featureBanner

茅ヶ崎出身の絵本作家・垂石眞子さん 「絵本は子どもが人生ではじめて出会う美術書だ」 講演会に60人が参加しました

シェアする
茅ヶ崎出身の絵本作家・垂石眞子さん 「絵本は子どもが人生ではじめて出会う美術書だ」 講演会に60人が参加しました
書き下ろしたイラストを手に語る垂石さん

茅ヶ崎市出身の絵本作家・垂石眞子さんによる講演会が2月24日、茅ヶ崎市立図書館で開催され、市民ら60人が参加しました。平和学園幼稚園、松浪小・中学校出身で、多摩美術大学卒業後、(株)サンリオを経て絵本作家になった垂石さん。多数の作品の挿絵に携わってきたほか、自身の文章による絵本や児童書も出版しています。

茅ヶ崎の思い出も

講演会では、昭和30年ごろの茅ヶ崎ののどかな風景や小中高時代の思い出、絵や漫画、物語に親しむようになったきっかけなどを語りました。イラストレーターとして独立するきっかけになったというスウェーデンの絵本『リッランとねこ』や取材資料も紹介。そのほか、育児中のエピソードや制作秘話に、参加者は熱心に聞き入っていました。

『絵本は子どもが人生ではじめて出会う美術書だ』

垂石さんは、今回のために書き下ろしたという『絵本は子どもが人生ではじめて出会う美術書だ』というメッセージ付きイラストとともに「見るものすべてが新鮮な幼少期の絵本は、オーソドックスで正統派のものが良い」とコメント。

また、自身の絵本『ねこちゃん』や、根室まで取材に訪れたという『月へミルクをとりにいったねこ』を臨場感たっぷりに読み上げると大きな拍手が送られました。

参加者は「経験や話題が豊富で自分の世界まで広がったよう」「子育てで大変な時にこそ育児日記をつけたら良いというメッセージが響いた」と話しました。

同講演会は、市内の文化資源を生かした人材育成などを目指す市の事業「クリエイターシティ・チガサキ形成戦力事業」の一環。3月2日からは小学5年生から80代の参加者を対象に、3回連続で絵本づくりのワークショップを展開。垂石さん指導の下、ページ割りやサムネイル作成、ストーリー作成、作画、着色を行い、最終日には作品の発表会を行います。

好奇心と想像力、ふくらませ

講演会後には、3回連続の絵本づくりのワークショップのオリエンテーションも実施されました。

参加者には「日常には面白いことがたくさん。物語のしっぽや首根っこをひょいとつかむために、日頃から好奇心や想像力を持って過ごして」とメッセージを送りました。

その言葉通り、垂石さんは「この前、バスで面白いことがあって」とうれしそうに語り、相手の話にも目を輝かせて耳を傾けます。

松浪小・中学校時代はジャック・ロンドンの作品『白い牙』『荒野の呼び声』や『シートン動物記』を読みふけり、物語の世界に夢中に。「どちらも野生動物の厳しさが容赦なく描かれていて、目を見開かれるようだった」。

自作の漫画を持ち寄って同人誌にまとめたことも、くすぐったい思い出です。「みんな下手だったけれども、とてもエネルギッシュで」と目を細めます。

多摩美大卒業後は、(株)サンリオへ。キャラクターデザインを手掛けるも、海外研修で出会った1冊の絵本が転機に。「やっぱり物語の絵を描くべきではないか」と思い立ち、フリーのイラストレーターとして第一歩を踏み出しました。

「物語を輝かせる絵を」

約50年にわたって子どもや動物、風景など「物語を輝かせる絵」を描いてきました。本物を見ることを重んじ、ヒグマから、舞台となる街、はたまた医師のカバンの中身まで丹念に取材。「さすがにスウェーデンは難しくて、緯度が同じ北海道の根室を訪れたり」と笑います。

その後、自ら文章も書くように。「今思えば『絵よりも、文章の方が向いてるよ』という友人の何気ない一言が、不思議と自分にとっての真実になっていた。流れに任せていたら、いつの間にか、物語や絵本の世界にいたという感じかしら」

7年前、母の介護を機に、茅ヶ崎の海側にアトリエを構え、現在は自宅のあるあきる野市とを行ったり来たり。今年は「若い頃から憧れていた油絵に挑戦するの」とうきうきした様子です。

歳を重ねてもなお、みずみずしい感性で創作に励みます。

#ちがすきトップページはこちら

住所

神奈川県茅ヶ崎市

公開日:2024-03-12

関連タグ

同じ特集の記事