「中学生の給食って、今はどうなっているの?」。成長期である中学生の子を持つの親として、子どもたちが毎日給食でどんなものを食べているか気になりますよね。というのも、毎月娘が持ってくる給食の献立表のメニューがどれもおいしそうで「母も食べたい…」と思うことがしばしば。
横浜市の給食はランチボックスに入れて届けられるデリバリー型ですが、10月は地産地消月間ということで、地元食材を使ったメニューや中にはプロの料理人が考案したメニューまで!!最近横浜市の中学校給食が進化しているという噂だけど、真相やいかに・・・?
「百聞は一見(一食)にしかず」ということで、横浜のシェフと栄養士さんによる中学校給食の試食&懇談会に潜入してきました。(取材日/2022年10月12日)
まずは「中学校給食」を簡単にご紹介
現在、横浜市の中学校給食は、4カ所の調理工場で作られ、ランチボックスに盛り付けた状態で中学生たちに配送されています。2021年4月に、「ハマ弁」から「給食」としてスタートしており、栄養面からおいしさ、食育につながる工夫まで栄養士が考えたメニューを提供。弁当っぽい?いやいや、これはまさに給食!という内容です。
▼ここでは詳しく触れませんが、詳細は下記の取材レポにて▼
4人の栄養士が毎メニューを考案
実はこの給食メニューを考えてくれている4人の栄養士さん、以前は横浜市の小学校給食を作っていたメンバーなんです。その時の経験を生かして日々のメニューを考えているそう。「第2のおふくろの味」ともいえる小学校給食で人気だったメニューが盛り込まれることもあり、ハマっ子の胃袋をわしづかみにしています。
中学校給食を記者が実食!!
記者は「ハマ弁」時代の試食会には何度か参加させていただいたことがありますが、「中学校給食」になってからは初めて。本日いただくメニューは献立表でも気になっていた、横浜ガストロノミ協議会考案の『ヨコハマ魅力満載給食』です。
弁当箱というより、ランチボックスの呼び方がしっくりくるナチュラルテイストの容器に変わっていました。※ランチボックスはエリアによって異なります
主食、メインのおかず、副菜、汁物すべて中学生のことを想って作っています!
ふたを開けた瞬間、思わず「おぉっ!!」と声が出ました。見るからにおいしそう!
「朝から揚げ物にあんかけは絶対ムリ」「自宅弁当でナポリタンを入れることがあるけれど、固まりがちだし…」など、食べながら思わず”弁当作りの目線”に。小学校では給食室、中学校給食は調理工場と、場所は変われどどちらもすべて心をこめて、作っています。
中学生に必要な栄養量を考え、小学校給食よりおかずを2~3品増やしているそうで、やはり食べ応えが違いますね。
地元の食材がいっぱい!10月の食育テーマは〝地産地消″
- めかじきの彩土佐酢あんかけ湘南ゴールド風味…めかじき、きくらげ、湘南ゴールド(神奈川県産)
- 蒸ししゅうまい…ぶた肉(神奈川県産)
- 小松菜のからしじょうゆ和え…小松菜(横浜市産)
- スパゲティナポリタン
- かぶとコーンのコンソメスープ…かぶ(神奈川県産)
個人的に気に入ったのが、めかじきのあんかけ。お弁当なのに衣のサクっとした食感が楽しめ、柑橘系の湘南ゴールドが爽やかなアクセントに。土佐酢あんでごはんが進みました。これなら魚が苦手な子も食べられるのでは?
2年前に試食した時よりも、食べるときのワクワク感やおいしさがさらにパワーアップしていると実感。これで275円(牛乳付きでも330円)とは…。全保護者を代表して言います。「給食って本当にありがたい!」。コンビニでこの値段だと、おにぎり2個くらいしか買えないですから。ちなみに「ごはんとスープは温かい状態で提供」とありますが、さすがにこれはホカホカ、熱々…とまではいかず。でも自宅弁当だと完全に冷えた状態なので、やっぱり温かいものを食べるとホッとしますね。
シェフの視点から見た横浜の中学校給食は?
今回のメニューを手がけた横浜ガストロノミ協議会※のシェフ3人と市の担当栄養士の藤原瑠美さんによる『ヨコハマ魅力満載給食』の試食&懇談会に参加し、話を聞いてきました。
左から日本料理「梅林」の三代目店主・山下英児さん、「シェ・フルール横濱」のオーナーシェフで同会・理事長を務める飯笹光男さん、「ビストロ酒場MarineClub」の総シェフ・竹田直人さん。
※NPO法人横浜ガストロノミ協議会とは?
