10年ぶり3回目となるサザンオールスターズの茅ヶ崎ライブ。桑田佳祐さんとその故郷・茅ヶ崎に特別な縁がある人たちにシリーズで話を聞いていきます。今回登場する長坂浩さん(61)は、デビュー直後から45年間にわたって応援を続けています。「筋金入りのファン」から見た桑田さんと茅ヶ崎の魅力とは?
サザンオールスターズ応援団の会員番号は「18番」
長坂さんが初めてサザンオールスターズを目にしたのは高校2年生。平日の夕方に放送されていたバラエティ番組『ギンザNOW!』で演奏を聞き、衝撃を受けました。「何を歌っているのかさっぱり分からなかったけれど、とにかくすごいものを見たと思った」。
熱にうかされるように所属事務所にファンクラブの入会希望を郵送。ほどなく送られてきた「サザンオールスターズ応援団」の会員証の番号は「18」でした。
以来、週末になると当時住んでいた荒川区から事務所のある代官山へと通い、ファンクラブ運営の手伝いやラジオ局へのリクエストなどに精を出したそうです。
事務所に通ううち、桑田さんらメンバーとも顔なじみに。「会報用に写真を、と桑田さんに頼んだら受話器を取って『はい、サザンオールスターズファンクラブです』なんてポーズをとってくれたり。6歳上の桑田さんは頼れるお兄ちゃんという感じでした」と笑います。
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スクラップブックに大切に収められた、サザンオールスターズのデビューコンサート「熱い胸騒ぎ」(1978年12月)のチラシとチケット。「九段会館のあの熱気は忘れられない」
今でも桑田さんがDJを務めるラジオ番組への投稿を続け、私設応援団「しじみ俱楽部」を結成して、ファン同士の交流も行っている長坂さん。
折に触れて桑田さんからハガキが届くといいます。「どんなにスターになってもずっとファンと同じ目線でいてくれる。そこが桑田さんの最大の魅力です」
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スケートボードも桑田さんとの思い出の品
茅ヶ崎にも愛着
長坂さんが茅ヶ崎を初めて訪れたのは高2の冬。「どんな場所か知りたかった。まだ砂防林も低かったから、まさに『砂まじりの茅ヶ崎』。サーファーを見て『かっこいい』と思ってすぐ自分も始めました」
父が表札や看板を作る会社を営んでいたことから、桑田さんの実家の表札を作ったことも。「当時、桑田さんに似てると言われることが多かったのですが、桑田さんのお母さんにも『あなた佳祐に似てるわね』ってかわいがってもらった。茅ヶ崎から都内まで桑田さんの車で送ってもらったこともいい思い出です」
サザンが初めて茅ヶ崎ライブを行った2000年には、署名活動に参加するため、都内から週2~3回のペースで通いました。「大変だったどころか、楽しくて楽しくて。地元の人ともずいぶん親しくなって『昔から茅ヶ崎にいた?』と言われるのがうれしかったですね」と振り返ります。
15年前、同じくサザンファンだった奥様との結婚を機に茅ヶ崎市民となり、現在はラチエン通りの近くに住む。「ごちゃごちゃした街並みと人の温かさは生まれ育った下町にも似ていて、違和感がない。サーフィンもすぐに行ける」と茅ヶ崎暮らしを満喫しています。
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自宅の吹き抜けの2階は「サザンオールスターズのお宝部屋」。梯子上のロフトにも、サザンのグッズなどがたくさんあるそう。
残念ながら今回の茅ヶ崎ライブは落選してしまったそうですが、奥様と一緒に映画館で会場と変わらない声援を送るそうです。
「自分の人生にもいろいろなことがあったけれど、そのたびにサザンの歌に救ってもらった。サザンは人生そのもの。これからも応援し続けます」
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45周年に合わせて自作したTシャツ