娘の中学校給食の献立表でずっと気になっていた「中学校給食メニューコンクール」の受賞献立。現役中学生が考えた献立とのことですが、「プロが考えたんじゃないの!?」と思うくらい栄養バランス満点で、何よりすごく美味しそうなんです!
そんな献立を作った生徒たちの思いを伝えるべく、その舞台裏に迫った優秀賞受賞者表彰式の様子をレポートします。
(取材日/2023年12月18日)
約1万人の生徒が参加した中学校給食メニューコンクールって?
横浜市教育委員会事務局では、給食の献立を考えながら食についての学びを深めるために、2020年度から中学校給食メニューコンクールを実施しているとのこと。第4回目となる今回は、なんと昨年度の約2倍!にもなる9,733名の参加があり、厳正な審査により10点の優秀賞、587点の入賞作品が決定しました。
約1万人の応募者の中から選ばれた10点の献立・・・一体どんな献立なのでしょうか?
生徒一人ひとりの個性が献立に!
「暑い夏でも元気に部活をがんばりたい」、「貧血を改善したい」、「横浜の特産物を知りたい」、「カルシウムや鉄、野菜をあまり取れていない」。令和5年度の優秀賞を受賞した献立は、そんな中学生らしい思いや悩みを解決する個性豊かな献立ばかり。生徒一人ひとりの個性が発揮されています!
年々メニューコンクールへの参加者が増える中、子どもたちの成長を支える中学校給食をみんなで盛り上げようと、今年度は市長賞をはじめ、食に関する関連団体、地元スポーツチームなどによる賞を新たに創設し、コンクールの更なる充実を図っています。
【第4回中学校メニューコンクール優秀賞受賞者】
- 横浜市長賞/塚本千夏さん(市場中学校1年)「栄養満点!!スタミナ夏色給食~暑い夏を乗り切ろう!~」
- 教育長賞/山田牧乃さん(霧が丘学園8年) 「神奈川の野菜を食べよう!カルシウム&鉄たっぷり給食!!」
- 中学校長会賞/半戸瑠南さん(瀬谷中学校2年)「夏バテ解消だけじゃない!!野菜不足の人のための彩り給食」
- 技術・家庭科賞/飯倉莉緒さん(上の宮中学校2年)「貧血解消!鉄分たっぷり給食」
- 学校栄養教諭賞/佐々木琴菜さん(根岸中学校2年)「つかれも飛ばす!環境にやさしいSummer 給食」
- 学校給食調理員賞/武田明香里さん(鶴ケ峯中学校2年)「夏の疲れを取るさっぱり献立」、山﨑芽依さん(希望が丘中学校2年)「地元の食材を味わおう!横浜産たっぷり給食」
- 横浜 F・マリノス賞/國吉美海さん(都田中学校2年)「パワーモリモリ!筋肉GET給食」
- YOKOHAMA TKM賞/古定美沙季さん(洋光台第一中学校2年)「食べて感じる横浜の新たな発見」
- 横浜ガストロノミ協議会賞/内田明奈さん(瀬谷中学校2年)「夏の旬の食材を使った野菜たっぷりメニュー」
いざ、表彰式に潜入!
表彰式は、横浜市庁舎31階レセプションルームで、保護者や審査員など関係者らが見守るなか行われました。
食の課題を実感、新たな発見も!
鯉渕信也教育長のあいさつや審査員紹介の後、生徒代表で山田牧乃さん=義務教育学校霧が丘学園8年=がスピーチに立ちました。
山田牧乃さんの受賞献立「神奈川の野菜を食べよう!カルシウム&鉄たっぷり給食!!」
- 主食…鮭フライ・トマトソースがけ
- 副菜…しらすのチーズオムレツ、ひじきと切り干し大根のごまマヨあえ、小松菜ときのこのバターしょうゆソテー
- 汁物…キャベツと厚あげのコンソメスープ
献立づくりにあたり「成長期に必要なカルシウムや鉄分が、日常的にとれていないのが課題であると感じたので、それを改善したいと思いました」と山田さん。
しらすやチーズ、切り干し大根、ひじきをつかい、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを取るために主食に鮭フライを選択。揚げ物を夏でもさっぱり食べられるように、トマトソースを添えたそうです。
材料には小松菜やキャベツなど、神奈川での生産が多い野菜を活用。地産地消にもこだわったという工夫が素晴らしいですね!学校給食を作っている栄養士さんに匹敵するほどの思い溢れる献立です。
山田さんは「献立を作成してみて、栄養バランスはもちろん、味、彩りなどを考えてつくるのは予想以上に大変でした。何気なく食べているいつもの献立も私たちが美味しく食べられるよう様々な面から考えられ工夫されているのかが分かりました」と給食に関わる人たちに感謝の気持ちを語り、「食は当たり前のことですが、だからこそ難しいものだと感じました。まずはバランスの良い食事を心がけると共に、食を大切にしたいです」と、今後の抱負を力強く述べていました。
給食を通じて、子どもたちが様々なことを感じ取っていることを実感!!
後日、山田さんが実際に献立を作ってみたところ、鮭フライにトマトソースが合っていて美味しく、ボリューム満点だったとか。実際に作って食べてみないと分からないことも多く、大きな学びにつながったようです。
お祝いの言葉と共に「食事は元気の源。沢山食べて夢、目標に向かっていって欲しい」と語った山中竹春市長。
受賞者には、表彰状と記念品の盾が贈呈されました。
給食は生きた教材
会場では受賞者インタビューも行われ、それぞれの作成の思いが語られました。
夏でも部活を頑張れるようにスタミナ満点のメニューを考案した塚本さん。たんぱく質やビタミンBがとれる豚肉をメインに使い、ポークピカタにしました。
副菜に「サバ缶のカレーポテサラ」を入れた佐々木さんは、実は魚が苦手だったとか。「魚をポテトサラダに入れることで食べやすく、骨ごとやわらかく美味しく食べられるようになった」と振り返ります。
そのほかにも、地元の食材を使うことで輸送時のCO2排出量を減らしたり、皮ごと食べる野菜スープを使うことで食品ロスをなくすなど、SDGsを意識した環境に配慮したメニューや、「目で見ても楽しめるように盛り付けを工夫した」「旬の野菜で栄養バランスを良くした」などのコメントも。自身が設定した課題を解決するための献立作りを通して食生活を振り返り、新たな発見や主体的な学びにつながったようです。
献立作りを通して、生徒たちが地元の食材に目を向けたり、食や健康の大切さを知ったり、毎日の「食」を通して何ができるのか、試行錯誤しながら課題解決に取組んでいたのが印象的でした。
まさに「給食は生きた教材」!2026年度から横浜市で始まる「全員給食」は、栄養バランスの良い食事を食べるという側面だけではなく、子どもたちの将来の豊かな食生活をつくる側面もあることを改めて実感しました。
これからも子どもたちの成長を支える中学校給食を、みんなで盛り上げていけたらいいですね!
生徒の献立が給食に
2024年度の給食メニューに、今回受賞した10点の中から5点が登場するそうです!
▼2023年度に登場した受賞メニューの一例▼
2024年度は、どんな給食が食べられるのでしょうか。山中市長も「今から食べるのが楽しみ」と笑顔で話していました。
明日の給食は何だろう?どんな人が関わっている??
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