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兄の遺志も背負い「南湖甚句」を次世代へ 甚句名人・石黒満さん

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兄の遺志も背負い「南湖甚句」を次世代へ 甚句名人・石黒満さん
笑顔を見せる石黒さん

 神輿とともに浜降祭に欠かせないのが「甚句」。名人として必ず名前が上がる1人が、下町甚句会の代表を務める石黒満さん(71)です。

生まれたころから耳にしていた「甚句」

 石黒さんの地元・南湖下町ではマイクを使わない決まりのため「生声でも通るような唄い方」にこだわってきました」といいます。「甚句は担ぎ手を威勢よく奮い立たせるのが役目。上手い甚句はリズムもいいから、担ぎ手の調子が合って事故やケガのリスクも少なくなるんです」と笑います。

 生まれも育ちも南湖の石黒さん。浜降祭は「1年に一度の楽しみ。子どもの頃は大人の神輿が格好よく見えてね。早く担ぎたいと思っていました」と振り返ります。

 実は石黒さんの父も「名人」として知られた存在だったそう。「親戚や知人が家に集まると、父が必ず甚句を披露していた。『すごいな』と思って、幼い頃から耳で覚えてまねしていました」

兄・誠さんとともに「甚句会」を結成

 そんな石黒さんも「敵わない」と一目置くのが兄の三橋誠さん。「年齢は10歳違うけれど、ウマがあった」という2人が中心となって「南湖甚句をきちんと次の世代に受け継ぎたい」と、2005年に下町甚句会を発足させました。現在は小学4年生から80代まで、約30人が練習を重ねています。

小学生から80代までが練習に励む甚句会のメンバー

 そんな兄・誠さんは、コロナ禍で浜降祭が中止となっていた2022年に他界。「闘病はしていたがだいぶ良くなって『また祭りに出たい』と話していた矢先でした」と石黒さんは肩を落とします。

 だからこそ、兄とともに目指した「継承」に、より一層力が入ります。幸い甚句会には小学生や高校生の参加者も。「甚句と神輿は切っても切れないもの。浜降祭の伝統を受け継ぐためにも、しっかりと伝えていきたい」と話しています。

「愛弟子」の1人、鈴木友哉さん(15)と

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住所

神奈川県茅ヶ崎市

公開日:2024-07-12

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