長(経産省認定伝統工芸士)が伝統に新しい意匠を加えながら「暮らしの器」を作り続けています。
- 石川満社長の妻・康代さん
「木目や色合いが、ひとつひとつ異なるところも小田原漆器の魅力です」
- 小田原漆器は使い込むほど滑らかなツヤが出る。店で30年以上使っている朱刷毛目盆(手前)と、新品の皿。