時代の変化に合わせ、業界をリード
「家族葬」や「自宅葬」など時代の変化とともに、コロナ禍で大きく変わった葬儀の現場。川崎市でも2022年4月、50年ぶりに「川崎市市民葬儀制度」が刷新された。
- こうした葬儀の世界に精通し、業界をリードしてきたのが『㈱川崎葬儀社』の齋藤隆社長だ。
南北に長い川崎市は、それぞれの地域で特色が異なり、特に川崎葬儀社が立地する武蔵小杉駅周辺は、戸建てやタワーマンションなど居住環境は多岐にわたる。それゆえ、葬儀への考え方やスタイルもさまざまだ。
「例えば、マンションやアパートなど集合住宅の場合、故人の方と一緒にご自宅へ帰ることができないケースも少なくありません。そんなお悩みにお応えし、面会可能な安置室を設けました」と齋藤社長は話す。病院から直接向かうこともでき、家族だけでなく弔問者でも土日祝を問わず面会が可能という。
敬遠しがちも…、大切なのは「事前相談」
置かれている環境がそれぞれ異なる上に、ある日突然にして訪れる不幸だからこそ、齋藤社長が強く訴えているのが「事前相談の大切さ」だ。
「どうしても敬遠しがちな話題ですが、準備不足が後悔につながりかねません。急な不幸にも慌てずに、安心して希望通りの葬儀を執り行うためにも、葬儀の流れや費用などをしっかり把握しておけるよう、ご家族が集まる機会などに話し合っておくことが大切です」。
とはいえ、専門家でもないし何をどう準備し相談すればいいの…。そんな馴染みがない人のために、川崎葬儀社では中原区役所前という好立地をいかし、気軽に立ち寄れる場所を設けている。1階にはカフェスペース、2階には個室を確保し、ささいな相談からプライバシーに配慮した応対まで、無料で受付。事前相談した人には、祭壇や仏具の値引き、百貨店ギフト特別優待などの特典も用意している。
トラブルに遭わないために、組合理事長を兼任
そんな齋藤社長が警鐘を鳴らすのは、近年暗躍する悪質なブローカーの存在だ。テレビCMやネットなどで格安業者や、直葬を大々的に謳う業者が増えているという。
- 「ネットで格安な葬儀社に頼んだら、追加プランを注文され、最終的に高額な請求書が届いた」
- 「安置室がなく倉庫のような場所に故人を放置され、面会できなかった」
- 「要望を受け入れてもらえず、杜撰な対応やいい加減な事を言われた」
など、専門知識のない人につけ込んだ行為を受け、後悔を口にする遺族が増えているという。
そんなトラブルや被害をなくそうと、齋藤社長が理事長を務めるのが「川崎葬祭具協同組合」。
川崎市長の認可を受け1955年に設立され、創業40年以上の実績を持つ葬儀社8社と、賛助会員26社で構成している。市民が安心して葬儀を行えるよう、川崎市と連携し、消費者トラブル防止に関する協定や、災害時における緊急対策に関する協定、大規模災害訓練への参加、震災被災者への義援金活動、障害者施設への就労支援など、社会貢献にも積極的に取り組む。
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「皆さんが安心して葬儀を執り行えるように、環境を整えることが我々の使命。あらゆる視点から市民を支えていきたい」と力を込める。
50年ぶりに刷新「川崎市市民葬儀制度」
同組合は、2022年4月に改正された「川崎市市民葬儀制度」の検討委員のメンバーとしても尽力した。市民からの要望などを踏まえ、検討を重ね、50年ぶりに刷新された制度は、複雑で分かりにくかった旧システムから、時代に沿った明確かつシンプルな内容へと生まれ変わった。
その新たなプランは、通常の葬儀を行う《規格A》と、葬儀は行わない火葬式の《規格B》の2種類。料金も明瞭化され、トラブルが多い葬儀社やネット業者などを除外し、審査基準をクリアした約50社の取り扱い業者を厳選した。詳細については同組合ホームページでも案内している他、川崎市のウェブサイトでも紹介。パンフレットは、区役所や同社でも入手できる。
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1951年創業、3代目社長として24時間365日、急な相談にも対応している川崎葬儀社の齋藤社長。「心残りなく最期の別れができました。ありがとう」――。そんな遺族からの言葉を胸に、これからも市民に寄り添い続ける。