横浜の食文化の振興、それに伴う横浜の発展に寄与することを目的に様々な活動をしている団体。子どもたちの食育のため、小学校で出前授業なども行っています。構成メンバーは横浜市内のホテルや有名店のシェフやパティシエ、バーテンダーなど。
料理人と栄養士、食のプロが中学校給食について熱く語る
メニュー開発の経緯は?
(シェフ)「郷土愛を育めるような横浜らしさや、我々和洋中の垣根をこえて結成しているガストロノミ協議会らしさを出すため、横浜産の小松菜を使ったお浸し、横浜発祥のナポリタン、中華街をイメージするしゅうまいなど横浜の魅力を感じられるような和洋中の料理を入れました」。
完成した給食を食べられていかがですか?
(栄養士)「おいしいのはもちろん、和洋中全て入れるというアイデアと見た目の美しさ、さすがプロ!と感動しました。今回地元食材の湘南ゴールドを料理に使いたかったので、どうしたら子どもたちがおいしく食べられるか相談したところ、柑橘の香りがふわっとたつように『あんかけの粗熱がとれてから一番最後に湘南ゴールドを入れる』というプロならではの調理アドバイスもいただき、とても良い献立になりました」
(シェフ)「めかじきってうまく調理しないとパサついてしまうのですが、すごくしっとりしていて美味しかった。しいていうなら、大きくてちょっと食べづらかったかな?2カット位にしてあるとパクっと一口で食べやすくなると思います」
(栄養士)「確かに…今後の参考にさせていただきます!衛生上おかずはいったん冷却するので魚などは固くなってしまいがちなのですが、できるだけおいしく提供できるように工夫しています」
(シェフ)「あと小松菜の色もキレイ!シャキシャキした歯ごたえもちゃんと残っている。子ども時代の好き嫌いって、例えばトマトのべちゃっとした感じとか、食感が理由になってしまうことが多いと思うから、食感はおいしさの重要なポイントかも」
(栄養士)「苦手な食材も給食で食べてみたら、おいしいかった!食べられる!って子どもたちに思ってもらえたら嬉しいですね」。
普段、どのようにメニュー開発をしているのでしょうか?
(栄養士)「給食は毎日食べるものなので、様々な食材を使ったり味付けで変化をつけて飽きない工夫をしています。またお昼ごはんの時間をワクワク楽しんでもらいたいので、毎月の食育テーマに沿ったメニューや、世界の料理、行事食なども意識しています」
(シェフ)「新しいメニューを考えるときには市場や生産者さんの畑に行って、実際に食材を見て考えることが多い。あとはお客さんと話す中でアイデアが浮かぶことも」
(栄養士)「私たちも日頃から生徒や先生たちなど、実際に食べている方たちの声を積極的に取り入れるようにしています」
(シェフ)「我々は生徒とお客さん、対象は違うけれど食べる人を笑顔にしたい、おいしい料理を提供したいという思いが共通しているんです。そして『注文してくれないと始まらない』という点も一緒。ネーミングや見た目にこだわったり。中学校給食もバランスの良いお昼を生徒さんたちに食べてほしいという気持ちがあるから、どんどん改良されていっておいしくなり、喫食率も上がってきている。長年横浜市の中学校給食に関わる中で、職員や栄養士さんたちの『中学校給食をよくしたい』という熱量をものすごく感じました。だから我々も言い過ぎたかな?ってくらい色々と意見しましたが(笑)、それを実現するスピードがものすごく早くて…」
(栄養士)「生徒考案の献立も出してみたら?というシェフのアイデアも、すぐに採用させていただきました」
(シェフ)「生徒さんが考えたメニューの完成度が高くてびっくり!今回のコラボメニュー開発の時に、プロとしてちょっとプレッシャーになるほど(笑)」。
地産地消に行事食、お昼ごはんを食育の時間に
(シェフ)「今回のコラボメニューのテーマは地産地消でしたが、給食として提供することで子どもたちに神奈川・横浜には素晴らしい食材が沢山あるということを知ってもらう機会になると思います」
(栄養士)「食育につながるメニューづくりは意識していて、毎月の献立表でも情報を発信中です」
(シェフ)「おいしかったよはもちろん、お客さんに今日は楽しかったって言ってもらうのが一番嬉しかったりする。中学校給食も、子どもたちが楽しいと感じたりホッとできたり、自然に食育について学べる、そんな時間になってくれたらいいな」
子どもたちへメッセージ
(シェフ・栄養士)「横浜の給食はこれからもますます進化していきます。栄養バランスがとれておいしい給食をみんなで食べて、元気に大きくなってくださいね!」
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