横浜市立市場中学校(鶴見区)で、生徒10人と山中竹春市長による給食懇談会が行われました。当日出てきた給食は昨年行われた「中学校給食メニューコンクール」で、見事「横浜市長賞」を受賞した献立。この横浜市長賞のメニューを考案した生徒も同席するなか、献立作りについてのエピソードや気になる栄養面、好きなメニュー、最後は給食のリクエストまで…!?予定時間を大幅にオーバーして次々と話が飛び出すほど大盛り上がり!!中学生たちと市長の給食に対する熱い思いを聞くことができました。 (取材日/2024年7月2日)
中学校給食メニューコンクールとは?
横浜市教育委員会事務局が、給食の献立を考えることを通して、生徒たちに食についての学びを深めてもらおうと、2020年度から実施している「中学校給食メニューコンクール」。第4回目となった昨年は、過去最多となる9,733名の応募があり、10点の優秀賞が決定しました。そして、応募総数約1万点の中から最優秀の「市長賞」として選ばれたのが、今回懇談会で食べるメニューです。
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今回の懇談会には、市長賞を受賞した塚本千夏さんをはじめ、このコンクールに応募した校内選抜メンバー10人(2年生)が出席。ぐるりと自己紹介してから、懇談会がスタートしました。
「市長賞」のお味は??
塚本さんが考えた献立。ふたを開けた瞬間に歓声が!
栄養満点!!スタミナ夏色給食~暑い夏を乗り切ろう!~
- ポークピカタトマトソース
- 夏野菜のカレー炒め
- きゅうりとわかめの酢の物
- フルーツ杏仁
- 冬瓜と枝豆のスープ
(市長)「塚本さんは、どんなことを意識してこのメニューを考えたんですか?」
(塚本さん)「バレーボール部に所属していますが、部活で疲れて食欲が落ちる暑い夏でも元気に頑張れるよう、スタミナアップメニューを考えました。たんぱく質と疲労回復効果のあるビタミンB₁を含む豚肉を主菜にして、食欲が増すようにカレー味や酢の物を取り入れました」
(市長)「彩り豊かで、見た目もすごく工夫されていますね。栄養バランスを考えるには知識も必要で、調べるのも大変だったでしょう?」
(塚本さん)「最初は豚肉と胡麻を使ったおかずを考えていたのですが、栄養士の母からアドバイスをもらい、たんぱく質をよりたくさんとれるよう(卵を使った)ポークピカタにしました」
【実際にコンクールに提出した献立レポート】
- 中学校給食のメニュー化にあたり、塚本さんのレシピだと既存のランチボックスにあわせてピカタのサイズを一回り小さくしなければいけなかったため、中学生に必要なたんぱく質が足りなくなってしまったのだとか。そこで中学校給食担当の栄養士さんのアイデアで、トマトソースにひき肉を、夏野菜のカレー炒めにツナをプラスして補ったそうです。実際に給食として出すメニューは、おいしさから栄養面までしっかり考えられているんですね。
塚本さん以外のメンバーも、それぞれコンクールの献立を考えた時の思いやエピソードを語ってくれました。
部活動がきっかけで
(松永さん)「野球部の栄養指導で身体づくりに大切な『まごにわやさしい』※を教えてもらったので、それを取り入れました」※豆類、ごま(種実)類、にく類、わかめ(海藻)類、やさい類、さかな類、しいたけ(きのこ)類、いも類
(細貝さん)「家庭科の授業で紫外線対策にはトマトに含まれるリコピンが良いと聞いて、主食の鶏肉をトマト煮込みにしました」
(市長)「2人とも学校で学んだことを献立づくりに生かしていてすごい!ぜひ皆さんのアイデアも、今後の給食に取り入れられたらと思います」
おいしさと栄養バランスを両立
でも、栄養バランスや見ため、塩分量などを気にしながらおいしい献立を考えるのって、結構大変ですよね?
(井上さん)「メニューコンクールに参加して、献立づくりの難しさをしみじみと(笑)感じました」
(溝口さん)「主菜と副菜の組み合わせや栄養バランス、彩りも同時に考えなければいけないのが大変でした」
(濱尾さん)「本当はもっとトマトをいっぱい入れたかったけれど、他のおかずとの栄養バランスを考えるとそうもいかなくて…」
(市長)「中学校給食の献立は、専任の栄養士さんが、おいしさと栄養バランスを両立させながら、みなさんが食べてみたいと思えるように、彩りや見た目なども工夫して考えています。「食」を通して色々なことを学んだり、苦手な食材でもちょっと味付けを変えたら食べられるようになったり、というのも給食の大切な役割の一つだと思っています」
実は、この日の献立を考えた塚本さんも、夏野菜炒めに取り入れたズッキーニとパプリカが苦手だったそうですが、カレー味にすることで美味しく食べられたそうです。
▼給食のメニュー開発秘話はこちらを記事をチェック▼
ますます進化していく給食
ホカホカの食缶提供
ここで食缶に入った具沢山の豚汁が登場!教室にほわんとお味噌の良い香りが漂ってきました。
2026年度からはじまる中学校の全員給食では、「温かい汁物」の食缶提供が始まるそうです。
(本盛さん)「温かいのが嬉しい。おいしいです!」
(神田さん)「お味噌の味や野菜など具材のうま味が感じられます」
(市長)「食缶提供ができるようになると、今日の豚汁のようなうま味たっぷりの温かい汁物だったり、カレーやシチュー、コーンスープなど、色々なバリエーションのメニューが楽しめるようになります」
市長の話に生徒たちの目がキラリ。給食の未来の話に興味津々の様子でした。
給食で新たな発見も!
食材へのこだわりがすごい!
(高吉さん)「最近は四季に関係なく食材が手に入るため、季節のものを食べるという風潮が減ってきていると思って…。旬を感じられるように、あえて秋の食材を献立に使いました」
(竹下さん)「私は横浜産の野菜にこだわりました。小学校時代に「はま菜ちゃん料理コンクール※」に応募したことがあったので、その時のことを思い出しながら作りました」※横浜市内産農産物に対する理解と学校給食への関心を高めるため、小学生を対象に市内産の野菜を使った新しい学校給食のメニューを提案するコンクール(横浜市HPより)
(市長)「季節ごとの旬の食材は美味しですよね。二人が考えてくれたように、旬のものや地元のものを多く使うなど、中学校給食では食材にもこだわっているんですよ」
最後はフリートークに…
「せっかくの機会だから何でも質問して!」と市長からの声掛けで、生徒たちから様々な意見や質問が飛び出しました。
中でも盛り上がったのが、「小学校の人気献立を中学校給食でも出して欲しい!」というリクエスト。生徒一堂が深くうなずくのを見て、市長と栄養士さんが真剣に提供方法を議論する場面も。最後まで笑いの絶えない会になりました。
(市長)「今日は、みなさんの給食への率直な思いをたくさん聞かせてくれて、ありがとうございました!美味しくて栄養バランスの良い中学校給食で、成長期のみなさんの元気と健康を支えていきたいと思っています。これからも、中学校給食をどんどん進化させていくので、楽しみにしていてください」
2026年の全員給食のスタートに向けて汁物を食缶で提供したり、献立改善に取り組んでいる横浜市。そんなこれからの給食の話を聞く中学生たちの目が輝いていたのが印象的でした。
それにしても給食の話題ってどの年代でも、ものすごく盛り上がりますよね。それだけみんなで一緒に食べた共通の思い出や「食」の存在は大きいのでしょう。まさに「いっしょのもの、食べた思い出、いっしょうもの」。今後の中学校給食にも注目ですね!
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